第145話 魔法の次の段階 4

メンバーに魔法を教える時にも、師匠から受け継いだ教え方をしているが、俺独自の方法も混じっている。

なにせ、師匠のやり方では、意味不明な方法が多くあり、俺でもわからなかったからだけど、師匠は、ヒントくれたと思っている。


師匠から受け継いだ魔法は、いろいろあったけど、すべては自分を守る魔法を教えてくれた。


確かに自分を守ってばかりでは、先に進む事はできないけど、師匠から教わった魔法は、敵を攻撃する魔法ではなく、自分を成長させていく魔法だと思う。


もちろん攻撃魔法も教えてもらったけど、教えてもらう魔法の中心になったのは、自分の能力を高めて守る方法だ。


高めれば高めるほど、自分を守ることができる。

高めるのに限界は無いと師匠は教えてくれた。


師匠は魔法を研究するのは上手ではなかったけれど、俺に、その方法を教えてくれた。

それが、今の俺の基礎となっている。




だからメンバーに教える時にも魔法を感じることから始めた。

そうすると、ばらつきはあるものの、以前よりは上達してきている。


特に上達が早いのが、ソフィアとアリシアだろう。

あとの2人は、先行している2人に追いつこうと努力をしている。




俺の魔法の放出系魔法を感じ取ることができた4人は、数メートルは離れて横に並んで練習をしている。


アリシアとソフィアが、そよ風程度の放出ができるようになった。

その練習を繰り返しながら、ときには休憩を挟んで、食事をとって繰り返す。


休むことや食事は、すごく大切だ。

お腹が空いたままでは集中力は落ちる

集中力が落ちると言う事は邪念が入ってしまう。


誰だってそうなんだが、今の自分に満足しなかったり、お腹が減っていたりすると、必ず入ってくるのは邪な考え。


心さえ邪念に犯されて、悪に走ってしまう。

魔法使いで、悪に走った奴は多い。


つよい奴ほど、魔法の力に取り込まれてしまって邪念を持つ。

一度、強い邪な心を持ってしまうと、自分でも簡単に剥がせなくなって取り込まれてしまう。


俺の場合は前世のアルベルトの時は、師匠との本当に楽しい思い出があったから。


現世のクリスの自分は、アリシアとの思い出があるから。

楽しい思い出や嬉しいことに目を向けていると邪な心は消えていく。



全員が、程度の差はあるけど放出系魔法が上手くなってきているようだ。


じゃぁ今日はここまで、と言って4人に集まってもらった。



みんなが練習している時にも、自分も練習したから今度はうまくいくと思うよ。

じゃぁ全員俺の周りに集まって手を差し出して、と言うと全員が周りに来て右手を俺の体に当たるか当たらないかの距離で手のひらを開いた。


「じゃあ、行くよ」


と言って、放出系魔法を使ってみる。


今度は粒子を、すごく細くして


目を開けた全員の顔が違う


もちろん、ひっくり返る事は無い。


俺の魔法を感じ取ることに成功したようだ。


アリシアにだけ言われた「なんかクリスって、異能だよね」



アリシア視点


草原に来てクリスが魔法を使うよと言って、魔法を使ったときには、すごい風が来てひっくり返ってしまった。


来る事は分かっていたから、構えていたんだけど、それでも威力が凄すぎて立っていられなくなって4人全員がひっくり返ってしまった。


突然に突風が吹いたので、感じる暇なんかなかった。



でも2回目のクリスが使った魔法のときには、何とか感じ取ることができたけど、3回目に使った最後の魔法が、これがクリスの魔法だと、また思ってしまった。


本当にクリスが使う魔法は、変な意味じゃないけど、暖かい魔法だ。


人を優しく包み込んでしまうような魔法をクリスは使う。


放出系魔法は、敵を攻撃する魔法なんだけど、その魔法でさえクリスの人格がにじみ出る。


私はなんだか、クリスから目が離せなくなってしまっている。


弟のような存在だったクリスが……


もう、クリスったらずるい!


私の方がお姉ちゃんで、弟のクリスを守っていたのに!


もう昔のようなクリスはいないんだね


私の後をついていたクリスはいない


少しだけ寂しい感じがするけど、


今のクリスもかっこいいから!


私も負けられない!

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