第550話 天使のお馬さんの、番!

 神様と神獣さんたちの馴れ初めを聞いたサーヤたち。そして待っているのは⋯


〖さて、では、本題といきましょうか?〗にこっ

 

「ふにゅ?」

  ほんだい?

「ほんやしゃん?」こてん

 ここにないよ?

『本屋って⋯サーヤ、違う』はぁ

『あらあらまあまあ、サーヤったら⋯』ふぅ

「う?」

 ちがうの?

『『違う(わね)』』

「しょっか~」

 じゃあ何かな?

『⋯(無意識に避けたのか?)』

『⋯(あらあらまあまあ、思考拒否かしら?)』

 どっちもかも?



『ふふ。サーヤ、あだ名ですよ』

「ふお?」

 あだ名?

 〖そうですよ。バートの鳥と、私の天馬のあだ名ですよ〗

「ふおお?」

 あだ名?また?


『そうです。今回、私が来たのは検証のためでもあるのですよ。まあ、私がサーヤ達に会いたかったので、この役を引き受けたのですが。ふふ』


『バートさん、検証ってのはやっぱり?』

 おいちゃんがどこかをチラッと見ながら聞きます。それはもちろん


『俺の変化だな』のそっ

 伏せていた牙王様が起き上がってバートさん達の元にやって来ました

〖他の奴らにも同じことが起きるのか、それから〗ギシッ

 ヴァル様は座っていた椅子の背もたれに、腕を組んで寄りかかって、目を細めるようにしてバートさんを見ます。


『そうです。そうなった場合、聖域を出た場合、あるいは天界に戻った場合、どうなるか検証するためですね』


『やっぱりそうか』

 おいちゃんの言葉にみんなもうんうんって頷いてます。サーヤを除いて⋯


「ま、まちゃ⋯」がくぶる

 おなまえ⋯


『サーヤ、今回はおそらく大丈夫ですよ』にこ


「ふ、ふえ?」

 な、何が?バートさん?


『牙王と同じでいいのですよ』にこ


「ふにゅ?」

 牙王様と同じ?


『あ~ぼく分かったよ~』ぽふ

「はく?」

 どういうことかな?その肉球ぽふに挟まれたいな


『ほら~牙王様のお名前は~みんなでお話しながら決めたでしょ~?』ふさっ

「ふあっ」

 あっ、そっか~!そのふさふさしっぽのもふんでもいいな


『思い出した~?』にこ

「あい!」

 思い出したよ!

『良かった~』もふもふ

「えへ~♪」

 ハクのもふもふしっぽ~♪なでなでしてもらっちゃった♪


『そうです。検証の結果が良ければ、他の神獣たちもあだ名を頂きにいらっしゃると思いますよ。ですので』

〖是非、天馬と鳥に良いあだ名をお願いしますね〗にっこり


「ふおお~」

 責任重大だぁ!


「あい!みんにゃでがんばりゅ!」ふんすっ

『うん!みんなで考えよ~。だからね~』

ぴゅいきゅい『『おいちゃん!』』

『『おばあちゃん!』』

『『『『『おねがいします!』』』』』

「ましゅ!」

 みんなでがんばるけど、おいちゃんとおばあちゃんの力は大事!


『お、おう。やっぱり巻き込まれるのか』

『あらあらまあまあ、まあ、仕方ないわよね』


「えへ?」

 それじゃどうしようか?そう言えば~


「いりゅしゃま、てんちゃんよんでりゅ」

 それじゃダメなのかな?てんちゃん、かわいいよ?


『そうだね~イル様も今まで通りに呼べるしね~?』

ぴゅいきゅい『『けってい~?』』

『『おお~』』

『『『はや~い』』』

『『『『『やったね~』』』』』

 みんなでワイワイしようとしたら


『ちょ、ちょっと待ってください!なんでそんな適当なんですか!?もっと心を込めてちゃんと考えてくださいっ』ぶるるっ


「ほえ?」

『え~?』

ぴゅいきゅい『『だめ~?』』

『『かわいいのに~』』

『『『『『ね~?』』』』』

 そうだよね?


『ダメです!』


「ふにゅ~」へにょ

 だめなの?


〖⋯っ〗

『医神!笑わないでください!顔を隠したって肩が震えてますよ!』

〖失礼ですね。笑ってなどいませんが?⋯フッ〗キリッ

『笑ってますよね!?』


〖あはははっ〗

〖だめよ主神、笑っちゃ⋯ぷっ〗

〖そうですよ、お父様⋯ぷっ〗


『笑わないでくださいっと言っているでしょう!そもそも主神様っあなたのせいではないですかっ』


〖えぇ?そうなのかな?ごめんね、天・ちゃん♪〗

〖〖ぶふっ〗〗


『笑わないでくださいっ』カッカッ


『ほほぉ~大人気ないな』

『そうですね。せっかくサーヤたちが喜んでいたのに⋯ふっ』

『まあまあ、そう言ってやんなよ⋯ぶふっ』

〖そうだな、きっとすげぇあだ名が貰えると思ってたんだぞ。ガハハハ〗


『~~~っ とにかくっ!もう一度考えて下さい!』


あははははっ



「ふお~」

わ~神様たちここぞとばかりに遊んでる~


『う~ん、サーヤ~かわいそうだから~他のも考えてあげようか~』

「しょだにぇ~」

ぴゅいきゅい『『うん』』

『『かわいそうだもんね』』

『『『『『うんうん』』』』』



『⋯っ』ぐしゃっ

あはははははっ



『あ~トドメさしちまったな』

『あらあらまあまあ、子供って時に残酷よね』

『うむ。突き刺さるよな』

『お労しい⋯』


「う?」

『『『『『え~?』』』』』

おいちゃんと、おばあちゃんと、アルコン様とギン様まで何かな?


