第183話 誘拐 2

皇帝の誘拐された子供を見つけたけど、衰弱していたので治癒魔法で回復させている途中だ。


たぶん、もうすぐ目を覚ますだろう。


俺は、汗をかいたので着替えに行くのと、ちょっと休憩をしたいと思って自分の部屋のベッドに横になっている。


かなりの集中力で疲労しているからだ。


そしてお腹も減っているので起き上がってパンを食べている。


パンを1口か2口食べて、ベッドに横になる。


ベッドから起き上がって、パンを1口食べてベッドに横になる。


もちろん俺にも治癒魔法をかけたが、すぐには回復しなかった。


そこにノックの音がした。


アリシアでも呼びに来たのかなと思って、どうぞとベッドに寝転がりながら言った。


そうしたら入ってきたのはサイラス皇帝だった。


その後にアリシアがついてきている。


俺がベッドに横になっているのにアリシアが気づいて、「ちょっと、クリス、大丈夫」と心配してくれている。


「ちょっと消耗しちゃって」と俺が答えると、「回復魔法をかけたの?」と言ったので、うんと答えた。


それを傍で聞いていたサイラス皇帝は、何も言わずに頭を下げて、娘のところに戻っていった。


しばらくは、アリシアが俺に付き添ってくれた。


「もう、無茶ばかりして」と言われたが、言い返す元気はなかった。


回復魔法をかけたのと食事をしたので少しずつ回復してきた。


アリシアに体を支えてもらって、俺の部屋から女の子の部屋に戻った。


体を支えられて入ってきた俺を見て、メンバー全員が驚いている。


アリシアは自分のベッドに案内してくれた。


そこで俺は少し横になる。


今回は、かなり消耗が激しいようだ。


サイラス皇帝が、「今回の事は本当に助かった、娘の顔を見て安心した。しかし、すぐに私がいない事が、他のものに知れ渡ってしまうと大変なことになる、私を軍に戻すのは貴殿が、そのような状態では無理だろうか?」


と言われたので、アレクが手をあげてくれた。


「じゃぁ私が送って行くよ、場所わかってるし」と軽い感じで言ってくれた。


俺が手で、「お願いするね」と言うと、皇帝に向かって「おじちゃん、行くよ」と言うので、みんな目を見開いてびっくりしていた。


皇帝も「俺は皇帝なんだが……」と返したが、


「私はね、虎なんだよ、ガォ」と返されたので、皇帝は何のことかわからなかった。


皇帝は、何も言わずに「‥‥‥頼む」とだけ言うと、「うん、わかった、おじちゃん」とアレクは言っていた。


皇帝は、それ以上の言葉を言わなかった。


そして、すぐに皇帝を連れて転移した。


すぐに戻ってこなかったアレクを心配していたが、5分ぐらいして戻ってきた。


両手には、果物がいっぱいだった。


「えヘへ、おじちゃんから、もらったんだ〜」


誰も何も言えなかった。


「ご苦労様、おいしそうだね」と言ってアリシアが、ぶどうを一粒もらっていた。


アレクが皇帝からもらってきたフルーツを食べながら、ベッドに寝かされている女の子の容体を見ている。


そうすると女の子が身動きして、目を開けた。


ここが、どこだかわからない様子でおびえている。


ソフィアが近づいて「もう大丈夫だよ」


「水を飲む?」とアリシアがコップを持って女の子に近づいて飲ませていた。


そこにアレクが来て、「はい、これ」と言ってぶどう一粒、差し出した。


女性が多い事が原因なのかはわからないが、女の子は少し落ち着いたみたいで、アレクから、もらったぶどうをおいしそうに食べている。


そしてアリシアが、「お父さんも、もう少ししたら来るからね」と言っていた。


俺は徐々に体力が回復してきたので、起き上がった。


「ご主人様は魔力欠乏症になったみたいじゃな、無理しすぎじゃぞ」とロゼッタが言ってきた。


それを聞いて全員がうなずいている。


「あの時のアレクはすごかったよね」とアリシアが言った。


「ほんと現実のものじゃない気がしたわ」とイザベラ


「次元が違うわ」珍しくコリンが言った。


「本当に人の神獣だわ」とイザベラ


俺はテーブルの椅子に座って、アレクが持ってきてくれたリンゴをアリシアに剥いてもらいながら食べている。


だいぶん体力が回復してきたので、俺は、そろそろ動こうか考えている。


「体力がだいぶ戻ってきたから、今から誘拐した奴らを捕縛に向かう」


人数が多いかもわからないので、女なの子の看病に1人を残して全員が参加して欲しいと伝えた。


「じゃぁ、私の残る」とアレクが言った。アレクは女の子の横に座って仲良くフルーツを食べている。


その、微笑ましい姿を見ていると否定できなくなってくるので、「じゃあ、アレクお願いするよ」


「わかった」とアレクが返事をした。


そしてソフィア、アリシア、イザベラ、コリン、ロゼッタと俺で行くことにした。


俺は、アレクが持ってきてくれたフルーツを、まだ食べながら、先ほど女の子がいた場所に集中した。


多分、女の子がいなくなったことに夜だったのと別室だったために、気がついていないみたいだ。


違う部屋に男たちが10人ぐらい酒を飲んで寝ている。


多分、アジトを移動した、すぐだったから気が緩んでいるんだろう。


住人がまとまって同じ部屋にいるので、その部屋ではなく女の子が捉えられていた部屋に転移することにした。


全員に状況を説明する。


そして使うのは、練習はしていなかったけど、俺は1度見せた事はある魔法を使ってみることにした。


「全員基礎魔法を展開して、展開したらそれを両手の拳に集めて!」


俺は周りを見渡して、何とかできていると言うことを確認した。


「それで、拉致した奴らを殴って」


「わかったね」


と言うと全員がうなずくので、じゃあ行くよ、と言って転移した。


店員した部屋は薄暗く、小さい窓が1つあるだけだ。


そこに、先ほど女の子が入っていた袋が落ちている。


俺はその袋を目の端で捉えながら、全員に扉を指差す。


そして全員に両手の拳に基礎魔法を展開してもらう。


じゃぁ、行くよと言う動作をして扉をゆっくり開けていく。


扉をゆっくり開けていくと、ほろ酔い気味だった男が1人「なんだ〜」と言う感じで立ち上がる。


その男をソフィアが基礎魔法を展開した拳でお腹を殴って倒す。


男が倒れたときの音に気がついて男が3人ふらつきながら立ち上がる。


「お前ら、どこから入ってきた」と言っていた男にイザベラが基礎魔法を展開した拳を叩きつけて、男が倒れた。


あとの2人の男、アリシアとコリンが倒したので俺とロゼッタは魔法を使って他の男を眠らせた。


全員の男をロープで縛っている。


まだ他にも人がいるかもわからないし、扉を開けて入ってくる可能性もあるのでソフィアに見張りに立ってもらう。


そして、この建物を探ってみる。


そうすると、女の子が袋に入れられて閉じ込められていた部屋の地下に、子供が10人ぐらいいる。


「かなり大掛かりな誘拐集団みたいだ」


そして俺は地下に降りて、全員が眠っているのを起こして階段から上に移す。


そして、見張りをしているソフィアとイザベラに、憲兵隊を呼んできてもらう。


ソフィアとイザベラが行っても多分、信用しないことも考えられるので、俺は、しょうがなく公爵の地位が書いてあるギルドカードを渡した。


他の国の公爵だけど、他国でも少しは通用するから。


公爵と言う身分を利用しないと、こんな時間に憲兵隊が動いてくれることもない。

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