第九話　新しいダンジョンが発生しました

　一条の光さえ届かない、

　深く昏（くら）い闇の只中（ただなか）で、

　目を醒ました。

　目醒めた時には、

　周りには何も無かった。

　周りに誰もいなかった。

　狭くて暗い。

　孤独という概念を理解してはいなかった。

　けれど、得体の知れない寒気に襲われ、

　体が、或いは心が、震えた。

　ここがどこかもわからない。

　どれくらいそこでそうしていたかも、わからない。

　ただうずくまって震えていても、なにひとつ変わらない。

　そのことだけはすぐにわかった。

　自身が変わる必要性を識（し）るに至り、腕を、手を、指を伸ばす。

　己が存在すべき世界を掌中に収めるために。

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