第360話 異様な空間
俺は、屋敷の広大な庭にある小屋の地下から魔法陣で転移しているけど、普通の空間じゃない。
俺も空間を自分で作れるけど、
この空間が、どうして存在するのか?
誰が作ったのか?
もしかしたら危ないかも知れない空間になることも。
俺たちがいる星よりも面積は大きいかも知れないから、星を飲み込んでしまう可能性もある。
そうすると大惨事が起きる、天変地異が起きて火山は噴火するとか、津波が国を襲うとか、考えられないこともない、
例えば、ここにある空気を抜いて仕舞えば、どうなるか?
多分、全てが、この空間に引き摺り込まれることになるだろう。
俺の空気がない、食べ物を入れても腐ることもない異空間収納に、俺たちの星が引き摺り込まれるなんて起きたら、やばい。
引き摺り込まれたら、宇宙に放り出される可能性もある。
俺は色々なことを考えてみたら、その結果が、ある事がわかった。
*
この空間に宇宙に通じる穴を開けて、反対側の口を開けると、どうなるか?
全てを吸引してしまい、星の破滅が起きる。
もちろん、人は一人も生きちゃいられない。
異空間に俺が、物をしまうときには、吸い込まれるように入るから、それの大きな事が起きることもあり得る。
つまり人類滅亡‥‥‥
俺だったら、これが悪い奴らが作ったとしたら、そう言う使い方もあると思う。
でも、この空間が、勇者レベルのパワーしか、反応しないと言うことは、どうしてだろう?
!、いや、待てよ、俺は神の能力のあるから、そのパワーを使っても、空間はできるのか?
俺は仮説を立ててみる。
普通のパワーで空間を作ろうとしても、できることはできるけど、もちろん高能力が必要だけど。
勇者のパワーで空間を作ると、今も検索魔法の探知でサーチしても、検索できる範囲では、誰もいない空間でしかない。
じゃ、神のパワーで空間を作ると、もしかして神の住んでいる世界に行ける?
神の世界が、どこにあるのか、空想じゃないことはレイチェルがいるから、わかっている。
レイチェルが言うように神だとしたらだけど。
神だって、レイチェルだって、創造神だって、宇宙を維持する神だって、どこかにいるわけだ。
と言うことは、俺の勇者のパワーよりも、神のパワーで、神の空間を開く事ができるんじゃないか?
しかし、神の空間を開いてどうする?
こんにちは、って挨拶して帰るのか?
俺は以前から、誰にも言っていない事がある。
それは俺を殺した奴と鏡の中の奴が、神じゃないのか、ということだ。
そんな奴がいる領域に行って、どうするんだ?
むざむざと殺されに行くのか?
「やあやあ、殺されに来ました」とでも言うつもりか?
神に向かって「お前が犯人だろう」と言うつもりか?
まだ、証拠もないのに‥‥‥
ハァ〜、だめだ、だめだ‥‥‥
こんなんじゃ、もう一度、やり直しだ、考え直さなければ‥‥‥
でも今はいくことはできないけど、突破口は見つけたような‥‥‥
でも、勇者としてのパワーを使ってできた空間は、実際に存在している空間だ。
誰かが、作った空間に転移しただけだから、俺が転移するときに、作ったわけじゃない。
じゃ、勇者というのは、人と、神との間なのか? 存在する意味として‥‥‥
俺も本当に神なら、神の住んでいるところには行けると思う。
そこはレイチェルに聞いてみようと思うけど、レイチェルが、本当のことを話してくれるとは思わない方がいいような気もするけど、あとは、はぐらかされるか?
第一に、今まで、そんなこと、考えもしなかったから聞くこともしなかった。
神の領域かぁ
*
俺は、もう一度、考えるために、現実世界に戻ってきた。
俺が魔法陣から姿を表すと、和んだ雰囲気だったが緊張して。
それは、全員で待っている間、俺が置いたお菓子を食べ終えたみたいで、誰かが火魔法で、焼き芋を作ったそうで、美味しそうに食べているところだったから。
「!、う、うっ、はぁ、苦しかった」
「焼き芋の美味しそうな匂いだね」
「うん、そうなんだ」
「実際、美味しいですよ」
「クリスも食べる、あるわよ」
「うん、お腹減ったよ」
「はい」
「あ、ありがとう」と言ってアリシアから手渡された焼き芋を食べたけど、焼き芋なんて久しぶりで美味しかった。
でも、芋なんて、屋敷にあったのか?
