第313話 勇者じゃなくなった2

指輪は壊れてしまったけど、ステータスを、なぜだか見ることができた。


そのステータスには、今まで称号としては勇者の称号と救世主の称号があったはず。


それが、なぜだか、わからないけど勇者の称号がなくなっていた。


救世主の称号はあるけど‥‥‥


いちど俺は死んだみたいだから、死んだから剥奪された?。


そんな薄情な……  勇者のスキルが使えなくなる。


死んだら、もう次の人に渡るのかな?


あ〜また、 スキルを取得するのに数日以上かかっちゃうよ。


俺が、がっかりしている様を見てジャネットが、


「 ……ご主人様、たぶん見てるところが違うと思いますよ」


「 そこじゃなくてですね、勇者の称号が表示されていたところよりも上の部分があるでしょう」


「えっ、と、あっ、これ?」


俺は見た瞬間に固まってしまった。


そこに書いてある文字は、一文字だった。


まだ、回復し切らない体を前屈みでステイタスをみると、そこに書いている文字は、神 の一言。


「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」


アリシア「えっ、なんて書いてあったの、クリス」

イザベラ「教えなさいよ早く」

ソフィア「そんな驚くことなの?」

シャーロット「何が書いてあったんですか?」

コリン「‥‥‥」

セラフィーナ「どうしたんですか?」


イザベラが、イライラして腰に手を当てて「は、や、く、言、え」と俺に近づいてきた。


アリシアとソフィアがイザベラを止めてくれている。


アリシア「まぁ、まぁ、落ち着いて怪我人なんだから、イザベラ」


2人が止めてくれなければ頭に拳骨が落ちていた。


「それで、なんて書いてあったの」とアリシア


「え~とね、神だって……」


それを聞いていた神獣たち以外の全員が、

「…………えええええええええええええっ~~~~~~」


神獣たちは、どうして、知っているんだろう??


神獣たちは全員が、驚かない。知っていたのかな。


神獣たちに 「君たちは、もしかして知っていたの」


「……はい」ジャネット


「いつから……」


「私たちも、はっきり、知っていた訳ではありません。なんとなくですが、神レイチェルが現れたときです」


「神は、一般の人の前に現れることはありません」

「神は、私たち神獣の前には現わしますが、人の目の前に来ることはありません」


「人の前にお姿をお見せになる時は、人ではなくなった時だけです。」


「えっ、でも、俺って、神レイチェルに殺されたんだけど……」


そこに思念が送られて来た。


俺の話をジャネットが、誰かに思念波を送っていたみたいだ。


俺も、どうして、そんなことがわかるのか、理解できていないけど、わかる。


「ジャネット、入れてくれる?」


誰かが、思念波で、空間に入る許可を求めている。


「はい、わかりました」


ジャネットが走って、部屋からでていく。


しばらくして戻ってきたジャネットは、エロ神と一緒だった。


でも俺が貸した上着を着ているから、見えないけど、はち切れそうだ。


あくまでも、貸しているだけ!


あ~でも、もう、戻ってこないだろうな?


