第562話 その頃、ハクたちは?

ちびっこ達が実に実用性の高い体力測定をしてる中、親方やおかみさんたちドワーフ軍団は⋯


『いよっと⋯うわっ』よろ

大工のおっちゃんこと、ドワーフの琥珀がでっかい丸太を担ぎ上げてよろけています。

丸太なんて一番扱い慣れてるはずなのに


『おいおい、大丈夫かよ』

『気持ちはわかるがな。ほっ⋯ととっ』よろ

よろけてるのは一人だけではない


『ついつい、前の力加減でやっちまうな』

『ああ。まさかのパワーアップに加減が中々掴めん』

『だよな。一気にだもんな』


そう。いつもならよろけることなどないドワーフさんたち。だけど今、やっぱり天界のおばあちゃんのお料理で急激なパワーアップが確認された。今までの力で物を持ち上げたりすると軽すぎて勢い余ってよろけてしまうのだ。


『ねえ、あんたらいっそ一度その丸太まとめて何本持てるかやってみたらどうだい?』

『それなら丸太じゃ持ちにくいだろうから、石の方がいいんじゃないかい?』

『そうだね。いつもの袋何袋持てるかやってみたらどうだい?何倍かわかりやすいだろ?』

『『『ほれ』』』ごすんっ


『『『⋯⋯』』』しーん


そう言って石を差し出せれた親方達が固まった。


『ん?なんだい?』

不思議に思っておかみさんが聞くと


『お前⋯その力で俺たち殴るなよ』

『鉱石袋を片手で三袋ってよ』

『ひと袋だって相当なはずだぞ』

ひと袋だってサンタクロースの袋並みに大きいのに


『おや?そういや苦もなく持てたね』

『そうだね。こりゃ驚いた。おや、五袋行けるかね』

『両手ならもっといけるね』


少なくともちびっこ達に続いて、こちらも五倍以上確定


『『『あ、持てるな』』』

もちろん、親方たちも⋯


『う~ん、きっと俺たち以外もだよな』

『だな。ますます聖域が人外だらけに』

『これ、元の設計より頑丈にするか?』

『そうだね。こっちもそうしようか』

『そうだね』

『一回で壊れたなんてドワーフの沽券に関わるからね』

『『たしかに』』

『『『違いねぇ』』』


『気合い入れてくぞ!』

『『『『『『おー!』』』』』』


だから、何を作ってるんでしょうね?



一方、森の中では⋯


『さあ、みんなやってみる。せーのっ』


『『『『ライトっ』』』』


『『『『『ぴっかりーっ』』』』』


ぱあああっ


『うん。よく出来ました』にこっ


『『『『『やったあ~♪』』』』』ぴょんぴょんっ


『『ま、また成功した』』

『『は、はい』』


たんたんとした口調で褒める光の精霊・月花ちゃんと、成功し喜び飛び跳ねるハクたち、ちびっこたち。

フゥとクゥ、山桜桃ちゃんと春陽くんは、ただただびっくり


『じゃあ、次は私。今出した光の玉を包み隠す感じ⋯こう』


すぅぅ⋯


闇の精霊・揚羽ちゃんが見本を見せると、話し合いを始めるちびっこ達


『わあ~隠れちゃったね~』

『お月さんが隠れた時みたいだね』

『雲みたいってこと?』

『『『もくもく?』』』

みゃあ『もやもやかにゃ?』

『う~ん、霧みたいにも感じたのだ』

『じゃあ~今度は~』

ハクに、フルーとフライ、妖精トリオ、感じたことを言ってます。



そう。ハクたちは森の中で精霊さんたちに簡単な魔法を見せてもらい、自分たちで話し合ってどんな魔法か理解して、自分たちで魔法の名前を決めて試しているのだ。

フゥたち年長組は普通だけど。

今の所、全部成功中。



『決まった?それじゃあ、せーのっ』


『『『『闇の霧』』』』

『『『『『かくれんぼーっ』』』』』


すぅぅぅ


『そう来たか。でも、よく出来ました』にこ


『『『『『わ~いっ』』』』』くるくるくる


『『ま、また』』

『『出来ました』』


もくもくでも、もやもやでもなかった。

ちびっこ達は喜びの舞!

