第112話 他国
仕事の内容を宰相から説明してもらいながら、俺は聞き手に回っている。
テーブルの上には大きな地図が広げられている、そこを示しながら説明が加えられていく。
大きな国だけで言えば、今いるオーリス王国の周りには、東にはにはガルシア帝国があり、反対側の西にはブラッドフォード国があり、北にはダイラス連邦、南側には大きな山脈を挟んでオズワルド王国がある。
俺が前世で生きていた300年前とは、ずいぶん違っているようだ。
なんだか、ワクワクしてきた。
世界を見て回ることができるなんて。
地図で説明を受けながら、かかる経費は王国が持ってくれるそうなので、初めの所持金以外は、全てあとで請求して良いそうだ。
初めの所持金として、金貨500枚くれるそうだ。
そして足りなくなれば、帰ってきたときには請求してくれと言われた。
なんだか、よっぽど以前の帝国が侵略をしてきたのが、こたえたみたいだ。
今のところは、オーリス王国の周辺の4カ国を訪問してきてほしいと言われた。
もちろん、必要に応じて伯爵位であると言うことを、使ってもいいそうだ。
その場合は国賓に該当するかもわからないので注意してほしいと言われた。
国賓として扱われた場合、情報収集は難しくなるから。
もし、何かあった場合は伯爵位を使ったり、王家の紋章が入っている刀を相手に示すとある程度の威力があると言って、紋章の刀をもらった。
「これは必要な時にしか使わないように」と宰相に言われた。
しかし伯爵と言う位でも、今回、訪問してもらう4カ国では効果があるし、ましてや王家の紋章が入ったものでも、かなりの効果があるらしい。
あれ、この刀を、もらうと言う事は、俺も王族関係者とみられる?
「もちろん、ここにいるお嬢様とパーティーメンバーの女性3人と動くことをお願いします」
冒険者として動いた方が国を回りやすいから!
1人の方が怪しまれる。
ましてや女性4人と動いた方が、冒険者に見られる。
もちろん、それなりの格好をして!
俺たちは王城を後にして、2人して屋敷に戻ってきた。
まずは俺の部屋に、メンバーを集めて話をしなければいけないので、アリシアに呼びに行ってもらった。
アリシアが集めてきた3人のメンバーに対して椅子に座るように勧めて、王様から言われた仕事があるんだけど、と言って説明を始める。
特に、この仕事は貴族の仕事と言うよりも冒険者としての仕事だと切り出した。
なので、しばらくは屋敷に戻れないかもわからないけど、全員で参加してほしい、というこ。
今からメンバー全員でこの国、周辺の国を回って情報を収集する。
どんなことでも構わないので、その情報を収集して報告に持って帰ってくるのが仕事。
お金は国から出るので心配しなくてもいい・・・」
「みんな、協力してくれる?」と言って、全員の返事を待つ、
もちろん1人でも嫌だと言う人がいれば考えなければいけないが、そういうことを考えなくてもいいくらい全員一致で参加することが決まった。
じゃぁ早いけど明日の朝から行くからねと、言って会議は終わった。
じゃぁできるだけ今日中に用意して朝旅立てるようにね。
もし、大きな荷物や重たい荷物があれば、俺の異空間収納に入れておけるよ、と説明した。
執事のセバスチャンにも冒険に行くことを伝えておく。
そのあと、俺は街に出て食料の調達に入った。
たくさん買った時は、あとで今日中に屋敷に届けてもらうようにした。
街中で異空間収納を使うのはまずいから。
屋台に、ある肉を焼いた串なんかも、暖かいまま異空間収納に入れる。
いろいろなものを買って袋には多くのものを入れているが、路地に入って誰もいないことを確認して俺は異空間収納に入れた。
それを繰り返しながら歩いている。
ずいぶん前に買った男性用の下着、靴下が売っている店にもよって新しく購入した。
以前、買ってから、忙しかったので新しいのを買いに行くことができなかったから。
日用品や雑貨や食料品はもちろんだけど、いろいろなものを買ったよ。
明日から冒険者だ。と思いながら王都の街を歩いている。
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