匂いも、ついているから、やばいかも……もう、あきらめるしかないかぁ


でも俺はベットの上で、一応、身構える。


神レイチェルは、「大丈夫でしたか?」


「…………」


「あっ、そういえば、私に殺されたんですよね」


「…………」


俺に近づこうとする神に、俺は、ベットの上で少しだけ後ずさった。


ジャネット「こちらの方は、心配ありません、本物ですから」


アレク「うん、大丈夫だよ」


アデル「はい、本物ですから」


「やはり、あのときの神は偽物??」


「そうです‥‥‥」


「じゃ、誰が‥‥‥」


「それは、今は、わかりません。わかっていることは人ではないと言うことです」


「そういえば神レイチェル様」


「レイチェルでいいですよ。呼び捨てで構いません。今回、あなたには、非常に、ご迷惑をかけています」


「じゃ、レイチェル、ウルフの奴は、どうなりましたか。あなたなら知っていますよね」


「逃げてしまいました、あなたを殺した人と一緒に」


「私も空間の中までは感知できませんでしたけど、いつの間にか、ウルフは世間に存在していましたから」


「そしてアデルの話から、クリスを殺した人物がいるとわかりました」




「ウルフが、猪だった時には、家族を作っていたのは、知っていました。家族を作るのは知っていましたけど止めはしませんでした」


「でも私が他のことで忙しくしていた時に、事件は起きたみたいです。


家族が何者かに殺されて、神獣の猪は、暴走を始めていきました。


その時には、もう猪の神獣は精神支配を受けているみたいでした。


そして唯一、神獣が死ぬことができる火口に自分から入ることを選び、猪は一度は、死にました。


でも数百年の時を置いて、猪はウルフの神獣として復活しました。


私は、すぐにコンタクトを取ろうとしたんですけど、神獣のウルフは拒否してきました、拒否しただけじゃなく、黒い手刀で私を襲ってきたんです。


襲われた私は、瞬間転移で神の世界に逃げ込みました 」

レイチェルが一気に、今まであっことをしゃべっている。


「あれほど、変わって復活した神獣は始めてでした。しかも、何者かに精神支配を受けていました。」



「レイチェル、ちょっと聞きたいけど、ウルフの家族が殺される日の数日前、ウルフに命令は?」


「もちろん、していません。まだ状況が、そこまで悪くなっていませんでしたから」


「私も、そちらばかり注目していましたから、まさか神獣が狙われるなんて思っていませんでした

神獣たちは人とは違いますので、人から狙われることはありません。

それを狙ってきたということは、人以外のものの仕業だと思います」


「人以外のものとは?」


「それは、わかりません‥‥今、はっきり、それを言ってしまうのは」


「なんとなく、だけど、わかっているということ?」


「はい、しかし誰かまでは‥‥‥掴めていません」


「そうなんだ」


「はい、申し訳ありません」


「じゃ、話を変えるけど、俺が勇者じゃ、無くなったのは?、俺は見捨てられた、と言うこと?」


「とんでもありません、あなたには、これからも動いてもらわなければなりません」


「でも、勇者のスキルがなくては‥‥‥」


「本当は、あなたは勇者のスキルは使っていませんでしたよ。勇者のスキルなんか、できる範囲が決まっていますし」


「えっ、そうなの?」


「はい、あなたが勇者のスキルと思って、使っていたのは、神としてのスキルです」


「神としてのスキル?」


「はい、クリスが勇者になったときに、あなたのステイタスは、まだ無限大だったでしょ?」


「うん、確かに‥‥‥」


「 称号が勇者になっても、無限大だった」


「勇者は人ですから、無限大なんてありませんよ」


そう考えれば、俺のステイタスが無限大の意味が、ようやく理解できてきた。


今まで、どう考えてもわからなかったことが、やっとわかった。


勇者だから、無限大と思っていたけど、違ったんだ、少し悲しいような‥‥‥


じゃ、俺は勇者として名乗れない‥‥‥短い間でした。


心で考えていたら、

「クリスと呼ばせてもらいますけど、あなたは今でも、この時代に、ただ一人の勇者ですよ、そしてあなたが救世主でもありますから、そこは、変わりませんよ」


「えっ、そうなの?」


「はい」


「だって、あなたを見ていると、女性に言い寄られて、恥ずかしがる勇者はいませんよ」


なんだよ、それ関係ないじゃん


「いいえ、関係あるんです、勇者でも邪な考えを持つ勇者もいますから」

俺の心の声が筒抜け‥‥‥


「勇者というのは、何かあったときに、人をまとめなければいけません。今まであなたは何をやってきましたか?」


「えっと、国同士が仲良くなれるように?‥‥‥」


「そうです、初めは、あなたが、どうやるのか見ていました」


「あなたが、ことを成せばなすほど、勇者としての称号は明らかなものになっていきました、これもあなたが全て、成したことです」


「人の心を纏めること‥‥‥、それが盟主って言いましたよね‥‥‥」


「はい‥‥‥」


「ただの冒険者が、そんなことできるもんですか」


「あなたは、勇者の素質が高くありましたが、それでも邪な方に走る勇者もいます。調子に乗って、スキルを言いふらすような勇者もいました。

女性を集めるために勇者を名乗ったり、スキルを見せびらかせたりする勇者もいます。

あなたには、ツラい前世もあったでしょうが、今まで、あなたを見ていた、私は思います。あなたこそ、歴代の勇者の中でも最高の勇者だと」


褒められたので、照れて頭をかいた。


「今は、どこかに現れた魔物を狩るくらいの勇者であれば、よかったのですが、そういう状況じゃありません」


「あなたしか、いないんですよ、クリス」


神レイチェルはベットに近づいて俺の手をとった。


「いいですね、あなたは弱音を吐くことはありますが、自分からは威張ったりすることはありません。

でも、いざ、あなたが本気で動く時には、すごい能力を発揮します。

それは、ここにいる全員が知っていることです。

その力が勇者というよりも、クリス、あなた本人の力だと思いますよ」


「クリス、自信を持ちなさい」


「今も、あなたは勇者であり、救世主であり、神なのですから」


そういうと神レイチェルは、黙って、部屋からジャネットと共に出て行った。


なんだか、頭が混乱している。


俺はベットに背中から倒れ込んだ。

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