第92話 2人の雰囲気

アリシアが俺に口づけをしたあと、なんだかすごく、気まずい雰囲気があったが、しばらく黙って目の前にある火を見つめていた。


目の前にある火を見つめながら紅茶をすすった。


なんだかアリシアからキスされたことが、すごく恥ずかしい。


本来なら自分からキスしたかったのに、でもチャンスが訪れなかった。


・・・・・・・


誰も話すことがなく、焚き火の音だけが時々パチっと音がしている。


アリシアがすぐ横にいるので体と足が触れ合っている。


火の温かさとは違って、人の温かみは本当に気持ちが良い。


俺は沈黙の時間を、しばらく楽しみながら、「アリシア、君は必ず守るから」と言った。


「うん、お願いね」とアリシアから返事が来た。


しばらく2人で体を寄せあって焚き火を見ていた。


そこに、後ろからソフィアが、音を立てないようにそろりと近づいてきた。


俺たちは2人の時間を満喫していたが、それが破られた。


「なんだかお二人さん仲がいいわね」とソフィアに言われたからだ。


俺たちはどきっとして、お互いに体を離して立ち上がった。


「これは、違うのよ・・・」


顔を赤らめて、恥ずかしくなりながら、慌てて拒否しようとしていたアリシアだったが、ソフィアがからかうように、「なに言ってんの、ずいぶん前からわかっていたわ!」


「幼なじみだし、雰囲気がなんだか違うし」とソフィアから言われてしまった。


ソフィアが指を口に突っ込んでならない口笛を鳴らしている。





ソフィアが来たことが、すべての雰囲気をぶち壊してしまった。


全くいいところだったのにと俺は素直に思った。




俺も顔が赤いが話を切り替えるために、ソフィアどうしたんだいと聞いた。


そうするとソフィアは、ちらっとこちらを見て、忘れるとこだったわ。


タイガーの毛皮と肉あるんだけど村でもらってもいいかしら?


と聞いてきたので了承しておいた、


あとタイガーの魔石があるんだけど、これはアルベルトのものだから渡しておくわねと言われた。


それだけ言うと、振り返りながら、ニヤニヤしながら帰っていった。


俺たちは雰囲気をぶち壊されたので、もう寝よっかと言って寝る準備を始める。


俺は焚き火の横で寝る準備を始めたんだけど、アリシアが馬車の階段を登ろうとして立ち止まって手招きしている。


えっと驚いて目を大きく見開いたが、アリシアは何もしないんだからね、一緒に寝るだけだからね。


と言ったので、俺も動き出してアリシアがいる場所に入っていった。


本当に、寝るだけだった。


期待して損した。


しかも2人の間にクッションを置いてバリケードされた。


あ〜ぁ、残念!

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