第52話 ロマンはあふれている

 頭が痛すぎたので、最終手段を使っちゃいました。


 今、オトオン星では、新しい人間たちが暮らしているわ。


 もちろん、男女仲良くね。

 とても、幸せそうだったわ。


 めでたし、めでたしね。


 そして、また管理する星を変更することになったのよ。


 今度はキストッボという星を、管理するのことになったわ。

 コーンカツ星とよく似ている星で、人間も住んでいるのよ。


 ただ文明レベルは、かなり高いわ。

 クヨリキム星ほどではないけどね。


 他の詳しい情報は、天使たちが調査中よ。


 さあ、そろそろマイケルが、人間が絶滅の危機だ、と言いに来る頃ね。


 あぁ、気が重いわ~。

 とてつもなく面倒くさいわ~。

 お酒が飲みたいわ~。



「神様ー!」


 いつものが来たわね。

 そろそろだと思ってたわ。

 大当たりね。


「神様!大変ッスよ!」


「はいはい、どうせ、いつもの人間の絶滅の危機でしょ、それで今回の原因は、なんなの?」


「何を言ってるんッスか!この星では少子化は起こっていないッスよ!!」


 え?


 少子化が起こっていなくて、人間が絶滅の危機に?


 ん?なんだか、おかしくない?


「い、今、なんて言ったの?」


「だから、少子化は起こっていないッス!!」


「な、なんだってーーー!!!」


 少子化が起こっていない!?


 ナニソレ!?

 ワケが分からないわ。


「どういうことなの!?この星の人間は、いったい何で絶滅するというの!?」


 また星が爆発するの!?

 キストッボ破壊爆弾!?


 それとも、少子化じゃないなら多子化なの!?

 子供が多すぎて絶滅!?


 ワケガワカラナイワー!!


「神様、落ち着いてください!絶滅の要因になりそうなところは、見つかりませんでした」


「な、なんだってーーーー!!!!」


 絶滅しそうにない!?


 ということは、この星は平和なの!?


 とうとう問題のある星がなくなって、平和な星の担当になったの?


 やった!やったわ!!

 今日は宴会をしなくちゃね!


「さあ、マイケル!宴会に行くわよ!みんなも呼んで来て!!」


「神様、気が早すぎるッスよ。あ、これがこの星の報告書ッス」


「え?ああ、そうね、ありがとう」


 確かに気が早かったわ。

 まだ、始業時間になったばかりだったわね。


 でも、うれしかったのだから、仕方ないわよね。



 さて、報告書を読みましょうか。


 この星は、工業のレベルが特に高いみたいね。


 今、人間たちの間では、人間が乗れる大型のロボットを作るのが流行っているみたい。


 そのロボット同士を対戦させる、イベントもあるのね。


 あ、そのイベントは、今日も開かれているみたいね。

 しかも、新技術を搭載した、新型ロボットの発表会を兼ねているみたい。


 せっかくだから、見てみましょうか。

 マイケルも誘いましょう。


「マイケル、人間の世界で面白そうなイベントがあるみたい、一緒に見ましょう」


「それって、ロボットのイベントのことッスね!面白そうッスね!見ますよ!」


 神の力で、空中に映像を出した。

 もちろん、音声も出るのよ。


 あ、今、ちょうど始まったみたいね。



「ご来場の皆様、大変お待たせいたしました。これよりバクツ社の新型ロボット発表会を開始いたします!!」


 司会の人間が、イベント開始の宣言をした。


 大歓声が上がる。


 会場は大盛り上がりだ。

 とても人気があるのね。


「それでは、登場していただきましょう!ダイバクハー2です!どうぞーー!!」


 ダイバクハー2?

 ああ、ロボットの名前なのね。


 『ダイバクハーツー』ねぇ。


 なんか嫌な予感がするのだけど。

 気のせいよね?


「おお!すごいッスね!!カッコイイ!!」


 白を基調としたカラーリングの、スーパーロボットって感じのロボットね。

 存在感のある重厚なフォルムね。

 正義の味方って感じで、なかなかカッコイイわね。


 マイケルも喜んでいるわ。


 なんでもあのロボットには、新型のエンジンが搭載されているらしいわ。

 旧型のエンジンよりも、十倍以上のパワーが出るそうよ。


 すごいものを作ったのね。

 素晴らしい技術だわ。


 ボウソーバクハーエンジンという名前だそうよ。


 ん?また、なんだか嫌な予感が……

 気のせいよね?


 どうやらデモンストレーションとして、バクツ社の旧型のロボットである、ダイバクシナイ十機と対戦するみたい。


 十機も相手にして大丈夫なの?


 あ、始まったわ。


 ダイバクハー2が対戦相手に向かって行くわ。


 そして、攻撃を……


 え?映像が真っ白になった!?



 次の瞬間。

 人間は全滅した。


 ボウソーバクハーエンジンが暴走し、爆発したからである。

 この爆発でキストッボ星も消えてなくなった。



「ちょっと!これはどういうことなのよーー!?」


 ダイバクハー2が、戦闘を開始したと思ったら、ダイバクハツを起こしたわ!?


 なぜこんなことになっているの!?

 私は何もやってないわよ。


 この星は、平和ではなかったの?

 全滅する要因なんて、なかったのではないの!?


 おのれ!人間どもめ!!


「もしかして、これが、ここの管理者に任命された原因なんッスかね?」


 う、そう言われるとそうかもしれない。


 はっ!

 ま、まさか、これからおしおき!?


 いや、殺気は感じない。


 どうやら何もしていなかったから、許してもらえたようだ。


 良かった。

 いや、良くはない。

 星が滅んだのだから最悪だ。


 こういう時は、アレの出番ね。


「マイケル、今日は自棄酒よ!!」


「了解ッス。でも、ほどほどにしないと、また二日酔いになるッスよ」


 そんなのどうでも良いわ。


 さあ、自棄酒よ!

 飲まなきゃ、やってられないわ!!

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