第276話 俺

俺が前世で死んで、クリスとして現世に引き継いだもの、それは魔法の能力、そしてクリス自体の魔法の能力の適正と高さ。


アルベルトとクリスは、同じようなものだけど、アルベルトの意識を持ちながら、クリスとしての二人が統合された存在が俺だ。


アルベルトの意識とクリスの意識を統合することができた、あの日、村で俺は魔物に襲われて怪我を負ったことでアルベルトの意識を覚醒することができた。


でも、たぶん、アルベルトの魔法力でも足りない。


アルベルトの魔法力にクリスの魔法力と適正値の高さが、魔法力が無限大の意味なのか、または他の何かが介入して、無限大になっているのか、わからない。


とにかく迷宮で獲得した指輪で無限大の数値を示すのであれば、それに応じようじゃないかと思う。


俺が、なすべき事、それが俺にできるのか?


俺が前世の能力を継承しながら、能力の拡大をしてきたというよりも、できた理由が、そこにある気がする。


迷宮で指輪をもらって、ステイタスが無限大と言う意味、今まで、その無限大という意味がわからなかった。


指輪で見ることで、わかったこと、俺が考えなければならないこと、今、何をなすべきか?


俺には、まだまだ能力を上げることができると信じたい。


今までは、俺は、いろいろなことを研究したり、開発することをやってきたが、アデルの隠密を聞いて、気がついたことがある。


使えるだけじゃなく、精度もあると言うことだ。


精密さ、血密度を上げる必要があるし、他にも使えるような魔法を考えなければ。



俺に神獣たちが、召喚できたのも、集まってきたのも全て理由があったわけだ。


俺が今から成さなければいけないこと。


このままでは300年前の悲劇が、また繰り返されてしまう。


俺は国との友好関係を結ぶことが、悲劇が起きにくいと考えていた。


友好関係を大きくなればなるほど、手を出しにくくなるから。


しかし悪いことをする奴らに対して、そういう考えは甘かった。


実際に今までは国が悪事を働いている場合が多かったけど、国を動かすほど悪事を働く奴がいることは忘れていた。



実際に世界中を見て回ったわけでは無いから、俺たちみたいな奴が居るかもわからない。


俺は英雄になりたくてやっているわけでもないし、勇者と言うわけでもない、本当に俺は300年前に殺されたアルベルトの意識として存在してクリスの人生を引き継いでいるわけだ。


いつまでも死んだことに怯えながら生きて行かなければいけない人生なんて、意味は、ない


もっと、俺として生きていかなければ!


いつまでも怯えていないで勇気を振り絞らないと。


俺は思う、パーティーメンバーに恥ずかしくないように頑張ろう。


温泉を出た後、部屋で洋服を着て、置き手紙を残してダイラス連邦に行ってくると書いて、ダイラス連邦の地下3階の閉鎖された部屋に来た。


ここには前に住んでいた人の研究資料や書物が多く残っている。


最近は、なかなか、ここに来ることがなかった。



今回、見つけなければいけない資料は、…


いや、待てよ


フェニックスのジャネットのように未来を予知する力


狐のアデルのように、誰にも感じさせることができない隠蔽の力


神獣は、それぞれに特徴がある力を持っていると思う。


これは、何かのヒントなのか?


俺に気づかせるためか?



研究資料を見ると言うよりもヒントを与えてもらうつもりだったけど、俺自身が考えて見つけなければいけないんだ。


指輪のステータスを使って自分の能力を確認してみても、やはり無限大の能力とだけ書いてある。


他のメンバーのステータス表には、使える能力が表示されていた。


昔、俺のはどうだ?


無限大の能力以外は、何も書いていない


と言う事は、今現在使っている魔法も完成されていないから?


もしかしたら1つずつの魔法を向上させていけば、俺のステータス表に、それが表示されるんじゃないか?



ちょっと今でも、考えてみることにした。


まずは、一番、使える転移の魔法から。


この部屋には端っこのほうに、汚い大きな鏡が置いてある。


それを自分の前に持ってきて、汚れているから、その辺にある布で少しだけきれいにした。


そして鏡に映った自分を俺は見る。


体に力を込めて魔法を強めていく。


そうすると鏡に映った自分は色が変化してきて、金色に輝きだした。


それを何回も、何十回も練習してみる。


息が切れて、ハァハァ言ってる。


それでも、なおかつ繰り返す。


5時間くらいやり続けていただろうか?


少しずつだが、金色の度合いが変化してきた。


しかし集中力もここまでで、俺は少しソファーの上に横になった。


「はぁ〜キツッ」少しだけ弱音を吐いてしまった。


少し休憩を挟んで、また同じことを繰り返す。


しばらく同じことを繰り返していた。


時計を見たら俺は、もう朝かと思ったけど、ここで集中を切らさわけにはいかない。


さらに集中を高めていくと、俺は練習を始めてから、初めて転移した。


転移して現れたのは、オーリス王国の俺の部屋だ。


以前よりも瞬間移動が速くなった気がするし、以前は転移すると一瞬だけ暗くなったんだけど、そのロスがなくなった。


そして指輪の力でステータスを出すと、やはりそこには、魔法の固有名称が表示されていた。


それが、瞬間移動と表示されている。


そしてその横には、レベル9、と表示されていた。


やはり俺のステータス表には、下位レベルの状態では表示されないみたいだ。


しかしレベル9と言う事は、さらに1だけ向上する余地がある。


俺はまた、この部屋から先ほどやったように集中しながら練習を始めることにした。


パーティーメンバーは、今、朝だから、どこにいるかわからない。


屋敷が静かだ。


じゃぁ、始めようか


集中をできるだけ早く済ませることに鍛錬する。


そしてまた、ダイラス連邦の秘密の部屋に戻ってきた。


先ほどよりもさらにスムーズに瞬間転移ができるようになった。


ほとんどタイムラグがなく、一瞬といってもいいほどの時間しかかかっていないと思う。


これを、さらに練習を積み重ねていく。


数時間の練習を積み重ねていくと、指輪のステータス表を出すと瞬間移動の項目がレベル10まで上昇していた。



フェニックスのジャネットからは、未来の事だと言う事しか聞いていないが、いつの未来なのかわからない!


その未来と言うのは明日かもわからない。


俺には、時間がないのかもわからない


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2022年、2月23日(水曜日)

プロローグ編、そして1話から20話まで書き換えました。


初めはプロローグ編はありませんでしたが、増えていき、ついに10ページにまでなりました。


プロローグ編は1〜10あり完成しましたので、ご報告いたします。

特に最後は、力を入れましたので、お楽しみいただけると思います。


さらに第1話から20話までを新しく書き換えました。


プロローグはアルベルト編になっています。


アルベルトの成長と家族のこと、そして軍隊でのツラい生活、そしてライラとの出会いと‥‥‥お楽しみください‥‥‥作者より


お読みくださりありがとうございます。


いつも評価してくれる方、本当に励みになっております。

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