第66話 お菓子の缶の中身
どうやら、私が不平等条約を結びそうで慌てた間中は校舎中を森田さんを探して駆けずり回っていたらしい。下校してる可能性だってあったろうに。そして今、話を聞いてちょっと深刻味を帯びていると感じた間中は、
「下駄箱を移すのは良い案だと思います。元の森田さんの所にピンポイントに当てて監視カメラを取り付けましょう。化学班のおもちゃをいい感じでセッティングしますから。あと指紋も一応。学校内はまあ、人の目がありますけど、登下校中とかお一人で行動なさらぬように気をつけて下さい。科学部でもそこは協力しましょう。大きい用心棒になりそうなのいますからね。でも、まずご両親にも相談して下さいね。校長とか警察とかも視野に入れていく案件かと。」
と至極まともな事を言ったあと、
「えっとですね、幸太朗はほぼほぼ犯人ではないですから、例え、我々が犯人に辿り着かなかったからといって罰則みたいな花壇を弁償しろ的な話は無いで了承していただけますかね?」
そこが1番大事らしく勢いが強かった。
「はい。むしろ、濡れ衣でお騒がせしたとあれば、なんらかのお詫びをさせて頂きます。」
良かったーとボソボソ呟くと間中は会計の机と本人が決めてる机の上のお菓子の缶を開けると中から用紙を取り出した。何やら書き足すと
「これでサイン願います。」
森田さんに渡した。森田さんは一読して頷くとサインをしてくれて、
「お願いします。両親にも今日帰ったら相談します。後で気づいた事などはSNSで送ります。」
帰っていった。
「おーい間中。その缶はなんだ?」
黙っていたが、缶から用紙を出してサインとか。その用紙、内容知らないぞ。
「あ、○サブレの缶です。大きくて派手で人目を引く色使いの、ごく単純なデザイン。素敵ですよね。もう一つこっちの白い方は最近手に入れた限定品の缶で、折り紙入れですから気をつけて下さいね。」
「いや、缶の説明ではなく中身だな。契約書?」
「ええ。これから依頼増えそうだなって思いましてね。幸太朗が書式考えてくれたんですよ。今度からは勝手に口約束で不利な仕事請け負わないで下さいね。私を通して下さいね。」
「仕事って。我々は高校生であり、科学部であり。ただ面倒事がたまたま転がってきただけで。」
「大体が、数学班は戸村先輩の頃から厄介事を安請負いしがちな体質でしたよね!」
あー
「最近は化学班も手伝ってますからね。きちんとしますよ。きちんと。」
ありゃりゃりゃ〜。間中の厳しい眼差しには完敗だ。ま、いっか。
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