思春期な中学生が生意気盛りの小学生と
~思春期な中学生が生意気盛りの小学生と~
「ポッキーなんてあんなお菓子ぜんぶ持つところがなくなっちゃえばいいのよっ!」
「過激派のわりに呪いが陰湿だね」
キャンキャンと吠える年下の妹分メイをなだめる。
あまり家にいないユミカの両親と仲が良く、日ごろから家族ぐるみでお世話になっている家の一人娘だ。彼女の家がパン屋さんをやっているだけあって(?)、パン以外の焼くものがモテはやされる現状に怒りが爆発しているらしい。
「ポッキーゲームじゃなくてもっと……そう、フランスパンとかチュロスとかプレッツェルとか!ウチにあるものでもりあがってよ!もう!」
「おなか一杯になりそうだね。まだラスクとかのほうがいいんじゃない?」
「!!ユミねえテンサイ!ポッキーゲームじゃなくてラスクゲーム!ママたちにも教えてくるー!」
「お二人ともお仕事中だからね」
今にも駆けだしそうな元気っ子をぐいっと抱き留めたユミカは、彼女をむぃっと腕の中にとらえる。小学生にしてはやや早熟な少女はいろいろと柔らかくて、最近になってようやく性を自覚してきたユミカは少しどきどきとした。
それをごまかすように咳払いをしつつ、ユミカはバッグから件のお菓子を取り出す。
忌々しい赤い箱を見たとたんに目じりを釣り上げたメイは、キッ!とするどくユミカを睨んだ。
「ユミねえうらぎりものー!」
「で、でもほら、まずはポッキーゲームについてちゃんと知らないと。相手を知るのが勝利のためには大事なんだよ」
「そんなこと知らないもん!」
ぷいっとそっぽを向いてしまう少女にユミカは困ったように笑い、そっと指先で彼女の唇に触れる。
びくっとしておずおずと見上げてくる戸惑いの視線。けれどユミカには、さっきから少女のぷるぷるの唇しか目に入っていない。ふにふにともてあそぶ指先ではなく、もっと違う場所で触れ合いたいという欲望がうずく。
鳴り響く心音にくらくらしながら小首をかしげた。
「メイちゃん……しよ?」
「ぅ……」
メイも小学六年生であり、ポッキーゲームがどういう代物かくらいは知っている。
けれど同学年の男女にも色事にもさして興味がない彼女は、なんならバカバカしいとさえ思っていた。
だが目の前にいる自分より年上のお姉さんが、自分とそういうことをしたがってこんなにも頬を赤く、瞳をうるうると濡らしている。
「ゆ、ユミねえがしたいなら」
「したいっ」
「……♡」
なんなら食い気味なお姉さんの即答に、メイは息が止まるほど胸が弾んだ。
―――性の目覚めである。
ついでに彼女はちょっぴりイケナイものにも目覚めていた。
ユミカから箱を取り上げ、ポッキーの持つところだけを割って取ると、その短すぎる部分だけを咥えて差し出した。
「ほら、ユミねえ、していいよ?」
「そっ、れはなんか違うょ?」
「ちがくないでしょ?」
「あぅ」
「ちがくないでしょ???」
「……はい」
「あはっ♡」
年上のお姉さんのみじめなところを見られて、メイはご満悦だった。
ゾクゾクと凍えるような熱が全身を満たしていた。
それからメイの呪いが形になるまで、さほど時間はかからなかったという。
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