第7話 5/28(金)雛ちゃんアミラーゼ
朝、理科室3の隣の生物科準備室から漏れ聞こえる無駄なイケボとインコの会話でげんなりしてしまう。
「雛ちゃん、あれから大丈夫だったかい?元気かい?」
「ヒナチャン、ゲンキ」
「雛ちゃん圭吾好き?」
「ヒナチャンケイゴスキ」
「大好き?」
「ダイスキ」
「早く一緒に暮らそうね。圭吾頑張るから」
「ケイゴガンバル」
「如月みたいになっちゃだめだよ。雛ちゃんは清らかなままでいてね。」
「キサラギ、ヒナチャン、ママ」
「違うよ、雛ちゃんどうしちゃったの?」
「キサラギ、ママ、」
「違うよ雛ちゃん、落ち着いて。圭吾は雛ちゃんの彼氏ね。」
「ケイゴカレシチガウヨ」
「雛ちゃん!」号泣。
いや、もう、入りづらい。打ち合わせをしないといかんのだが。罪作りなセキセイインコだ。とりあえず恋人?との逢瀬の邪魔にノックは必須アイテムだ。
コツコツ
「あー取り込み中の所済まないが、打ち合わせが。」
イケメン細田が涙目で睨んでくるがスルーして質問紙を渡した。
「概要は昨日SNSで説明した通りだ。」
「分かった。雛ちゃんに変な事教えてないよな?」
「いや、無実だ。ただ、少し坂本先生がかってるのは許してくれ。居場所が準備室だからな。私のせいではない。」
坂本先生は生物の先生だ。
「坂本先生?どの辺が?」
「あー時々、酵素の歌を歌ってる。」
「アミアミアミアミアミラーゼ、ぺぺぺペペぺロンチーノジャナクテペプチンネ、パリパリリパーゼマルチャンマルマルマルターゼ♫」
ありがとう。ありがとう。雛ちゃん。(泣)
バタンと地面に手をつき大袈裟に落ち込むイケメンを引き起こしていると咳払いが聞こえた。
「ゴホッゴホン、えーと部長、副部長もう、吹奏楽部の子が来ますので配置について頂きたく」
青ざめた顔の間中が立っていた。何か誤解を生んだようだがこうしてはいられない。
「細田よろしく頼むぞ。数学班の危機は科学部部費の危機。それはすなわち雛ちゃんの危機だ。」
「分かってる。雛ちゃんまたね。」
雛ちゃんにウィンクをした細田と一緒に
理科室1へ急いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます