空間エラーで異世界に
夜兎
第1話書き直しプロローグ
「テストが近いからな、先生が特別に確実に出る問題を教えてやるぞ。」
いつもならこんなリップサービスはしない、数学担当であり担任の
『また、教頭にネチネチ嫌味を言われたんだな。』
その証拠に星月先生の方から微かに煙草の匂いが漂ってきて、目が合うとなぜ、俺にだけ裏の顔を見せて来て、怪異と対峙した主人公並みに肝が冷える。こんな事になったのも深夜のコンビニ向かっている途中で星月先生に見つかったせいだと薄々気が付いているが、現実逃避をする為に答えを出さずに?マークで結論をとどめておく。
「さぁ、先生はここまで譲歩した。それで点数が取れなかった愚か者が補習が待っている事忘れるなよ。」
全員がそのセリフで天国から地獄へと落ちた瞬間だった。先生の教え方が悪いわけではない。問題が難しすぎて、現役高校生の脳みそでも厳しい戦いを強いられる為、ただでさえ、馬鹿にとっては勝算の薄い出来レースを強制されているような物に等しかった。
「じゃあ、1人、十枚配るからな。」
一人一人配って回り、俺の元に来ると足を軽く踏まれて、顔をあげると顎を掴まれる。
「今日、、、裏な?。」
「どうして?。」
「不良を躾ける為の用意ができたからだ。」
「あの日、俺は課金する為に言っただけで、俺を巻き込んだのは先生でしょ?。」
表では20代後半で曲がったことが嫌いな融通の利かない美人教員。その裏は日本一の極道、星月組の一人娘で大人びた雰囲気と美しい容姿に騙されるが本当は俺の二歳年上の天才飛び級美女であり、冷徹な殺し屋である。
「ガキが、、、、強がったってお前が私に従うしかないんだよ。」
「年上の綺麗なおねぇちゃんに虐められちゃう。」
「可愛いこぶっても逃がさねぇよ。」
とその言葉を合図に組に属しているクラスメイトが前で騒ぎ初め、俺以外の意識が前に集まると同時に唇に柔らかい感触が伝わり、顎を掴む力が強くなる。俺は痛みで口を開くと口の中に生暖かく物がニュルっと入りこんで、舌を絡めとられて、口内を荒々しくなぞられて、解放された。それに驚いて、口を押えると同時に睨み付けようとすると星月先生の後ろの空間がエラーを起こしたゲームの画面のように歪み、ぼこぼこと膨張すると俺は後ろに倒れそうになって、倒れないように耐えて、何とか立ち上がると、知らない森の中に立っていた。
「は?。もしかして、先生から逃げたいという深層心理が起こした神の御業的な奴?」
首を傾げながら、ポケットの中身をチェックすると入っていたのは左ポケットにはガムと飴、右ポケットには見知らぬスマホと九mm弾薬が一発だけ入っていて、謎が謎を呼び始める。
「先生の持ち物かな、一番近かっ、、、震えてる。」
知らないスマホのバイブレーション機能が機能していて、俺はすぐに画面を見ると文字化けのような文字が表示されていて、俺は恐る恐る電話に出ると場面が切り替わって、筋肉質な女の人に覆いかぶさられていて、俺は驚いて動こうとするがまったく体が動こうとしない。
『なんで、山賊に襲われてるのに動かないの?。おい、動けって。』
必死に足掻く俺をあざ笑う声が頭の中に響いて、女の人が俺の唇に自分の唇を重ねた瞬間、自分の体の中から銀色を帯びた闇が影を通して現れて、気が付かない女の人を闇が貫いた。すると一瞬、苦痛に歪んだ表情を見せるもすぐに笑顔を浮かべて、また、場面が切り替わり、騎士風の男が俺目掛け、剣を振り下ろしている場面で、それを自覚した瞬間、体の自由が戻り、持っていたハンドガンを構えて引き金を引いて、男の後頭部から赤い液体が噴出して、崩れ落ちた。
「おお、凄い。私の支配下から抜け出すなんて。」
人を殺した自覚と嬉しそうな声に俺は振り返ると山賊の女の人が立っているが、銀色を帯びた闇を纏っていて、俺は銃口を向けた。
「お、お前、何者だ?。」
「教えないわ、それよりも人殺しちゃったね。」
「うるさい、答えろ?。お前は何者だ?。」
「残滓とだけ答えてあげる。でも、、感謝してる。君のおかげで自由を得られたんだから。」
俺は容赦なく引き金を引くと闇が銃弾を受け止めて落とす。そして、女の人はニヤッと笑って、指を鳴らすと俺は意識を飛ばした。次に目を覚ますと腹の上に真っ白いコギツネが座っていて、目が合うと
『ごめんなさい。』
という声が響いてきた。
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