第47話 ギルド長
二階には、廊下の両側に、いくつかの扉があるが、1番大きな扉の前にお姉さんは止まった。
お姉さんは、そこで扉にノックをする。
「入れ」と中から声がする。
お姉さんが大きな扉を開けると、先ほど見た男が机の椅子に座っていた。
机には山ほど書類やいろいろなものが乱雑に積み重ねてあった。
そして部屋を見渡してみると長椅子が2脚と1人しか座れない椅子が並んでいた。
そして窓もあるけど、壁の所には、本棚があって本棚の中には書類やら本やらがいっぱい積み重なっている。
この部屋の主は、片付けが、下手なような感じを受けた。
荒れた部屋を見せるのも構わない精神をしているような感じ。
ゴミ部屋でも大丈夫じゃないんだろうか、と心の中で思った。
それほど汚かったと言う意味ね。
受付から連れて来てくれたお姉さんが、長椅子をさして、
「こちらにどうぞ」と言われたので、言われたまま座る。
ちょっと、5人じゃ窮屈。
女性陣と密接して座るわけにはいかないので、1度は座ったが窮屈だったので、一人用の椅子に座り直す。
受付のお姉さんが、こちらの方が
「ギルド長になります。」と言ったので、
「へー」と言う感じで顔をまじまじ見た。
見られていることに気がついたが、ギルド長は部屋に入ったときにお姉さんが持ってきた我々のギルドカードと、王様からもらった巻物を見ている。
受付のお姉さんがお茶を持ってきて、仕事に戻っていった。
お茶を飲みながら、しばらく待っているとギルド長が顔を上げた。
なんだかギルド長の顔が、ゴツくて怖いんだけど。
アリシアは、横に居るコリンの手を握っておびえだした。
いろいろな沈黙もあるけど、顔が怖い人の沈黙が1番、嫌だ。
「お前ら、この巻物を見たのか」
顔が怖いから、しゃべれなくて全員が顔を横に振る。
「この巻物はなぁ、国に対して貢献があった者に渡される」
普通は貢献があったといっても、高等文官から渡されるのが多くて、王様、直接はないそうだ。
「何をしたんだ」とギルド長は近づいてきた。
ギルド長は空いている椅子に座って我々をにらむ。
巻物の中に、ギルド長も確認して知っておくようにと書いてあったそうだけど。
それを我々に説明する。
そこでソフィアが代表して、経緯を説明する。
「ほう、そんなことがあったのか」とギルド長は言った。
第一王子が毒を盛られたと言う事は街中に知れ渡っていたので隠すことではなかった。
しかしシャーロット姫が狙われていると言う件は内密にと言われたが、話上、ギルド長には話していいことになっているそうだ。
兵士や騎士以外にも、街で起こっている事はギルド長も知っておかなければいけない立場があり、報告が来ていたが王様、直々のものは、まだ届いていない。
なので改めで確認しなければいけなかった。
ソフィアの話を聞いて、街中で起こっていることを、ある程度、納得したのかギルド長は、次の話に移った。
そしてギルド長は巻物を見ながら、
「ここにはなぁ、普通ではありえないことが書いてあるんだが」
自分たちは何が書いてあるのかわからないので、続きを待った。
「ここにはなぁ、全員のランクをBランクに上げるように指示が書いてあるんだ。」
俺たちも目を見開いて驚いた。
ギルド長の説明によると普通であればランクを1つあげるのも、数年から10年以上かかってしまう。
よっぽどの実力がなければ、1年や2年でランクを上げる事は不可能だ。
「お前らは、よっぽど王様が喜ぶことをしたんだろうよ」
「俺も王から言われたら、拒否することもできるが、聞いた話を総合して考えてみると、了承することにしたよ」
そうすると巻物5枚に何かを書き加えて渡してくれた。
「その巻物を持って、下の受付にもう一度、言って、できたら先ほどと同じ受付の女の子のところに行ってくれ」
そして我々がギルド長室を出て行こうとした時に、ギルドカードも忘れるなよと言われたけど、ギルド長が単純に渡すのを忘れていただけじゃん。
ギルド長の机の上にあるんだから。
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