第217話 ランクアップ

ブラッドフォード大公国の次期、王になるハワード王子に会ってきたけど、王子が病弱だった時に、体を治してあげたことで、俺のことを王子と言うようになったんだが、俺は神でもないし、そのうちに訂正しようと思っている。


でも、まだ、訂正するのは、ハワード王子が王になったときでいいと思っている。


ハワード王子には、まだ数回しか会っていないから、よく人物的にわかっていないから。


もし王子が、俺のことを神と言っていることを他のメンバーに聞かれたら、説明が厄介なことになる。


しかし、あの時は、仕方なかったんだよ。


あくまでも応急措置だったんだけど。


もう2度と会うこともないと思っていたけど、そうはいかなくなってきたから。


ブラッドフォード大公国に誘拐された子供を返す必要があったから。


誘拐された子供たちには、俺は精神魔法をかけて薄らぐようにしているが、家族も、何があったか、詳しくは話さないようにと多くの国の担当に言っているから、少しはいいと思うけど。


子供たちには、精神魔法が長く、続くように重ねがけした。


いつまでも悪い思いを持つことがないように。



大変だったのが、セラフィーナだった。


セラフィーナにも、少しでも気持ちが落ち着くように精神魔法をかけてケアすることをしているが、セラフィーナが受けた仕打ちは、非常に深かったため、数回を要している。


セラフィーナに連絡を取るときは、いつも確認している、また、連絡をしない時でも、遠くにいてもセラフィーナは顔も知っているので、確認はしている。


たぶん、以前ほどは、ないと思いたいけど、セラフィーナ自身の問題もあるので、セラフィーナにはつらいだろうと思うけど、今から次期、王として即位するためには、必要な覚悟もいる。


即位に必要な覚悟のもとは、誘拐されて、変わった部分があるから‥‥‥・


全部を帳消ししてあげたいけど、王になることは簡単ではない。


この前に、セラフィーナに聞いてみたんだけど、


「今でも私が王になることは、無理じゃないかと思うことがあります

‥‥‥」


「えっ」


「ライオネル公国は大きな国です。私は皇太女として、うまくやっているつもりでした」


「でも、今までお父様の近くにした人は、ほとんどが捕まった公爵側の人でしたから、今まで公務していた人が、一気にいなくなりました」


「今、王宮は大変な状況です、私も息抜きが必要だとお父様から言われて、この前は、街や海に行きましたが‥‥‥本当に息抜きをさせてもらいました、温泉も気持ちよかったです」


