第236話 ブラッドフォード大公国 3

セラフィーナには、すごくつらい思いをしたブラッドフォード大公国だけど、忘れることなんてできない。


時々は、俺が精神魔法をセラフィーナに使っている。精神的な不安や恐怖が和らぐように、嫌なことを早く忘れるように。


体の傷は日とともに癒えてくるけど、心は、一番、厄介だから。


そしてセラフィーナが選んだ道は王様になる道だから覚悟もいる。


人に頼ることができないで、トップに立つわけだから、それ相応の覚悟が必要だ。


セラフィーナには一応、ブラッドフォード大公国とこれからのことも考えて関係を保つかもしれないと伝えた。




俺はセラフィーナのいるライオネル公国から、自分の国のオーリス王国に戻ってきた。


ブラッドフォード大公国との関係を保つために、オーリス王国の王様にお伺いを立てて見ることにした。


一度、オーリス王国の屋敷に転移して、メンバーを置いてから、アリシアと二人でオーリス王国のお城の中に貸し出されている部屋まで転移してきた。


部屋から扉を開けて、近くに歩いている人に王様が応対できるかどうか確認してもらう。


そうすると頼んだ人が走って戻ってきた。


息を切らしながら「今だったら王様は、大丈夫だそうです」


と言われたので、案内してくれる人が走ったので、俺たちも急いで王様がいるところまで行った。


王様がいると思われる大きな扉の前に来て、兵士に開けてもらった。


扉を入っていくと、王様とシャーロット王女が座っていた。


俺は話の内容から宰相もいたほうがいいと思ったので、王様に聞いて読んでもらった。


挨拶をしてテーブルの椅子に2人して腰かけた。


座ったら、すぐにシャーロット王女がアリシアの横に移動した。


「公爵、今日の要件は?」


「王様にお願いがあります。隣の国でブランドフォード大公国の次期国王になる人を俺は、知っています。


王様も知っているでしょうが大公国は誘拐事件に関与した国ですが、主犯格は捉えられているので、今、現在、王様になろうとしているバーナード第二王子は誘拐には関係していません。


もうすぐバーナード第二王子の戴冠式があります。それに出席することと、友好国として調印式をお願いしたいんです。


バーナード王子にも、今から話を持っていきますので相手次第ですが、いかがでしょう?」


王様はしばらく考えていたが、その時に宰相も入ってきた。王様が宰相に同じ話をする。


しばらくは2人して話をするみたいなので、俺たちは席をはずしてシャーロット王女の部屋に来た。


シャーロット王女の部屋に来たら、侍女が紅茶とクッキーを出してくれたので、紅茶と数枚のクッキーを持ってベランダに出てきた。


そういえば以前オーリス王国に戦争を仕掛けてきた帝国は、最近は行っていないので、どうなっているのか心配になってきたが、王様が代わっているが確認をしなければいけないなと思っている。


今、現在はオーリス王国の周りは、北には友好国でダイラス連邦がある。


特に周辺の国に友好関係を繋げないと。


シャーロット王女とアリシアが、こちらに歩いてきた。


「クリス様は、アリシアから、クリスって呼ばれていますよね。公爵のことをクリス様って呼びたいんですけど、だめですか。」シャーロットが上目遣いで言ったので、いいですよと答えておいた。


「じゃぁ、クリス様は、本当にいろいろなことをやっているんですね、今回のことも含めてですけど」


俺は持っていた紅茶を一口、飲んだ。


「そうですね、やりたくてやっているわけではないんですけど…」


「初めは目先にあることだけ解決しようと思ってやっていると、いつの間にか、それが、国を揺るがす重大事になっているんですよ」


「そこが、クリスの良いところなんだよね」とアリシア


シャーロット王女が、「本当に、帝国が戦争を仕掛けてきたときも、魔族が隣の国に攻め込んできた時も、クリス様がいたからこそ、この国も、私も、今ここにいられるんだと思います。」


あまり、褒められるのは苦手なので目を逸して、紅茶を一口飲んだ。


ベランダで風の流れを感じながら、周りには女の子が2人いるということが、本当に、なんだか昔の自分じゃないみたいだ。


こんな時間が、長く続けばいいなと心の底から思う。


しかし俺は最近、以前、感じたような胸騒ぎを遠くで感じている。


何かが起きる予感がある。これも俺の魔法の特性なのかもわからない。  

危険なことを予知すること。


今度、予知する魔法を研究してみようかなと思う。

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