第274話 休養

それぞれの国が友好を結ぶと連絡があったのは、その日だった。


俺たちは、神獣たちにも手伝ってもらい、瞬間転移を多用して国の要人を、それぞれの国に連れていくことをした。


今回は、神獣たちには、よく働いてもらった、


というのは大変、だったんだけど、オーリス王国(俺の国)、ダイラス連邦(丘に温泉がある)、サイラス国(魔族の国)、ライオネル公国(セラフィーナの国、海辺の別荘がある)、ブラッドフォード大公国(誘拐事件の主犯の国・山荘があって温泉がある)、リッチェスト国(戦争を仕掛けてきて王が変わった国)、


一応、本当の調印は、オーリス王国で行ったんだけど、それぞれの国で形だけの調印式をしなければならないらしい。


調印式をオーリス王国を除く、5カ国でする必要があるので、大変なことになってしまった。


式典の当日、まずはオーリス王国での、本当の調印式をするため、他の国から、要人を連れてくることから始める。


連絡は、全て俺を経由すれば、取れるので、瞬間転移をしなくて済むのはよかった。


陶器のリンゴが通信装置なので、用事がある人がリンゴに触れると、俺への通信が始められる。


だから通信ができるリンゴは、いつも誰かがいる部屋に置かれることになった。


いつでも通信ができるように。


いつでも通信ができるのは、文官の部屋に置いている場合がある。


そして一応、メンバーを、それぞれの国に配置することにした。


アリシアとアレクには、オーリス王国


ソフィアとジャネットは、ダイラス連邦


イザベラとロゼッタには、ブラッドフォード大公国


コリンとアデルには、ライオネル公国


リッチェスト国には、パトリシアとエイミーとアイリスにした。


セラフィーナは時期、王様だからできないし、シャーロット王女も当事国だから、急がしそうだ。


そして俺は、オーリス王国が中央にあるのでオーリス王国の王城で。


俺が借りている部屋で、俺とアリシアとアレクがいるわけだ。


俺に連絡しなくても神獣たちは道具を使わなくても魔法通信を使えるし、瞬間転移もできるから。


その手助けとして、メンバーもいる。


俺に報告しなくても、動いてもらえるのは、すごく助かる。


数日、置いて、あとは全部の国で、形だけの調印式を行う。



俺のパーティーメンバーは、、国家的な行事を行ってきたので特別に、全ての国から感謝され、貴族位の子爵をもらうことになった。


ここ1ヵ月間は、かなり俺たちも忙しい日を過ごしていた。


そして今回の件でライオネル王国の国王から俺が盟主になっては、どうかと言われたときには、どうしようかと思ったが、俺は全員の了承があればと言っておいたが、ライオネル国王は、すぐに全員の了承をとることに成功してしまった。


あまりにも簡単と言うか、全員が俺を盟主としての力を借りたいと思うなんて、俺も全部の国が了承するとは思っていなかったので、俺自身も初めは躊躇した。


あまり表の舞台には立ちたくなかったんだが。


やっと国が少しずつでも、連携が取れるようになってきた。


そして調印式にも俺が、王族と並んで座っているので、人の噂になるくらい人気が出てきたそうだけど‥‥‥


「あの人は、だれ?」って、声をよく聞くことが多い。


ただのコマ使いですよって言いたくなるけど‥‥‥なんだって俺、もうすぐ17歳だけど、背が小さい。


もう伸びないのかな?



最近は忙しく、温泉に入りに行くこともできなかったので、久しぶりに休養とって、ブラッドフォード大公国の山荘に来ている。


この山荘は、山の上のほうの斜面に立っているので、景色は、すごくよく、空気も澄んでいて気にいっている。


以前、来たときに魔法の実験をしてしまい、屋敷周辺の木が、切り倒されて余計に見晴らしが良くなってきている。


温泉も硫黄の匂いが強く、温泉に来たと言う感じだ。


今回は初めて、新しく参加した神獣たちも一緒に連れてきた。


今回は14人で来ている。


あっ、そういえば、ここは家族風呂1つだった。


忘れていた!


