第78話 理科室2喫茶にて

「やっぱり理科室2が落ち着くからそこで食べよー。アイスティーも作っちゃお!」


と戸村先輩が言うので理科室2へプリンとアイスティーを持って大移動だ。


「なんかグレードアップしてるじゃない!何この応接スペース!あ、なんか事件のコレクション増えてる!いろいろ話し聞いちゃおっと。」


戸村先輩は嬉しそうに応接スペースにプリン達を置き、平原先輩や蔵森さんと腰掛けた。


「戸村先輩!!!やっと会えました!俺ずっと会いたかったです!!」


泣きそうになりながら細田が華道部Tシャツと短パンで現れた。バスケ部、途中で抜け出してきたな。


「細田ー久しぶりじゃん。俺ちょいちょい来てるのに会えなかったね。会わないうちに華道部に入ったの?すげーTシャツだな!」


「いや、これ、貰いもんなんです。着心地よくてつい。あれ、平原先輩じゃないですか!隣は有名な彼女さんですね!」


「細田は知っておったのか?」


「運動部にはね、秘密の情報ルートというものが存在するのだよ。」


細田がしたり顔で頷く。確かに細田はツテが多くていつも助かっている。


 そんな賑やかな細田に対して幸太朗はこっそり入ってきてプリンに目を輝かせながら亀と鹿の間にはさまりにいった。


「幸太朗のはこれね。」


幸太朗のプリンだけ200mlビーカー、皆の2倍の大きさで作ってある当たり戸村先輩はさすがだ。


 しばしの時間、ビーカーキャラメルプリンに舌鼓を打った。


「あー幸せ。俺やっと戸村先輩のお菓子食べられた!」


細田はうっとりとしていた。甘党だしな。良かったな。アイスティーも美味しいが出来ればビーカーではないので頂きたいなぁ。今後は対策を練ってみようと考えていると


「でさー俺、あれ見覚えないんだけど、」


戸村先輩が果たし状を指差した。間中が綺麗に裏打ちして額縁にいれ、「華道部部長ストーカ事件記念」とプレートをくっつけて飾られている奴だ。


「本当に剣山投げ合いしたの?ストーカー事件ってどういうこと?知りたい!聞いちゃダメ?」


間中と細田と幸太朗と私は思わず顔を見合わせた。そして、間中が、


「新聞に発表になってるストーカの事件ですし、別に話しても大丈夫かと。」


と私を見て言う。ストーリーテーラーはやっぱり私なのか?と細田を見やれば、目をキラキラさせてうなずいている。私に話してもらうのが好きな奴だしな。幸太朗に話させたとしたら、「俺、やってない。犯人ストーカー、みんなで捕まえた。完」だな。


「分かりました。ざっと、話せる範囲で、なんとか。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る