第220話 ライオネル公国

俺たちは全員で協力して、捕まっていたセラフィーナを助け出すことができた。

今回は、俺だけではなく、神獣だけでもなく全員が協力することで可能になったことだ。


俺に拉致されていた子供を慰めることなんてできない。

ましてやセラフィーナに寄り添うことも難しい。



今は、俺たちはセラフィーナを国に送り届けている最中だ。


今、俺たちは、全員で透明魔法をかけて、人から見えないようにして空を飛んでいる。


向かう先はセラフィーナの母国。


セラフィーナも飛ぶのに慣れてきたので、かなりの高速で飛んでいるんだけど、結構、時間がかかると言う事は遠い。


しばらく飛んでいると「セラフィーナが、あの遠くに見える山を越えたら、私の国です。」と説明してくれた。


あともう少しだ。


俺たちは今、自分の国から見て南の方向に飛んでいるので、暖かくなってきている。


しかも、かなりの距離、飛んできているので、風の感じが全然違う。


寒くもないので、風がひんやりすることもない、山に近づいているせいで空気が、すごく澄んでいる。


こういう国もいいなと思いながら空を飛んでいるが、徐々に山を越えてきた。


山を越えたところで、セラフィーナは、もう国に入りました、と言った。


さらにセラフィーナの国を、しばらく進んでいくが透明になっているので人から見える事はない。


そろそろ高度を下げることにする。


山を越えて、しばらく飛んでいるとライオネル公国の大きな首都が見えてきた。


すごくライオネル公国の首都は見渡しても、見えないくらい広大な街だと思う。土地も広いし、街が大きいので人も多そうだ。


多分、首都の大きさでは俺が訪れた国の中で一番、大きいと思う。


さらに首都に近づいていくと巨大な城が立っている。


城がすごく大きい、オーリス王国のお城の2倍はあると思う。


城の中に降りてもいいんだけど、城門を通らないで姫が現れたら大変だから、城に、一番、近い路地に着陸して、透明化魔法を解除した。


あれ、なんだかおかしいな?


俺は一瞬、思ったんだけど、どうしてブラッドフォード大公国と距離がある国の姫様が狙われたのか?


よっぽど美人で有名だったんだろうか、確かに美人だけど。


それともスタイルが、いいからとか?


胸が大きいとか?


そんなことで狙われたんだったら、他にもいるはずだけど?


どこかに疑問が浮かぶ、納得がいかない! など考えていたが、今は城に姫を届けることが優先される。


俺たちは9人で歩きながら、前衛と後衛と真ん中とグループに分かれている。


9人の一団というのは目立つから。


前衛をアレクとロゼッタ。


中衛をセラフィーナ皇太女とアリシアとソフィアとイザベラとコリン


後衛を俺とパトリシア


王女が、ここにいると言う事は誰も知らないはずだから、狙われるはずはないんだけど用心しなければいけない。


しかし、そんな心配もなく城門にたどり着いた。


城門にセラフィーナが行くと、すぐに兵士が気づいて、こちらのほうにかけてきた。


「セラフィーナ王女様、ご心配しておりました」


「えぇ、ありがとう」


「盗賊に襲われているところを、この方たちに助けていただいたんです」と前もって話し合ったことを言った。


「そうだったんですか」と言って兵士は城の中に案内してくれた。


兵士から、案内が騎士に変わった。


俺たちの前後に、近衛兵が10名ほどいる。


近衛兵5人が先頭で、後にも5人いる。


なんだか守られている感じがしなくて、俺たちが、暴れたり、何かをするんじゃないかと言う位置だ。


姫様を助けてやってきた俺たちに対しての態度じゃないような気がする。


やはり何かおかしい!


俺たちは城の中を歩きながら、衛兵が守っている大きな扉のところまで来た。


扉を守っていた衛兵が扉の中にお伺いを立てる。


扉が開かれると、騎士たちから入っていく。


それに釣られるようにして俺たちは入った。


おかしい!


普通なら王族がいると思われる部屋には案内してきた騎士達は中には入らないんじゃないかな!


俺は、気づかれないようにアレクとロゼッタとパトリシアに合図を送った。


3人は、かすかに、うなずいた。


中に入っていくと、椅子に座っている王様らしき人物と、3人の王子と他に男性が数人いる。


王様が立ち上がって、セラフィーナ王女に近づいてくる。


「セラフィーナ、愛しの我が娘よ、よくぞ帰った、行方不明だと聞いて心配していた」と王様


「父上、申し訳ありません」


そして2人は抱き合う。


抱き合ったあと、王様は顔を上げて俺たちと視線があった。


「セラフィーナ、この者たちは?」と王様


「私を盗賊から助けていただいた人たちです、残念ながら私といた護衛たちと雇っていた冒険者たちは、全員、殺されてしまいました 」


「な、なんと、そんなことが起きていたのか」


そして俺たちを見た王様は、近づいてきて「そなたたちには、なんと感謝したらいいか」と言って王様が手を出してきたので、その手を周囲を警戒しながら俺は握った。


たぶん王様は今回の事件には関与していないと思われる。


そうすると関与しているのは、この中にいる男たちの誰かだ。

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