第330話 戴冠式直前2

あの時は、本当に辛かったけど、シャーロットと知り合って、オーリス王国の事件を解決してから、本当の冒険になってしまったけど、本当に冒険者らしいことをしていたのは1年くらいだけど。


今では、俺たちのランクは、普通ではあり得ないランクになっている。


普段、旅に行く時にはギルドカードを出すんだけど、俺たちは透明化の魔法を使い、飛んでいくから、ギルドカードを出す時がない。


でも、今日は王族の警備を受け持っているので、アリシアとセラフィーナは仲良く話をしている。


王様も文官と話をしているから、俺はやることはないけど、部屋から離れられない。


今日は、瞬間転移して集まった日なので、明日もあるし、明後日が戴冠式になる。


俺はお城全体に強力な結界魔法を張ったけど、入り口だけは張ることができない。


なので俺は暇なのはあるけど、ベランダに出てきて、城の人の動きを確認する。


ちょうど、俺が担当する国の人の部屋を、見晴らしがいい部屋にしてもらったので、目でもみることができる。


そして念話で神獣たちとは連絡できるから。


俺がベランダに出て、全警戒していると、後ろからセラフィーナとアリシアが近づいてきた。


アリシア「クリス、何しているの?」


「見張っているんだよ」


「今、この国には、多くの重鎮たちが集まっていますからね」


「うん、そうだね」


「今、何か起きるとブラッドフォード大公国のせいになるからね」


セラフィーナ「でも、クリス様、大変ですね」


「そうだね、でも、しょうがないよ」


「うん、クリスは盟主って言われるけど、運送屋さんだもの」


「あっ、言ったな〜、 それを言っちゃおしまいなのに」


「あははっ」アリシアとセラフィーナが笑い出すけど。



俺は次期国王であるハワードから、相談を受けていた。


それはセラフィーナに対する謝罪だ。


王族の姫を拉致したと言うことは一大事になるからだ。


でも俺はセラフィーナには言わないで、ハワードの申し出を断った。


今は、まだ時間が必要だからといって。


だから、今は、ハワードには、知らないふりをしてくれと言ってある。


そんなに簡単に受けた傷が治ることはないから。


今は、まだ、早いと思う。


これは、詳しいことを知っているハワードだから、相談を受けたことだ。


ハワードには、自分の国が、何をしたのか、自分の父親が何をしたのか、知る必要があった。


じゃないと、いくら精神的におかしくなった父親だからと言って、王を退かせることは難しいから。


犯罪者ともなれば、意味が違う。


ハワードが、自分一人で王になると言っても、誰も認めない。


王になる自分と周りの協力が必要になるし、貴族からの意見も無視できなんだ。


反発する貴族が多いと、王族だって安心していられなくなる。


だからハワードは、以前、晩餐会を開いて、俺を利用したわけだ。


国の英雄であるし、勇者でもある俺しかできないことだから。


じゃないと国が崩壊すれば、多くの人が殺されたり、飢えたり、暴力が横行したりする可能性もあるから。


そして、ここに周辺国の王族が揃うにも意味があるから。


単純に、俺は運送屋をしているわけではない。


周辺国がブラッドフォード大公国を認めたというのが大きな意味がある。


そこまで認められたハワード王子であれば、国王としてふさわしいと貴族としては思うと思われるから、あとはハワード王子と宰相アイザックの手腕だろう。


だから今回の戴冠式と言うのは単純にハワードが王様になると言うだけではなく、ハワードが国をまとめる国王になると言う意味があるんだ。


本当に国と言うのは厄介なことが多いけど、そういう大義名分も必要だし、俺を利用することも構わないと思う。


それが必要になるのであれば。


本当に貴族になると言うのは厄介なことになるし、自分が認めた貴族なのに、その貴族が自分を認めないと言う逆の現象もあるから。


だから今回はハワードが大公国の国王になると言うのは周辺の貴族を求めないと謀反が起きたり事件が起きる可能性もあると言う事なんだ。


それを周辺国である国がハワード王子を認めたと言うのが貴族を抑制する1つにもなる。


そして、この国の英雄に祭り上げられている俺と勇者としての俺が協力していると言う点が大きく影響している。


そして俺が祭り上げられれば、俺に従ってくれているメンバーたちにも恩恵が大きくなると言う意味もある。


メンバーたちには土地は持っていないし屋敷も、もらっていないけど伯爵と言う地位にあるというのが大きい。


だからどこに行っても地位を証明するときには、ブラッドフォード大公国の伯爵と言うのを示せるわけだ。


いつまでも、俺だけが貴族ということはおかしいし、全員の協力があるから、できることだから、いらないと思うけど、貴族の伯爵は大きな第一歩だから。


もちろん俺たちは貴族を目指しているわけでもないし伯爵になろうとしたわけでは無いけど、結果的についてきたものだ。

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