自分で自分を下手くそだなんて言うもんじゃない

ダメ、絶対。


自分だけは自分のファンでいましょう。

下手だなと思っても、口にしない、文字にしない。


とはいえ、上手に書けるようになりたい。

よーくわかります。


では自分に問いかけてみましょう。

上手に書けるようになりたいとはどういうことですか?

下手とは、どう下手なのか?


頭の中に浮かんでいる(または描いている)物語が自分の思うようにつづれない。

下手だなあと思う時はそんな時でしょうか。

私はそうです。


それなら、思うようにつづれたのなら、上手い小説なのか。

自己満足の作品にはなります。書いた本人は満足、満足。

では読む人は?

「上手い」と思う人もいれば「下手くそ」と思う人もいるでしょう。

好みは人それぞれ、「美味い」は人それぞれ。


自分の思う「上手い」を貫きたいのか、他人が評価する「上手い」を目指すのか。

まずは自分の思う「上手い」をめざしましょう。

その間は、自分だけでも自分のファンでいて、褒めてあげましょう。


他人の評価する「上手い」の境地に達するには勉強と絶え間ない努力が必要です。

語彙、表現、時代の好み、他人の評価する「上手い」にはさまざまな要素が含まれています。


他人の評価する「上手い」の道のりを行く間は孤独です。「下手くそ」と声をかけられるでしょう。そりゃそうだ、だって「上手い」を目指している途中なんだから「下手」ですよ。でもね、自分自身だけは「下手」と言わないで欲しい。さんざん他人から言われているんだから。


絵でも音楽でも、稚拙だなあと思うことはあっても下手だなあと思ったことはないかもしれません。


本人の思うような線や音が出ていないと稚拙と感じるようです。線や音、小説なら言葉と発信者との間に距離がある場合です。そういう時は、ああ、稚拙だなあと私は思う。線や音、言葉をつかみきれていない。大丈夫、訓練次第でいずれ距離は縮まります。


逆にうまいなあと思う場合は、線や音、言葉と発信者との間に距離がない。パズルのピースのようにぴったりとはまっている場合。


売れている作品は、線や音、言葉が発信者ではなく受け取る側とぴたりとはまっている。


どの「上手い」を目指してもいいです。自分のうまいでも他人のうまいでも、売れるうまさでも。でも、自分で自分を下手くそだと言って書くことをあきらめないで欲しい。そういう思いで下手くそと言わないでと書きました。


下手だなと思うのなら、思えるのなら、そこは改善点。「ここを改善していけばうまくなる」の精神で前向きに書いていきましょう。


せめて自分だけは自分のファンでいて。

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