「その間も、文官や事務方は、仕事が山積みでした」


「クリス公爵様、本当に、私なんかが王として、やっていけるでしょうか?」


「セラフィーナは、誘拐された時、ひどいことをされたでしょ?」


「はい‥‥‥」


「でも、そのひどいことを俺の精神魔法で、どこまでか使ってみないとわからないけど、忘れさせることができるんだよ」


「えっ、そうなんですか?」


「うん」


「‥‥‥」


「どうする?」


「私に実際にあったことを、本当は‥忘れさせてほしいと思います‥‥‥裸にされて、嫌らしいことをされたことなんて、もうすぐにでも‥‥‥」


「‥‥‥いいえ、公爵様、私、忘れたくありません」


「私が、拉致されたのは、私の甘さゆえだと思います」


「冒険者になって国を出ようとした私についてくれた者たちは、私と旅の途中で殺されてしまいました」


「私と同じ年齢の女性もいたんです。でも、目の前で私を守って死んでしまいました」


「苦しんだのは、私だけじゃないんです。今でも私を守って目の前で殺された彼女のことが目に浮かびます」


よっぽど、その女性と仲が良かったみたいだ。


「 公爵様、私に精神魔法をかけて欲しいと言う自分もいますが、拒否する自分もいます」


「 そうだね、じゃぁ少しだけ和らぐように精神魔法をかけようか」


「 はい、お願いします」


セラフィーナには、椅子に座ってもらって目を閉じてもらった。


俺は精神魔法を行使するために、セラフィーナの脳の中に意識を集中することにした。


脳の中でも多くの部分があると思うけど、その中でも精神魔法を使うのは、前頭野と側頭野の部分だ。


前頭野は精神に関係するところ、側頭野は記憶に関係するところだ。


前頭野はオデコの部分なので、俺は、オデコに手を当てて、脳の中に意識で入っていく。


前頭野の右脳、左脳を駆け巡って関係する部分を見つけていく、関係する部分が見つかったら、精神魔法で、場所においては変えたり、軽くしたりしていく。


それが終わると、記憶と関係がある部分も同じように処理していく。


それだけじゃない、今度は前頭部と側頭部の連携している処理も行う必要がある。


人の脳は連携しながら、働いているから、これは前世の知識の影響がある、俺が王国の魔法師だった頃、城の秘蔵書でみたことがあるんだ。


たまたま、興味があって、しばらくみていたことがあったので、それを利用した。


セラフィーナの場合は、これからも元気で生きて王様をしてもらわなければならないから。


時々、精神魔法を確認しなければならないけど。


俺はセラフィーナを空中に上げてベットに運んだ。


本当は、お姫様抱っこで運びたかったけど‥‥‥


触ると欲望が出そうだから‥‥‥



セラフィーナが起きたら、つらいことが、少しは和らいでくるだろう。


生半可な気持ちで王様になられたら国民は、たまったもんじゃない、セラフィーナみたいな考えを持った人が国民のことを考えてあげられると思う。


セラフィーナは、つらい思いをして成長したんだと思う。


あとはセラフィーナに風邪にならないように布団をかけて、寝顔を、しばらくみていたが、横にいると俺の眠くなってきたので、うっかりしたら、目の前にあるベットに潜り込みそうになるのを、必死に我慢しながら瞬間転移して戻ってきた。


セラフィーナ‥あなたが安らぐように、俺は努力しよう。




オーリス王国に戻って数日がたった。


そして俺たちは屋敷に戻ってきた。


俺は屋敷の自分の部屋に行こうとしたんだけど、全員があとをついてきた。


「どうしたのみんな」と俺


「私がランクアップで国から貰えるお金は、クリスにあげるわ」とアリシア


そうすると全員が、同じことを言った。


「みんなが今まで貢献したからもらえるお金だよ」と俺


「あなたがいたから、もらえたものだから」とソフィア


「あなたから毎月しっかりもらっているからね」とイザベラ


「こんなに、もらえないよ」とコリン


アレクは、「私は食事ができれば良いから」


ロゼッタは、「今のままでいいのじゃ」


パトリシアは、「お金なんていらない」


「じゃあ一応、預かっておくから、必要だったらいつでも言ってね」と俺が言った。


「それと今まで月々、渡していたけど、全員足りている?」


ソフィアが代表して「今まででも充分、足りているよ」と全員がうなずいている。


「時々、必要経費で洋服を買えるしね」とイザベラ


「以前は、ほんと洋服や下着なんかも、少ししか持ってなかったんだけど、今は、いっぱいあるんだ」とコリン


必要になったら言ってねと言って話を切り上げた。



夕食を全員で取ったあと、温泉に入りに来た。


最近は、お風呂と言えば、温泉に来ている。


俺がまず露天風呂に入っていると、全員がタオルを巻いて温泉の湯船につかってきた。


そうすると、いつもは少し時間が経ってすることだが、全員がすぐにタオルを外してきた。


俺はタオルをしているけど。


そして全員が俺の近くまで来た。


なんだか今日は、すごく近くまで来ているので、肌と肌が触れ合うくらいの距離だ。


俺は正面を向かないようにして、空を見ている。


本当に、ここから見る星空は綺麗だ。


なぜか、右側からアリシアが寄ってきた。


左側からも、ソフィアが腕に触れてきた。


すぐ前には、イザベラとコリンとロゼッタとアレクとパトリシアがいる。


なんだか今日は怖くなってきたので、「のぼせてきたので、先にあがるね」と言って温泉を後にした。


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