第46話 書道部 6/21(月)放課後

 A1高校は芸術の授業が今は、音楽と書道だ。音楽、美術、書道だった時代もあり、特別棟に音楽室、美術室、書道室、理科室、社会科室、コンピュータ室などがある。1番幅をきかせてるのは理科室達であろう。


 書道部は文化祭で先輩は引退し、部長は2年に引き継がれたばかりである。隣のクラスの武村さんが部長だと聞いたから、昼休みに訪ねると、今日放課後に書道室に来てくれと言われていた。だからして、


「私、1人で別に大丈夫だぞ?お前は剣道部に少し顔をだしたらどうだ?」


後ろをピタピタとついてくる幸太朗に声をかけると、


「俺も行く。」


である。写真部の時に置き去りにして大層ご機嫌斜めになったが、無事動画を貰って来てくれたので便利は便利だ。が、付いてくる圧が凄くてその辺の廊下に繋いで置いときたいぐらいだ。


「失礼します。」


と言って書道室へ入ると、今日は10人ほど集まってジャージ姿で墨をすったり準備をしている所だった。制服だと汚した時大変なのでジャージに着替えて活動しているとか、ダンスパフォーマンスの練習もあるとか、文化部でありながら、運動部のような風体である。


 武村さんに案内された机にすわりながら、さりげなくポケットのボイレコのスイッチを入れる、こういう事はこっそりとした方が話は聞き出しやすいものだ。


「文化祭の発表の時の話だっけ?墨すりながらでいい?」


既に硯で墨をすりながら聞いてきた。


「うん。ケーブルの種類に問題があったって聞いたんだが?」


「ね。全然知らなかったのよ。昨年までは、CDの音楽で書道パフォーマンスしてたの。チアがさ、スマホの音楽をケーブルで繋げば流せるって言うから今年はそうする事になって。リハーサルの時、軽音にケーブル間違えて繋いだら危ないから気をつけてって言われたの。初めてだし、心配だから、念のため軽音を呼んだらさ、まさかの本番で軽音が間違えて用意してるとは思わなかったよ。」


「なんかその時誰が間違えたとか用意したとか話をしてなかったか?」


「うーん。上田?とか言う一年生が軽音の先輩達に責められてたけど。でも、その上田って子が気づいたんだよね、違いに。だからなんとも。でさ、如月ちゃん、あれ、大丈夫?」


話に夢中で幸太朗の存在を忘れておった。振り向くと書道部の顧問の大川先生に生徒達の作品など高い所の掲示物の張り替えをやらされている幸太朗の姿があった。


「ありゃ。」


「書道部は女子ばっかりだから、できないでいたのよ〜。脚立運ぶのも面倒でね。その辺は椅子に登っても届かなくて。前の先生は男の先生だったから、そんな所に貼っちゃってさ。埃だらけでしょ。大丈夫?佐田くん頼もしいわねぇ。素敵だわ。時々書道部に来ない?」


書道部顧問に勧誘されている幸太朗をそのままに、武村さんにバイバイと手を振った。うん。こうやって書道部に恩をうるのも悪くない。幸太朗、使える奴に成長したな。と私は理科室2へ戻ることにした。

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