第94話 王都への旅

朝食を食べ終わって、ゆっくりしていると村の方からソフィアとコリンとイザベラの3人が歩いてきた。


3人が揃って歩いてきたと言う事は、もう里帰りは、いいのかなと思っていると、ソフィアが「そろそろ王都に戻ろうかと思っているんだけど」と言った。


なので俺たちは、帰りの準備をし始める。

馬車に馬を繋いだりして村に挨拶をして王都に旅立つことにした。


村の人たちからは魔物を退治した事でお礼を言われた。

全員が馬車に乗り込んで、王都に向けて出発だ。


コリントとザベラに故郷は、どうだったのと聞くと、働かされて大変だったと言っていた。

こき使われていたそうだ。

王都が1番だと言っていた。


しかも2人とも兄弟が多いみたいで、小遣いをねだられて結構な金額を出したそうだ。


2人とも冒険者とかで稼いでるし、最近はポーション作りでもお金をもらっているから、でも両親から喜ばれたそうだ。


魔法で少しだけ馬車の重量を半分にしているので浮いているような感じで馬車に揺られながら王都を目指している。


ソフィアが馬車の御者を申し出てくれたので、お願いした。

今はイザベラがソフィアの横に座っている。

だから馬車の中にはコリンとアリシアと俺だけになる。


俺は馬車のソファーに座って眠ったふりをしながら、考え事をしていた。

ソフィアの街に来たときに、景色は良かったんだけど、なんだか物々しい感じがしたんだよね。


なんだかわからないけど騒がしいような、ざわざわしたような感じだった。

この感じはなんだろう、以前も感じたことがあったような。


馬車の中ではアリシアの村に襲ってきたタイガーの討伐の話や、ゴブリン討伐を行ったことを話しているみたいだ。


村の人たちに話したことと一緒の話を。


イザベラが「へーそんなことがあったんだ」と言っていた。

相変わらず、コリンは無口だ。


お昼は馬車の中で食べて、夕方になって1泊することにした。


俺は今、夕食の準備をしている。


夕食の準備といっても火を起こしているだけ。

あとはパーティーメンバーがやってくれる。



何事もなく夕食を食べて、女性陣は馬車の中で寝ることになるが、俺はいつも通り焚き火の横。


もちろん寝るときは魔法で結界の膜で覆う事は忘れていない。

そして何事もなく次の日、王都に着いた。


馬車を王都の街を走らせながら、ソフィアの街で感じたような騒がしさを感じた。


なんだろう? と考えていると屋敷に到着した。


屋敷に到着すると、馬車の世話をするものが近づいてきて馬車を引き継いでくれた。


執事のセバスチャンに、何か変わったことがなかったと聞くと、「それがですね旦那様… .」と言いにくそうにしていたので、屋敷の俺の部屋に場所を移して話をすることにした。


俺がソファーに座ると、セバスチャンは立ったまま、「旦那様街中が騒がしくなかったですか? 」と聞いてきたので、「そんな感じがしたけど…」と答えた。


「何が起きているんだい」


「戦争が始まるみたいなんです」


俺は唖然としてしまった。


何も言い返すことができないでいると、セバスチャンが「貴族の皆様は召集があるかもわかりません」、「なので外出は控えるようにとお達しです。」と言い出した。


しばらく王都にいなかっただけで、なんだか一気に変わってきた。


おれは緊張や以前の戦争で死んだ記憶があるので顔から冷や汗が流れてくるのが感じた。

背中も汗をかいてびっしょりで気持ち悪い。


現状の把握をしなければいけないがセバスチャンが言うには、隣国の帝国が戦争を仕掛けてくるかもわからないと言う話だった。


帝国は、ソフィアの街の先にある国だ。


治安もすごく悪いし、悪政をひいている王様がいる国だ。


俺も当然、伯爵位なので駆り出されることになるかもわからない。


正確なところを知りたかったので、王様に面会を求めた。


王様は忙しいにも、かかわらず俺との時間をとってくれた。


王様が言うには、やはり帝国が攻め込んでくるだろうと言う事。


今、現在、着々と軍備を増強しているそうだ。


人や馬や刀や火薬などを集めていて、半分以上準備が済んでいると言うことだった。


こちらも密偵で、それを知って準備を進めていく指令を出したが、準備が遅れているそうだ。


王様との話が終わって帰る途中に、なぜか廊下にシャーロット姫が立っていた。


「アルベルト伯爵様ちょっとよろしいですか」と言われたので俺はお姫様の部屋についていった。


部屋では侍女が紅茶を入れてくれる。


「伯爵様は、お父様から戦争の話を、お聞きになられましたか?」


「はい」


「やはり戦争は本当の事なんですね。恐ろしいことが始まる」


と体をふるわせていた。


そこで俺が、何とかしてみましょうと言いかけて口ごもった。


そんなことが言えるものじゃない、言ってはだめだ。


姫様の話を終えて、城から出てきた、今日はセバスチャンが御者をしている。


俺は馬車の中で、ずっと考え込んでいた。


これからアリシアとの将来が始まるかもわからないのに、戦争することになるなんて。

そうならないように、立ち回らなければいけない。

目の前の火の粉を払わなければ…



しかも、目立ちたくないので、できるだけ隠密に、内密に!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る