フゥたちは呆然。



〖みんなすごいですね〗にこにこ

〖ああ。すごいぞ〗にかっ!

エル様とヴァル様も、笑顔で褒めてくれます。


『『な、なんで⋯』』

『『どうなって⋯』』

やっぱりまだ呆然の四人


〖フゥとクゥは愛し子の守護精霊だからな。あらゆる魔法が使えるようにならないとな。元々の属性は一番得意なモノ位に思った方がいいぞ〗

『『な、なるほど』』

そう言われてもまだ呆然。


〖山桜桃と春陽も、獣人は魔法が不得手という考えはもう捨てましょう。貴方たちの身体能力と魔法が加わればすごい戦力ですよ〗

『『は、はい』』

こちらもまだ呆然


〖それでは、最後はクゥ〗

〖空属性の番だな〗にっ


『え?お、おれですか?』ギョッ

急に名を呼ばれて驚くクゥ

『な、なんでおれ?』


〖なぜって、ここに空属性の精霊は貴方だけですから。今は守護精霊ですけどね〗にこ


『え、ええ?あ、そっか、そうですね。で、でもっ、おれはまだ精霊になりたてで使える魔法もまだ物を移動させるくらいしかっ』

クゥが焦ってます


〖落ち着いてください。分かってますよ〗

〖だな。クゥとフゥのような成長は例がないからな〗ぽんぽんっ

神様二人がクゥの頭をポンポンしたりして落ち着かせます。


『『えっ?』』

『珍しいとは聞いてましたけど』

『初めてなんですか?』

今度は二人でびっくり。


〖そりゃそうですよ。まず、愛し子に出会って、しかもすぐに名を付けられるなんてことはないですし〗

〖俺たちが興奮して地上に聖域を作っちまうなんてことも、本来有り得ないしな〗うんうん


『『そ、それは』』

『そうですね』

『そうね』

『『はい』』

そんなことめったやたらにあったら困る。


〖それに、サーヤが名付けして成長するなんて思いもしなかったしな〗

〖そうですね。今までいた愛し子にはここまでの力はありませんでしたから〗


『『『『『『えええ?』』』』』』

この発言には皆がびっくり!


『当たり前なことなんじゃないんですか?』

『わたしたちから後もずっとそうだったから当たり前なのかとっ』

『『『『『うんうん』』』』』


みんな目をまん丸にしたまま、こくこく。


〖そうだな。今までの愛し子は限定的なものが多かったしな。例えば《精霊の愛し子》とか〗

〖そうですね。サーヤは《神々と世界の愛し子》ですから、種族は関係ないですからね。皆さんはある意味、運が良かったということですね〗


『『『『『えええ~?』』』』』

またまた神様たちの発言にびっくり!


『サーヤ、今更ながらすごい子だったのね』

『あんなにちびっこなのにな』

『時々残念だしね』

『そうだな。顔中きらきらさせたりな』

フゥとクゥ言いたい放題

『『『『『うんうん』』』』』

みんなも頷いてるし。みんながちょっとひどい


〖皆さん⋯〗

エル様さすがにサーヤが少々気の毒に⋯

〖わははは!確かにあれはすごい顔だな!〗

ヴァル様は大爆笑


『でも、可愛いのよね』

『そうだな。守ってやらなきゃって思うよな』

『『はい!優しいですし!』』

『ぼくたちサーヤ大好きだよ~♪』

『『一緒にいなきゃ!』』

『『『まもらなきゃ!』』』

みゃあ『ぽかぽかにゃ』

『一緒にいると嬉しいのだ』

結局、みんなサーヤが大好き!


