バスルーム

「ねーねー、ボクね。パーカスに会ってみたいな?」


 ピノは無邪気に言ってくるとローゼフは困った表情でダメだと答えた。


「……それはダメだ。お前をみたらパーカスが驚く。それに、私の部屋にお前がいるのは秘密なんだ。誰にもまだ話していないんだ」


「え~どうして? 何で秘密なの?」


 ピノは何も解っていないようだった。ローゼフは、再び会いたいと言われると困りながら言い返した。


「いいか、とにかくダメなものはダメだ。私がいいって言うまではこの部屋からは出せない。それにお前は普通の人間の子供とは体が違う。お前は生きた人形だ。それを忘れるな。私はそれが心配なのだ。解るだろ?」


 ローゼフがそう言って答えると、ピノは頬っぺたを膨らませていじけた。


「……じゃあ、いつになったらお部屋から出て行っていい?」


「ピノ…――」


 ピノの気持ちを解っていたが、素直に言いよとは言えなかった。パーカスにもまだ少年の事は話していなかった。ピノにそう聞かれるとローゼフは困り果てて口を閉ざした。


「ごめんなさい……もしかして怒った?」


 ピノは彼が怒ったのかと思い、恐る恐る顔色を伺いながら尋ねた。すると彼は怒ってないよと言って頭を優しく撫でた。


「いや、怒ってはいない。ただお前には不便をかけるな。パーカスとは、何れ話をつける。だから今は辛抱してくれるか?」


 目の前で困った表情でそう話すと、ピノは素直に解ったと答えた。


「ピノ、お前が素直な子供で嬉しいよ。さあ、湯冷めをしないうちにお風呂から出よう――」


「うん……!」


 そう言って彼は話しかけるとピノを湯船から出した。そして、白いバスタオルを被せると体を拭いて抱き寄せた。ピノはローゼフの腕に抱かれると彼の首に両手を回して無邪気に抱きついた――。




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