温泉に入りたいと言うばかりに集中してしまって、脱衣場もなく、温泉も露天が1つだった。


決して、わざとじゃないよ


どうしようかと思ったけど、全員に説明してみることにした。


「うっかりしていたけど、ここには洋服を脱ぐ脱衣場も1つだし、温泉のほうも露天が一個だけなんだけど、どうしようか?」俺が聞くと、


顔を見合わせていた神獣たちが、


今まで一緒に入ったことがあるメンバーは関係ないと言ってくれたけど、それに続いてエイミーとアイリスも大丈夫だと言った。


問題はジャネットとアデルだけ。


「今まで、どうしていたの?」とジャネット


「タオルを巻いて入っていたんだけど」と俺


「じゃぁ私たちも、タオルを巻いて入ろうか?」とジャネットはアデルを向いて言っている。


アデルは、恥ずかしそうにしていたけど、了承した。


「本当は、私ここに入ったことがあるの」とアデルが言ってきた。


「えー、そうなの?」


「うん、実は姿かたちを見えないようにして、一緒に来てたんだよね」


「でも、その時にはタオルを巻くと見えるから、タオルをしないで入ってたの」とアデル


「でも、誰にも気づかれなかったから」


「その時に、見えての」


「えっ」


「クリスのアソコが」


俺は、顔が赤くなった。


アデルが何に恥ずかしそうにしていたのか理由が、やっとわかった。


思い出していたのか!!


なんだか全員が気まずい感じになってきた。


この空気を吹き飛ばすためにも、「じゃぁ入ろうか」と俺は、俺は言った。


なんだか空気が、変な感じになったけど、俺は思い切って言った。


壁際を向いて洋服を脱ぎだした。


こういう時は、さっさと洋服を脱いで露天に入ってしまおう。


脱衣場で俺は、さっさと洋服を脱いで、タオルを巻いて露天風呂に入った。


しばらくすると女性たち全員が、一斉に露天風呂にタオルを巻いて入ってきた。


タオルを巻いていても、わかるくらいブレンダの胸がすごい。


タオルからはみ出しそうだ。


あまり見ているのも良くないので、俺は景色を見ることにした。


今は夕暮れだ。


星が少しだけ見えている。



「みんな、これからは貴族としてのいいところもあれば、悪いところもあるけど、俺たちは基本的に今まで通りだから」


「貴族としてのしがらみも関係なく、今まで通りにやろうね」と俺は全員に対して言う


アリシアが「まさか、クリスに言われたことを一生懸命やってきたら、クリスが盟主になって、私たちが子爵になるなんて」


「クリスの、やってることって、国家的な行事だね」とソフィア


「一生懸命、周りで起こっていることを変えようと思ったら結果的に、なっちゃってるんだよ、自分でも不思議だと思うよ」と俺


「俺も初めて、伯爵になった時だって、オーリス王国に攻め込んできたガルシア帝国を、戦争が起きないように止めたのが原因だからね」


「本当は誰にも知らせることもなく勝手に自分だけでやっていたら、いつの間にか、それが国が知ることになってしまって、貴族になったんだよね」


ジャネットが「それが、アレクとパトリシアとロゼッタの3人が、あなたに、従った理由だと思う」


「本来なら、召喚されて、すぐに主従契約を結ぶ事はしないから」とジャネット


「私たちだって、簡単に主従関係を結ぶ事はないし、主従っていうのは、その人に従うわけだから」とジャネット


「クリスの、特性を見抜いたんだと思う、一番、初めにアレクが従った理由でもあるし」


「えっ、どういうこと」


「だって、虎っていうのは性格上、一番、疑い深いんだから」


俺はアレクの方を見たが、アレクは頭をかきながら、エヘヘと言っていた。


「そして聞いたら、アデルだって隠れたままで、ずっといたんでしょ」とジャネット


そうだった、以前アデルは隠密状態で初めから付き添っていたと言っていた。


「アレクもロゼッタもパトリシアも、そしてアデルも、見ていればわかるもの、あなたがいい人だって」


「だから、私もあなたに従うことにしたんだから」とジャネット


「あなたは、これからもっと大変なことになると思う、でもそれを乗り越えていけるだけの力がある人だから」とジャネット


「それは買いかぶりすぎだよ、俺なんて本当に小心者で、失敗ばかりだけど…」


「それは、あなたが、まだ完全に覚醒していないからだよ」とロゼッタ


「俺が、まだ覚醒していない?」


「そう」


ジャネットが「私には、予知する力があるの、それもかなり遠い未来まで」


「どうして、私たち7人があなたに出会ったのか、理由があるの」とジャネット


今日は、なんだか怖くなったが


「それは、どんな未来なの?」


「それは、あなたが、その時になったらわかること」


ジャネットは、「未来は、変えられるわ」


俺はちょっと精神的にショックを受けていた。


こんなに努力をしても将来を変えることはできないのか!


また、同じようなことが起きてしまうのか?


自分が死ぬ未来‥‥‥


せっかく、ここまで頑張ってきたのに!


時代の流れは、いつまでたっても変えることができないのか!


俺は悲壮な顔をしていた。


前世の300年前と同じように、俺は戦争に巻き込まれて死んでしまうのか?





俺の考えを察知したかのように、


「いいえ、これからのあなたしだいよ…」とジャネット

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る