〖ふふ。そうですね。みんなサーヤが好きですよ。もちろん、あなた方のことも〗

〖だよな。クゥ、難しく考えるな。サーヤやここにいるみんなを助ける力を一つずつ付けりゃいい。確かに空属性の精霊は珍しいからな、ここに先輩精霊はいないが、医神と今ならバートもいるだろ。こいつらの普段を思い出してみろ。特に食事の時を〗


『え?食事の時?』


食事⋯

〖ちょっと!ずるいわよ!転移はなしよ!〗

『誰がそのような決まりを?』ばくばく

〖早い者勝ちですよね〗ばくばく

〖キーッ〗



『『『『あっ!』』』』


〖思い出したか?〗


『使ってるな』

『使ってるわね』

『はい。思いっきり』

『使ってますね』

転移魔法をバンバンと


〖何だか納得いかない説明ですが、私たちがお教えしますよ。なのでクゥが今一番得意な魔法を見せてください〗にっこり


『は、はい』

急に緊張が戻ってきた


『クゥ、大丈夫』ぽん

『『はい!大丈夫です!』』ぐっ!

フゥたちの目が絶対大丈夫だから頑張れと、自信に満ちた目を向けてくれる


『う、うん!分かった。じゃあ、あそこの岩を⋯あっちに』


シュンッ⋯すとん


『出来た』ほっ

『『『当然(です)!』』』バシンッ

『ぐえっ』

『『あっ』』

痛そうな音に思わず山桜桃ちゃんと春陽くんが声をあげた。

『ううっ⋯フゥ痛いぞ』

『あら、大丈夫よ』バンバンッ

『うっだから痛いってっ』

『『『『『あはははっ』』』』』

クゥの背中にフゥの手形がつきそうだけど、みんな笑ってます。


〖よく出来ました。これだけ大きいものを音も立てずに置けましたしね〗

〖そうだな、クゥほど大きい岩じゃなくていいぞ。そうだな大地、こぶし大の石を人数分頼む〗

『⋯了解。はい、どうぞ』

みんなの前にぽこぽこぽこっと⋯石?


〖大地、ここまでの物は頼んでない〗

『⋯でも、絶対失敗できないでしょ?』

〖そりゃまあ、そうだけどよ〗ヒクヒク

ヴァル様が顔を引き攣らせるほどの物とは⋯


『わ~これバートさん?』

『『こっちはエル様かな?』』

『『『アイナさま!』』』

みゃあ『ねぇねにゃ!』

『姫のはジーニ様なのだ』

『『これ、おばあちゃん?』』

『『ゲンさんです』』


そう。大ちゃんてばフィギュアを作っちゃいました。


『『これは絶対に』』ごく

『『失敗できません』』ごくっ

『『『『『うん』』』』』こくこく

色んな意味で失敗できない!


〖おやおや。なぜ鍛治神や結葉はいないのでしょうね?〗

『⋯え?なんか笑って許してくれそうだから?』

〖確かに。プレッシャーにはならんかもな〗

〖それは、私はプレッシャーになると?〗

〖あ?いや、別にそう意味じゃ⋯大地っ〗

『⋯じゃ、僕の仕事は終わったから頑張って』

〖あっ待て!大地っ〗

〖ふふ。後でお話しましょうね〗

〖やだよっ〗

あ~あ、ヴァル様かわいそう⋯


『⋯ほら、みんなもがんばって。せーのっ』

なぜ大ちゃんが合図?まぁいっか。


はっと気づいたみんなは


『『『『転移っ』』』』

思わずクゥまで⋯


『『『『あっちいけーっ』』』』

ちびっこ達、それはどうなの?


とりあえず

『⋯うん。成功だね。良かったね、壊れなくて』くすっ

大ちゃん⋯


『『『『よ、良かった(です)』』』』

『『『『『ふぅ~』』』』』

みんな今までで一番疲れた。けど、なんとか成功良かったね。


〖大地、とんでもねぇヤツだな〗

『⋯ありがとう』

〖褒めてねぇっ!〗


ヴァル様、頑張れ!話し合いが待ってるよ。



そして、


『ふう、完成だな』

『じゃあ、設置しに行くか』

『楽しみだな』

『頑丈に作ったしね』

『衣装はどうする?』

『あれでいいんじゃないかい?』


ドワーフさんたちの準備も大詰めのようです。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。

中々更新出来ずすみません。

両親が揃って体調がね⋯骨折やら、輸血するほどの貧血やら。私は絶対利き手は骨折しないように気をつけようと思うこの頃です。

皆さんも気をつけてくださいね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る