第二章 事件ファイル2
第34話 ボブの悲劇6/13(日)
「どうしたんだ!ボブの骨盤が真っ二つじゃないか!」
思わず叫び声をあげてしまった。身長170センチの骨格模型のボブの脚の長さが左右で違うのだ。骨盤が割れてるせいだ。運んできた幸太朗を睨む。
「お前、何した!骨盤は大事なんだぞ!折ったのか!」
私の大声と睨みに幸太朗は肩をすくめ首を振って否定した。何を否定したのだ?
「倒したのか?」
「倒した。けど、それだけで割れるわけが。」
あ、折ったの否定か。気の毒なボブをみておでこに手をやって悩んでいると、
「とりあえず、坂本先生に見せましょう。」
と幸太朗の後ろから間中が顔を出してきた。
先程、15時に文化祭が無事終わって今は後片付けの時間だ。今年は飲食物店の制限が厳しいから科学部は「お楽しみ実験教室」を開催していた。で、看板娘の人体模型キャサリンとお見送り用骨格模型ボブを片付けている最中の悲劇であった。
「あらーボブ。骨盤割れちゃったの。痛いわねー。」
生物の坂本先生はのんびりと言うとボブの骨盤に目を近づけて観てそのうち虫メガネを取り出して観察し始めた。
「骨盤が倒しただけで何で割れたのかと思ったのよ。結構硬いはずだから、他のもろそうな所は大丈夫なのに。ほら、ここに人為的な切れ込み入ってるわよ。悪戯されてたのよ。」
幸太朗はあからさまにほっとして私を見た。
「良かったな。お前のせいじゃ無くて。」
だからそう言ってやった。すると間中が、
「じゃあ誰が切れ込みを入れたんだという問題が残ります。」
としたり顔で言い、坂本先生も
「本当よー。なんでボブの骨盤に切れ込みなんか。接着剤でくっつけとくけどさ、もうあまりハードなお仕事はさせられなくなっちゃったわね。」
と嘆いた。
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