第122話 アーロン伯爵領 8
多分、食事や、飲み食いしたものにも少量の麻薬が入っていて、徐々に浸透していったんだと思うけど、これほど大規模なことをやらかすのはやはり上層部にしかいないと思う。
パーティーメンバーにも影響が出ていたので危ないところだった。
もしかして食事が、まずいのは、麻薬のせいかもわからない。
食事や水は、全て俺の収納袋から出すようにした。
冒険に行く前に王都で仕入れたものなので安全だ。
水を入れる容器なんかも、自分たちが持ってきている布でよく拭くようにした。
これから食べるものも、全て俺が用意すると伝えた。
宿の食事は全てキャンセルした。
俺も、まさか、ここまで浸透してきているとは思わなかった。
俺は麻薬を扱っている、ドミニクとアーロン伯爵と思われる人物にマーカーをつけている。
特にアーロン伯爵が、どこから麻薬を持ってきているのか?
ソフィアに聞くと、麻薬は栽培することで生産されるはずなので、生産地と生産者がいると言うことだ。
もちろん当然だが、アーロン伯爵が指示を出して生産をしていたり栽培している可能性はあるんだけど。
どこかから儲け話が出てアーロン伯爵が加担していると言う場合もある。
その辺を、できたら騎士隊が到着する前に調べておきたい。
調べるためにはドミニクよりも、アーロン伯爵と思われる人物に注目した方が良いだろう。
ドミニクは末端と思われるから。
今、アーロン伯爵は、以前、俺がマーカーをつけた屋敷にいるみたいだ。
と言う事は、そこがアーロン伯爵の屋敷かもわからない。
でも自分の住んでいる屋敷に、ドミニク呼ぶだろうか?。
もし、そうだとしたら、それほどアホなのかな?
それとも自分の領地だから安心しているのか!
でも自分の領地を、汚染させて、どうするのかと言うこともあるけど、自分の領地に住んでいる人を大切に思っていない証拠だなと思っている。
アーロン伯爵は、屋敷の中でウロウロしているようだ。
自分のデスクに座って、書類を見ているみたい。
そして、おもむろに立ち上がって、なにもない壁のほうに行った。
壁を手で押すと、パカッと開いた。
その奥に入っているのは金庫みたいだ。
もしかして、隠し金庫かなと思っている?
金庫のダイヤルを開けると、大量の袋が入っている、どれも重たそうだ。
他人が金庫のあるような家にいる事は無いので、と言う事はアーロン伯爵の家なんだろう。
その伯爵が自分の家の部屋で、お金の確認をしているみたいだ。
かなりの量の金貨がある。
よっぽど金に執着しているみたいだね
そして満足したのか、しまおうとしたところで、ドアがノックされる。
執事らしき人物が、「旦那様、お客様です」とドアの外から行った。
わかったと部屋の中から答えて、金庫を閉めて部屋から出て行った。
階下に降りていった伯爵は、応接室にいた人物と話をし始めた。
少し話すと立ち上がって2人は、先ほどいた金庫のある部屋に、入って行った。
伯爵と、もう1人の人物は、ソファーに座っている。
伯爵は、もう1人の人物に、「生産のほうは、どうなっているんだ?」と聞いた。
もう1人の人物は、「これから寒くなっていくので、生産のほうは少し落ちていくと思いますが、今のところ順調です」と伯爵に答えていた。
これだけ聞いたら、主犯格は伯爵なのかな
伯爵が指示を出して麻薬を生産していると考えた方がいいと思う。
あとは、トボケられない証拠というのが必要だ。
言い逃れができないようにしなければならない。
つまり、証拠だと思って突きつけても、ちゃんとした証拠じゃなければ、とぼけられると言う事。
他の奴がしたんじゃないかとか、知らないと言われてしまえば、それまでだから。
伯爵に話を聞ければ1番いいんだけど、聞けるわけないし、喋るわけはない。
じゃあ、どうすればいいか。
今日、伯爵と会った人を新しくマーカーをして監視してみる。
たぶん、こいつが行く先が麻薬を生産しているとこだから。
麻薬を生産していると思われるやつは、しばらくすると伯爵の家から出てきた。
伯爵と会っていたやつは、ルイスと言う名前だった。
ルイスをマーキングして、監視していると、馬に乗って街の外に出てきた。
そして馬に乗って山のほうに向かっている。
かなりの距離馬で走って、川が流れたりする場所に来た。
伯爵の領地が見えないくらい馬を走らせた。
山を登るわけではなく、平坦な道を馬を走らせながら、さらに進んでいくと大きな畑が見えた。
畑の横には、いくつもの小屋が立っている。
ルイスは、馬を降りて小屋の1つに入っていった。
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