第238話 ブラッドフォード大公国 5

結局は、ブラッドフォード大公国に行くのは、女性が9人で男性は、俺1人。


総勢10人のメンバーになってしまった。


しかも、あまり旅に慣れていないシャーロットと、少しの経験しかないセラフィーナがいる。


「ハァ〜先が思いやられる」と小さく声に出てしまった。


セラフィーナとシャーロットは、俺たちともレベルが違いすぎる、言っちゃ悪いけど仕事のような存在だ。


セラフィーナも国から出て冒険をしようとしていた時に誘拐犯に護衛を殺されてしまって捉えられていたわけだけど冒険者としての経験が、そんなにあるとは思えない。


新人の2人が入って、経験をさせると言うよりも守らなければいけない存在だ。


その理由としては次期国王と姫様だからだ。


次期国王のセラフィーナとシャーロット姫には経験をさせながら魔法の練習もしてもらおうと思っているけど、メンバーとレベルが違いすぎるから、どうやって魔法の練習をしようかと考えている。


ましてや神獣たちのことを、どうやって説明するかと言う問題や、全て見せていいのかと言う問題もあるけど、この先のことを考えるとバラしたほうがいいかもわからない。


俺の能力はある程度、話で聞いていて目で見えるのは瞬間転移だけだ。


瞬間、王女が城の部屋に入るときに見ているから問題ないと思うんだけど、 でも一緒に行動するんだったら俺の能力や神獣たちの全てを話したほうがいいだろうと思うし、シャーロットとセラフィーナはそれに値すると思う。


