第314話 勇者じゃなくなった3

神であるレイチェルが去っていった、ある程度は、レイチェルに聞くことができたので、少しだけど情報が集まってきた。


俺は、一度、アデルが言うには死んだみたいだ。


俺が死ぬのは、これで前世と合わせて2度目になる。


でも、今回は、俺自身の力で復活できた?


その力は勇者だから、救世主だから、神だから‥‥‥、まぁ、たぶん、神のスキルなのか?


なんだか、わからないことばかりで頭が混乱してきた。


神レイチェルから聞いた話では、頭が混乱するばかりだ。


上半身を起こして聞いていたけど、頭が混乱していくので、また、寝てしまった。


俺は右腕を頭のおでこに置いて目を隠した。


しばらくは、ここにいる全員が黙っていた。


そして、ゆっくりと部屋を出て行ってくれたみたいだ。


わかりやすく考えることにしたけど、今回、死んだのは、前世のアルベルトが死んだと考えることにした。


でも、どうして復活できたのか、わからない、勇者だから?、救世主だから?、神だから?。


俺は生き返ってから、一人になって考えることをしたけど、わからない。



神レイチェルは去っていなくなったから、神獣たちに、質問が多くある。


この世の中には、もちろんいると思うけど、神レイチェル以外の存在が、または、それ以外も。


ウルフの奴も、また、新しく現れた奴のことも気になる。


今は、俺が勇者だろか、救世主だろうか、神だろうか、関係ない。


目の前のことを成す、それだけだ。それに全力を注がないと、殺される。


もう復活はないかもしれないのだから。



俺は頭に腕を乗せて目を隠しているけど、涙が一粒、流れ落ちた。


よかった、誰もいなくて‥‥‥


俺は前世のアルベルトの時に死んで、そしてクリスとして魔物に襲われて死にかけている。


あ〜ぁ、俺の人生って‥‥‥


本当に泣けてきてしまう。


「うっうっうっ‥‥‥」


その時、誰から俺の手に触れた。


触れた手を涙を見られないように、見てみるとアデルだった。


また隠密で隠れていたのか‥‥‥


「ご主人さま、泣かないで‥‥‥」


「私も悲しくなっちゃう」


「ご主人さまが殺される前に、もう少し早く出ていくことができれば‥‥ごめんなさい‥」


俺、体を起こして涙を拭きながら、アデルの頭に手を置いた。


「アデルのせいじゃないよ、俺が弱かっただけだよ」


「違うよ、私が、奴に怯えなければ、もっと早く、ご主人さまのもとに‥‥‥」


俺は話を逸らした


「でも、アデルが無事でよかったよ」


「うん、私は隠密が得意だもん、というか、それしかできないんだ」


「うん、本当にありがとう、アデル」


と言って頭を撫でてあげると、アデルは嬉しそうな顔をしている。


俺が生きてて、アデルが死んでいるなんてのは、見たくない。


本当に、よかった。


俺が起きあがろうとしたので、アデルは手を貸してくれた、俺はベットから足を出して、立ち上がった。


ベットの横に置いているテーベルの椅子に腰掛けた。


アデルも椅子に腰掛けながら、どこから、出したか、わからないけど紅茶を出してくれた。


「はい、ご主人さま」


「ありがとう、アデル」


俺は、暖かい紅茶を飲みながら、考えている。


アデルは、椅子に座って、黙って俺を見ている。


今までのことを考えていると、俺を殺した神レイチェルに偽装していた奴、そこに俺が神になった理由があるような気がした。


でも、俺って、いつから神になったんだろう?