誰かが買いに行ったのかな
まぁ、待っているのも退屈だしね
「それで、ご主人さま、何か、わかりましたか」
「いや、振り出し、まだ、わからない」
「そうですか‥‥‥」
「うん、どうしたのジャネット」
「それがですね、ご主人さまが、あちらに行っている間にレイチェル様から、通信がきたんですよ、ご主人さまはいますかって」
「うん、それで」
「仏なら空間は念話が届くはずなのに、連絡ができないって、言われて」
それでレイチェル様に、ご主人さまは空間に入っておいでですって説明したんですが、それなら連絡できるはずよねって」
「連絡ができなかったと言うことだね」
「はい、そうなんです」
「‥‥‥」どう言うことだ、普通なら、俺とレイチェルなら、空間に入れも念話はできるようにしている。
それができなくなっていた、と言うことは、なんだ?
あ〜、もう、頭が、こんがらがってきた。
俺は、左手を胸に当てて、その上に右手を押して、右手で顎に当てて、考え始める。
俺が、このポーズをしたときは、全員が静かにしてくれる。
俺が考えているときは、魔力の向上するらしいから、オーラの色が金色に変化すると、以前、アリシアから言われた事がある。
でも考えても、考えても、わからない。
あ〜、もうやめた。
そのうち、わかるだろ。
「あー、みんなごめん、もう帰ろうか?」
「うん、そうだね」
今、考えてもわからないことは、いつまでも考えない、そのうちわかると思うから、でも勇者の空間が気になる。
そして、それを俺に知らせてくれた存在も。夢の中で。
ほんとに最近は肉体労働よりも、精神的な疲労の方が多くて考えるのも嫌になるくらい精神が疲労してしまっている。
*
アリシア視点
またクリスが考え始めた。
でもクリスが、あのポーズをとるときには、静かにするべきだと、私たち、全員で話しているの。
というか、クリスが、考えるポーズをしているときには、みんな、黙ってみていたいのよね。
どうしたかって、格好がいいからよ。
好きな人が、何かに夢中になっているなんて、素敵だと思うから。
昔は、あんな格好していかかったけど、多くの事件を解決しているときにクリスったら、いつの間にか、あのポーズをするようになっていたの。
特に顎に手を当てて考えるポーズなんて、本当に格好いいんだから。
うちのメンバーは全員が、クリスの、考えるポーズが好きなんだと思う、それはね、クリスがあの、ポーズをすると、全員が示し合わせたように、射ばらなくなるの。
あのポーズをした時のクリスは、突然、どこかにいくこともあるけど、ジャネットや神獣たちに聞けば、わかるから、クリスも、それを知って移動しているみたい。
でも、たいてい、あのポーズになると、考えていたことが、わかった時のクリスの顔が、パァ〜ッ、ってくらい明るくなるの。
みんな、本当に恋する目になるのが、わかるから、私としてはちょっと悔しい。
本当は独り占めしたいけど、今は、昔の私の跡をついてきていたクリスじゃないから、だって、この国に勇者はクリス、一人だけだもん。
そんな人を独り占めできたら最高だろうなって、何回も思ったわ。
でも、思えば、思うほど、、わかってきた事があるの。
それは、クリスは、すごい人なんだってこと。
いつも、振り回されるけど、私たちのことを考えてくれて、守ってくれるから、クリスが、居心地がいい場所を作らなきゃって、思えるようになってきたことかな。
今でも魔法の練習をしているから、メンバー以外の人とは、レベルが違うっていうのが、自分でもわかるけど、クリスは、もっと努力しているから、その上を行っているし。
でもクリスに守られているだけじゃなく、クリスの役に立ちたいから、貴族としての習慣とか、領地経営とか、覚えることは多くあるから、今、勉強中なんだ。
今は領地のないけど、いつかは、落ち着ける日が来たら、貴族として、やっていくためにも、必要なことだと思うから。
クリスは、今も公爵の地位にいるけど、多くの国をまとめることもしているから、盟主になっているし、クリスが、国に使う潰されるような事がないようにしたいし、王にも使う潰されるようなことはないようにしなけりゃ。
今は、クリスは時間的な余裕もないし、いつ、何が起きるか、わからないような状況じゃ、何もできないけど‥‥‥
クリスが、私の元に、いつ戻ってきても、癒せるようにしたいし、一緒にいたいから。
私、頑張る、今は、それしかできないから。
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