第138話 安堵
駆けつけてきた兵士や騎士たちが誘拐した男たちを捕縛して、馬車に詰め込みながら首都に帰ってきた。
捉えられていた少女たちは、まだ目が覚めないけど袋から出されて手と足を縛ってたロープは、はずされている。
街の門をくぐると、詰所にいた、子供たちがいなくなったと騒いでいた親たちが駆け寄ってきた。
誘拐された少女たちは眠らされているので男たちが先に降ろされて、少女たちの下に親が駆けつけていく。
そして自分の子供を見つけて抱き合いながら泣いて喜び合っている。
一度、子供が連れ去られてしまうと、見つかる事は少ないから。
人身売買の組織の奴らは、歩かされて詰所の中に入っていった。
後で聞いた話だが、捕らえられた奴らが自白して、門の警備のところにいた兵士も逮捕されたそうだ。
今は親たちは泣いているが、子供たちは、まだ目が覚めていない。
その中には、たまたまお忍びで、街の中にいた首長の娘もいた。
面識がある騎士の1人が首長の娘を預かって、どこかに連れて行った。
しかし未だ目が覚める事は無いので、病院に一応つれていくが、首長に連絡しなければならないと言っていた。。
俺はソフィアと話していたが、残してきたアリシアも心配なので、兵士に自分たちは帰ると告げると泊まっている宿を教えてくれと言われたので、素直に教えた。
ソフィアが言うには、アリシアのことはイザベラとコリンに任せてきたそうだ。
アリシアのことが心配だったけど、ここで転移を使うわけにはいかないので路地裏に入って2人して転移した。
俺の部屋に戻ってきたので、アリシアを見たが、いまだ目が覚めていない。
よっぽど強い麻酔薬を使ったんだろう。
強い睡眠薬は危険なので、魔法で睡眠薬の成分を減らしてみることにしたけど、初めて使う魔法なので、成功するか、わからない。
しかし実践してみると、たぶんできたと思う、アリシアの体の中の麻酔量が明らかに減っているから。
アリシアの寝息が突然、変わってきた。穏やかな寝息になり、とつぜんアリシアが目をあけた。
アリシアが目を開くと、焦点が定まらないボーっとした目をしていたが、徐々に目がしっかりしてきた。
「あれっ、わたし、どうしたの?、どうして寝ているのにクリスが心配そうな目で見ているのよ…」
寝たまま首を動かして、なんで自分が、この部屋に寝ているのかわからないみたいだ。
アリシアは急にベッドから上半身を起こそうとした。
ソフィアが止めに入るが、もう、遅く、見えたものがあった。
上半身を隠していた布団がパラリと落ちる。
そして下着が見えた。
アリシアは顔を下に向けた、
顔が向いた先には、自分の胸の下着が見える。
そこでアリシアは下着一枚で寝ていることに顔を赤くする。
俺に下着を見られたことに気が付いて、アリシアは、声を大きくする。
「なんで私、下着姿で寝ているのよ」と言いながら急いで布団で隠した。
アリシアとしては更衣室で麻酔薬を、嗅がされたので覚えていないみたいだ。
ソフィアが前に来て、ことの顛末を話している。
お店で買い物をしているときに、更衣室に入ったアリシアが急にいなくなったと。
全員で一生懸命、探したんだけど見つからずに店主もいなくなっていたこと。
急いで俺を探して、俺が解決したと。
アリシアは「そう‥‥なんだ‥」
アリシアは、どういう顔をしていいかわからない顔をしていた。
アリシアは、「あの‥クリス‥」
「アリシア、なに?」と俺が言うと、アリシアは、
「ひとまず洋服を着たいんで」
俺は、「あっ、うん、それで‥」
アリシアは、「出て行って欲しいんだけど。」
俺はすぐに気づいて、自分の部屋から出て行った。
数分してから、ソフィアから、どうぞと言われた。
俺の部屋は4人いると狭く感じるので、初めて女の子4人が泊まっている4人部屋に入れてもらった。
俺が座る椅子が足りないので、ベットに座るのも悪いので、俺が自分の部屋から椅子を持ってきて、円形のテーブルの上には5人分の紅茶を用意してもらって、今回の事件について話し始める。
まずアリシアがいなくなったときに一緒にいたソフィアが話始める、お店で洋服を試着してみようと更衣室に入ってったアリシアが、なかなか出てこなかったので、覗いてみると洋服だけが置いてあったと言う事。
着てた服を畳んで置いてあったが、試着しようとしていた服はハンガーにかけたままだったと言う事。
いなくなったアリシアを探している間に、いつの間にか店主がいなかったこと。
そしてイザベラが、俺を呼びに走ったこと。
クリスを探して戻ってきた時も、コリンが店の外を、ソフィアが店の中を探し回っていたこと。
それでも見つけることができなかったこと。
いくら探しても見つからないので、俺が検索魔法でアリシアを見つけたこと。
そして初めて見たと全員が言っていたが、店にいる俺が、何かの魔法を使うと、突然、どこからともなくアリシアが俺の腕の中に現れたこと。
それを全員が見た途端、涙を流しながら安堵ししてしまったこと。
そして俺が、瞬間転移して自分の部屋にアリシアを寝かせたこと。
徐々にアリシアの顔から笑顔がなくなっていき、青ざめてきた。
アリシアの無事を確認した俺は、アリシアに「どうする…このまま聞きたい?」と聞いてみた。
アリシアは顔を青ざめていたけど、しっかりした感じでうなずいた。
なので先を続ける。
ここからは俺しかしらないことなので、俺しか話せないこと。
アリシアを無事に戻してベットに寝かせたあと、もう一度、誘拐犯の馬車の中に転移した時に、他に8人の女の子が場所に乗って捕まっているのが分かったんだ。
8人の女の子は、結界魔法で安全を確保して人身売買のグループを捕縛することを考えたこと。
転移の魔法で馬車の中に忍び込んで、誘拐犯全員を本当は殺したかったけど、眠らせたこと。
そこにソフィアが兵士や騎士を連れてきたこと。
兵士や騎士を連れてくるためには信用させなければいけないので、俺のギルドカードを使って他国の伯爵だと説明しなければならなくなったこと。
他国でも貴族というだけで、扱いが違うので、平民が言うことと、貴族の部下が言うことは大きく違う。
警備所にギルドカードを持ってきたソフィアを、俺の部下として信用してもらわなければ実行できなかったが、何とかソフィアが。うまく説明してくれたみたいだ。
そして全員が捕まって、捕まっていた8名の子供たちは解放されて今に至ると。
アリシアが本当に顔を真っ青にして震えていた。
俺は、俺の横に座つているアリシアの頭の上に手をポンと置いた。
そして、テーブルの上に出しているアリシアの手を握った。
アリシアの手の平の上に俺が手を置くと、ソフィアが、イザベラが、コリンが手を置いていく。
アリシアの顔が少し良くなってきた。
アリシアが少し眠りたいと言ったので、ゆっくり休めるように俺の部屋を提供した。
アリシアと2人で俺の部屋にやってきたが、ベッドに寝かして、「じゃあ」と言って部屋から出ようとしたんだけど手を離してくれない。
・・・
アリシアは何も言わないけど、俺は、しばらく、部屋に一緒にいることにした。
アリシアは、すぐに目をつむって、寝息を立てだした。
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