つまりシャーロットとセラフィーナ新メンバーと同じレベルを理解してもらうようにした。


城に置いてある通信魔法装置から連絡が来た。


「あの〜 用意が済んだので迎えに来て欲しいんですけど」とシャーロット王女


馬車で来ればいいじゃないかと思ったけど、しょうがないから迎えに行った。


俺が城に瞬間転移で現れたら、目に見えたものはシャーロット王女と次女と大量のカバン


「 あれ、どこかに旅行に行くんですか?」


「 あー、ひどい公爵」


「 荷物が多すぎるんじゃないですか?」


「 これでも最低限にしたんですよ」


「 まぁ、しょうがないですね、 この荷物、俺の異空間収納に入れて預かっていいですか?」


「 はい、ぜひ、お願いしたい」


「 分りました」


そしてすべてのトランクを異空間収納のに入れた。


「あの、 下着の入っているトランクがあるんですが、それを開けたり、見ないでくださいね」


「‥はい、はい、わかりましたー」


なんだか疲れてきた。


シャーロット姫の荷物を異空間収納に入れて屋敷に戻ってきた。


「じゃ、セラフィーナを迎えに行ってくる」と言って瞬間転移した。


セラフィーナのいるライオネル公国に瞬間転移で現れた俺は、連絡を していなかったことに思いを馳せることなくセラフィーナの部屋に瞬間転移してしまった。


俺がセラフィーナの部屋に現れたら、セラフィーナは着替え中だった。


「 きゃーっ」と言われてしまった。


「姫様、どうしました」と言って侍女が扉を開けて入ってきた。


「あ〜びっくりしただけだから、もういいわよ」と言って侍女は納得した顔で部屋を後にした。


「ごめん」 といって俺は後ろを向いた。


「 もう、着替えましたからいいですよ、現れるときは言ってくれないと」


「本当に、ごめんね」


「 もういいですったら、公爵には温泉でも何度も裸を見られているんですから」


何度でもなく、たった数回ですよ、と心の中で思った。


「 用意が整いましたか」


「 はい大丈夫です」


「 えーっと荷物はどこにあるんですか」


「 えっ、バック1つですよ」


「そうなんですか?」


「 今から冒険に行くわけですからいつ盗賊とか魔物に襲われるかもわからないのに、たくさんの荷物を持っていきませんよ」


「 そ、そうですよね、 いや〜わかってらっしゃってよかった」


「 笑言えばシャーロットが一緒に行くって言ってましたよね、もしかしてシャーロットは荷物が多かったんですか」


「 えー、実は」


セラフィーナが笑い出した


「やっぱりシャーロットは、お姫様ですね、 シャーロットは冒険をしたことがないから、もしかしてドレスで来ていないですか」


「はい、きています」


「 じゃあ、しょうがないからサイズが同じくらいだから、私の外出着を貸しましょうかね。」


と言って、もう一着、洋服を持ってきた。


「はい、よろしく」


そして俺とセラフィーナは2人で、オーリス王国のみんなが待っている屋敷に転移してきた。


瞬間転移で俺の部屋に戻ってきたが、そこには全員が揃っていた。


セラフィーナがシャーロット王女のドレスを見て、やっぱりか、と言う顔をした。


「シャーロット、ドレスからこれに着替えて」


「 えー、セラフィーナ、これじゃダメなんですか?」


他のメンバーたちは、シャーロットが、いつもの格好をしているので気がつかなかったそうだ。


「 多分サイズが 会うと思うから、ドレスからこの洋服に着替えてくれる?」


「はい、わかりました」 シャーロットの声が暗い


突然シャーロットがそこでドレスを脱ぎだしたので、みんながびっくりして俺の方を見た。


俺も慌てて「 シャーロットちょっと待って」


「えっ、あっ、 気が付きませんでした。」


俺は瞬間転移で部屋の外に出てきた。危なかあった〜


そして部屋からアリシアが出てきて、もういいわよ、って言ったので部屋の中に入った。


冒険者の服に着替えたシャーロットを見て、なんだか笑いそうになった。


「 あ、クリス公爵、私の格好、見て笑ってません?」


俺の顔は、まだ笑いを我慢しているが「 笑っていませんよ」 と言っておいた


「ぷっ」つい吹き出してしまった。


「あーやっぱり」と シャーロットが怒りだした。


全員が、まぁまぁと言ってなだめてくれている。


「 私、普段はドレスばかり着ているので、ズボンとか履いたことないんですよね」


「じゃぁ用意ができたところで、ちょっと練習しよう」


「えっ、 何の練習するんですか」


「旅に 行くからだよ」


「???」


「じゃぁ全員、俺の周りに集まってくれる屋敷の外に転移するよ」


俺がそう言うと一番に近づいてきたのはシャーロットだった。


セラフィーナは飛行魔法は経験があるけど、シャーロットは初めてだから練習が必要だ。


初めて行く場所では無いけど、早めに飛行魔法に慣れてほしいからシャーロットと練習した。


シャーロットが上空で パニックに陥らないようにしなければ。。


そのため「今から飛行魔法で空を飛ぶから、できるだけ僕に抱きついてくれる。」と俺が言う


そうするとメンバーの数人が、むくれる


それを無視して、シャーロットをできるだけ近くに寄せて、俺もシャーロットを抱き寄せる。


少しシャーロットの顔が赤い。


でも冒険者だったら、ここまで必要はないんだけど、特殊な経験がない姫だから必要になることもある。


上空でパニックになったら本当に危険だから。


もちろん、シャーロットが近くにして抱きつくのがいいとか、触れると言うのも少しはあるけど。


それだけじゃないよ!


俺は抱きついているシャーロットとともに、少しずつ上に上がっていく。


大丈夫そうだったので、透明化の魔法で見えなくなって、さらに上のほうに上がっていく。


「怖くない?」と俺が言うと、シャーロットは大丈夫ですと言っていた。


上空に上がっても大丈夫そうだったので、しがみつくのではなく手をつないでもらった。


そして少し周辺を飛んで、地面に降りていった。


シャーロットは「はぁ〜、すごい経験でした」


俺が手を離そうとしても、シャーロットは何故か足が地面についても手を離さない。


そこに、むくれているアリシアが間に入ってきて手を離した。


「じゃぁ、全員、俺の周りに集まって、知ってる場所に転移するよ。」と俺が言うと、全員が周りに集まってきて、俺は意識を集中しながらブラッドフォード大公国の王城の上空に転移してきた。


シャーロット王女と、セラフィーナは、まだ経験が浅いので俺と手はつないでいるが、手をつないでいないメンバーも普通にしているので、パニくってはいない。


地面に足がついているわけでは無い上空に待機するので、下には何もないわけだから、それを知って恐怖に思う人もいるので。


アリシアも手を、ニギニギしながら手をつなぐような素振りを見せる。


そして 上空から誰もいない路地を見つけて、俺たちは下降して地上に降りて透明化魔法を解除した。


路地から、ぞろぞろ人が出てきたので驚かれはしたが、賑わう街が、それを消してくれた。


メンバーでブラッドフォード大公国を訪れたことはある。


しかし今では、第二王子を知っているため、直接、城に行っても会えないかもわからないけど歩いて、お城に行ってみる。


王様に会うためには、平民や冒険者では会うことはできない。

俺の身分を証明しなければいけないので、オーリス王国の公爵と言う立場で言ってみることにした。


そうしたら、王様は、前もって依頼をしないと今は忙しいから会えないと断られた。


どうしようかと考えていたら、そういえば第二王子に名前を名乗っていなかったような気がした。


なので、メンバーには近くのカフェで待ってもらうことにして、俺は路地に入って、第二王子が1人の時を狙って、部屋に転移した。


部屋に急に現れた俺を見て「おお、神よ、よくぞおいでくださいました」


だから誰が神だよ


「私の名前を言っていませんでした王子様、大変失礼いたしました、私の名前はオーリス王国のクリス公爵といいます。」


「神様の、現世における寄り代ですか?」とバーナード第二王子


「いいえ、私は神ではありませんよ」


「いいえ、あなたは私の体を治して下さいました、国の魔法師が総勢で、かかっても改善しなかったもの。しかも誘拐事件を解決してくださったではありませんか、あなたは私にとっては神です」


と言うので、俺も訂正を諦めた


「バーナード皇太子、今、私のメンバーが王城の門に来ているんですが、入れないので許可をもらえませんか?」


「えー、それは、もちろんすぐに許可を出しておきます、えっとオーリス王国のクリス公爵様としてですよね。それと私の事はハワードと呼び捨てにしてください。」


王子をつけなくて良いと言われたので、俺としてはそっちの方が良いので了承した。


「それでは城門から入っていきますから」と言って王子は部屋の中で見ていたが、その場で転移して路地に戻った。


カフェにいたメンバー全員に声をかけて外に出てきた。


「じゃぁ、城門に行くよ」

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