第9話 三杯のオカズ

ある日ある時ある場所で小僧の話


ある日小僧が隣村へ行く用事をたのまれた。

隣村へは山を超えて行かねばならず、和尚様はお弁当を持たせてくれた。

「お前は育ち盛りじゃから飯三杯は食べられるオカズを持っていくとええ」

小僧は飯とオカズとみそ汁と水筒を持って、隣村へ行くのだった。


山を越えようとした時、道端でおばあさんに声をかけられた……どうしてこんな所におばあさんが?と不思議に思ったが、どうも山奥に住んでおり、足が痛くなって動けなくなったらしい。

用事はあるものの優しい小僧はおばあさんの家まで付き添ってあげたのだった。

「ありがとう 疲れたじゃろう?何もないが休んでいっておくれ」

「僕は用事があるので……」

「そう言わずに そうじゃ丁度昼時飯を食っていくとええ」

「じゃあお弁当があるので、ここでご飯を食べさせていただきます」


小僧は持っていたお弁当を取り出し、少し休憩をしつつお昼にするのであった。

おばあさんは台所で包丁を研ぎ始めました。

おばあさんもお昼ご飯を作るのかな?と思っていた時の事、振り向いたおばあさんの顔は恐ろしい山姥へと変貌しており、小僧へと襲いかかったのでした。


「わしの昼飯はおまえじゃあ!」

「まさか山姥だったなんて! 助けて〜」

「ここは山奥誰も助けにはこんぞ!」


小僧は慌ててお弁当を持つと外へと逃げ出した。

しかし、山姥はすごい勢いで追いかけてきており、もうダメかと思った時思い出したのです。

和尚様が持たせてくれたオカズ……これがあれば……

小僧は振り向きざま山姥へ第一のオカズ【キムチ】を投げつけました。キムチは山姥の目に当たりもだえ始めました。

「目がぁぁぁ、目がぁぁぁぁぁ」

小僧は今しかないと、第二のオカズ【なめ茸】を投げつけました。目が見えない山姥は足を滑らせ転びました。最後に第三のオカズ(みそ汁用)【増えるワカメ】を口の中いっぱいに押し込み、水筒のお茶とみそ汁をありったけ流し込みました。

山姥は急激に膨らんだ増えるワカメにより窒息死したのでした。


小僧はオカズを沢山持たせてくれた和尚様に感謝しました。その後小僧は無事に用事を終え帰宅できたのでした。


解説

三枚のお札がベースです。

色々と派生の多いお話なので、山姥を倒す流れを選びつつ、多少無茶と思いつつも増えるワカメで終わらせることにしました。

また、何やら聞き覚え見覚えのある台詞があるかもしれませんが、丁度よかったので採用しました。

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