第38話 幸太朗の供述
「ボブがどうして壊れたのか、門はいつ壊したのか聞かれた。」
「誰に?で、なんと答えた?」
「生徒会長と多賀先生。門は文化祭初日に通ったら頭が当たって壊れた。ボブは片付けの時って。でもボブには事前に割れ目が入ってたって坂本先生が言ってたのもいったよ。」
多賀先生は生徒指導部だ。生徒会長がいたというのに会計はこんな所で油売ってて良いのかと目線を向けると、会計の間中は
「あいつら認識が甘いんですよ。ただの悪戯が頻発したで済ませたいんですから。脅迫状があったというのに。」
と苦々しい顔をした。
「脅迫状とな?」
「写真部の展示品に心霊写真が混ざってましてね。そこに『文化祭めちゃくちゃに呪ってやる』って貼られてたんですよ。それを演出だろうとか言ってるんですよ。」
「俺、心霊写真飾ってないかって見せられて聞かれた。そんないつも見てる光景撮ってもつまらないから知らないって言った。」
とりあえず、幸太朗のいつも見てるは放っておいて
「心霊写真は写真部の冗談じゃないのか?」
「気になりますよね?部長」
間中がニヤァと笑った。背筋を悪寒が走り抜けていった。
「俺も気になる」
幸太朗が真面目な顔をした。
「今回は何日まで解決とか、報告義務とか犯人分かったらどうするとか取り決めがあるのか?」
趣味での解決なのか依頼元があるのか間中に確かめた。
「いわば、幸太朗が人質になってますけど。実は依頼元は写真部の顧問の教頭の北山先生になります。」
ちゃんと依頼されてきたようだ。
「北山先生が、何故?」
「展示作品の品位が穢されたとかなりの怒(おこ)です。」
間中が指でツノを作って鬼を表現した。
「かつ写真部がフザけたとか写真部が犯人ではとの疑いをはらしてほしいと。」
「まーた写真部全員が犯人なんてオチだと笑えないなあ。」
前回の吹奏楽部事件を思い出して皮肉が出てしまった。
「それは無いと思いますがね。何から着手しますか?」
間中に聞かれた。立てた木刀に両手をのせてあごをおいてる幸太朗を見やると
「幸太朗、まずはこれを見やすく表にしてくれ。」
間中から送られた文化祭反省&アンケート写真を見やすくする事から始めることにした。
幸太朗は椅子ごとパソコンへと移動し、木刀を実験台に大事におき、
「やるー」
と働きはじめた。
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