指輪のステイタスを初めに確認した時には、書いてなかったと思う。


その後は、あまりステイタスは見ていなかったけど、スキルを開発した時には、そのスキルしか見ていなかったからなぁ


でも指輪をはじめに、はめたときのステータスではなかったはずだ。


ここは考えてもわからない。



ウルフと戦った時には、俺はもう神のレベルになっていたから、ウルフが弱く感じたのか。


ウルフと戦って、以前はウルフはヤバい奴だと思ったけど、 修行をし俺が強くなったから恐れなくなったと思ったんだけど、違うみたいだ。


ウルフが使った黒い魔法は、結構、危なかったけど、あとは楽勝ムードだったのは、神の能力のおかげかぁ


神の能力って言ったって、何が変わったのか、わからないから、もう指輪はないけど、ステイタスを開いて確認してみる。


そうすると、数が異様に増えている。


読むのも、めんどしいくらいの量になっている。


一ページでは収まりきらないので、次のページにということまで書いてある。


そこに書いている、分野別に、回復魔法を行使してみる。


もっと自分の体が早く回復するように、傷はないけど、血を流しすぎたと思うんだけど、その影響かわからないけど、体がだるくて、重たいから。


読むのが面倒しいので、自分の体が回復する魔法で最上級と考えて発動させた。


俺の体が光り輝き出して金色の 小さい粒子みたいなのがキラキラ光りながら飛んでいる。


そうすると体のだるさが取れて、動きもよくなってきた。


それを見ていたアデルは「ご主人さま、すごいです」と言ってくれた。


「ご主人さまの体が光って綺麗でした」


「ありがとう、アデル」


もう ベッドに寝ておく必要はないだろうと思っていたら、部屋にアリシアが入ってきて、俺が起き上がっているのを見て、俺のほうにスタスタと歩いてきて

「 もうクリス、寝てなきゃだめじゃない」と言ってきた。


と言って俺の手を引いて、ベットに連れて行った。


「もう回復したよ‥‥‥」というと


「でも、だめだよ」


と言って俺をベットに寝かしつけて、布団をかけた。


あれっアデルが、いつの間にかいない‥‥‥


どうもアデルは、アリシアに怒られると思ったみたいで消えたか、部屋を出たみたい。


俺もアデルを探ろうとはしなかった。


アリシアは、俺をベットに寝かしつけると、椅子を持ってきて、横に置いて座った。


「もう、私、クリスが死んだって聞いて、驚いたよ」


アリシア「私たちが、屋敷にいた時にウルフが現れたでしょ。その後ろにクリスがいたから、安心していたけど‥‥‥

クリスとウルフが消えて、半日くらい経ったら、急にジャネットから念話が入ったの、ジャネットと念話は初めてびっくりしたけど、あのジャネットが慌てているんだもの。

普段、冷静で、話してくれるジャネットが慌てて、念話を送ってきたんだけど、何言っているかわからないし、これは、大変なことがクリスに起きているって思ったのよ。

そうしたら、ロゼッタとアレクが急に部屋に転移してきて、みんな集まってっていうの、理由を何も言わないんだよ‥‥‥

だからロゼッタとアレクの周りに私ちが集まると、もう、ここにいたの、そうしたら目の前にクリスがベットに寝ているし」


「もう、私も、訳わかんなくなっちゃった」

「涙が出てくるし、みんな泣き始めるし」


「私たちが泣いていると、クリスの体が急に光だして息をし始めるし、もう‥‥もう、クリス心配させすぎ」


と言って俺の 両側のほっぺたをつねってきた。


そしてアリシアは、俺の上に体を預けて泣き始めた。


「よかったよ〜」


「心配かけてごめん」


でもアリシアは動かなかった。


しばらくアリシアは泣いていた。


やっと体を起こした時には、目が真っ赤になっていた。


アリシアは、まだ、グスンッて言っているけど、だいぶ、落ち着いたみたい。


寝ている俺の手を握ってきた。


「じゃ、今日はゆっくりさせてもらうよ」


「うん、それがいいよ」と言ってアリシアが顔を近づけてきた。


俺の顔に近づけたアリシアの顔は、まだ、目が赤いけど、キスしてくれると思って目を閉じたら、 片方のほっぺたをつねられた。


「元気になってからね」と言ってアリシアは部屋を出て行った。


今度こそ、誰もいなくなった部屋に、俺は寝ているけど、今、考えなきゃいけない事は、逃げたウルフと神レイチェルの姿をしたやつだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2023年2月19日

今まではプロローグ7で終わっていたのを、プロローグ10までに増やして変更しております。


特にライラとアルベルトのシーンは大幅に変更を行いました。


変更がないシーンもありますが、特に力を入れたのはプロローグ9、10です。


ライラとアルベルトのことを書いてあります。できたらお楽しみください。


最後にブックマーク、ハートマーク、星マーク いつも励みになっております。

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