「うにゅ~じゃあ~、てんちちょか、がおうしゃまみちゃいに、てんおう~?」

天使のお馬さんに、王様の王つけるの~


『いいかも~。あとは~お空飛ぶから天空とかは~?おいちゃんが前にお空のこと天空とか言うって言ってたような~?』

『ああ、よく覚えてたな、ハク。果てしなく広がる空のことを天空って言うんだぞ』

『えへへ~他に天がつくのないの~?』

う~ん、なんか無いかな?



『あ、あの『天』から離れても良いのですよ?それに天王は脳筋とお揃いみたいで嫌です』

え~ひどい~

〖天馬、諦めも肝心ですよ。⋯ふっ〗

『くっ⋯』

そうですよ。大人しく待っててください。



『あらあらまあまあ、天がつく言葉?お天道様とか言うわね?太陽のことだったり、天地を治める神のことだったりするのよね』

『天晴とか、天神とか?天上、天下、天井⋯は、違うな』

『そうねぇ~あ、そう言えば、最近のお名前で、天を翔けると書いて天翔(てんしょう)とか読ませたりするわよね?』

「かけりゅ?にゃに?」

『天⋯空を飛びめぐることだな。天馬さんは空を自由に走ったり飛んだりするだろ?』


「ふお?」

おそらをかける?

『お~それいいんじゃないかな~?』

ぴゅいきゅい『『うん』』

『『かっこいいよね?』』

『『『いいと思う~』』』

みゃ『かっこいいにゃ!』

『聞いてみるのだ!』

そうだね!


「てんちにょおうましゃん!『てんしょう』どうでしゅか?」


『「てんしょう」やはり『天』からは離れないのですね⋯』

〖まあまあ、聞いた限りでは良い意味ではないですか。師匠、これもまた字に意味が?〗


「う!」

おいちゃん、よろしくね!


『ああ、分かったよ。字はこう』書き書き

おいちゃんがまた字を書きながら説明してくれます。


『『天』はもちろん、どこまでも広がる空のことだな。『翔』は、空高く羽を広げて翔ぶとか、そんな意味があるんだ』


『⋯』

お馬さん、無言で聞いてるね。


『で、これを合わせて『天翔』大空を自由に羽ばたくように生きて欲しいとか、そんな願いを込めて名をつけたりするんだよ。どうかな?』


『⋯ふむ』

〖良いのではないですか?天馬〗


『そうですね。『天を翔ける』まさに天空を美しく舞う私のためにあるような名ですね』キラキラ



「ふお~?」

またキラキラ?

『あれ~?復活したね~』

ぴゅいきゅい『『ね~』』

『あらあらまあまあ、みんな、今は黙って見てましょうか』

「あ~い」

『『『『『は~い』』』』』

みんなでお返事です。



『どうなることかと思いましたが、素晴らしいあだ名を頂きました。皆さん、私を良く見てくださっているのですね。いえ、私の魅力が皆さんの目を引き付けてしまうのですね』キラキラ


〖いえ、誰もそこまで見ていないと思いますよ〗

〖まあまあ、もうしばらく放っとこうぜ〗

『だな』


『サーヤ~みんな~ほら、これ』

『そろそろ準備しましょうね』

「あ~い」

『『『『『は~い』』』』』

フゥとクゥが教えてくれたので、準備します。よいしょよいしょ



『ふふふ⋯良いでしょう。私は今から『天翔』この気高い名は私にこそ相応しい』


ピッカー


「ふお~」

やっぱり光った~

『わ~すごいね~』

ぴゅいきゅい『『うん。でも~』』

『『なんだろ~』』

『『『あのおかお~』』』

みゃあ『うっとりにゃ?』

『う~ん、あれは自己陶酔っていうのだ』

きゅるるん『『『へ~』』』

きゅるるん『『『『そうなんだ~』』』』

『『『姫ちゃん、難しい言葉知ってるんだな』』』

『『『す、すごぃ』』』


『すごい言われようだな、おい』

『あらあらまあまあ⋯』

『どうやらそろそろ終わるようですよ』

〖さあ、どうなりますかね?〗


光が収まってきます



『おお、これが新しい私⋯っ』うっとり



「ふお~?」

それ、どうしたの?

『え~?鏡~?』

ぴゅいきゅい『『いちゅのまに?』』

「しゃあ?」

『『『『『わかんな~い』』』』』

『すごいわね』

『すごいな』

フゥとクゥもびっくり。あ、みんなもだね。



『おお、白と白銀が美しく混ざり合い、私の美しさが際立って⋯ああ、私の翼、鬣、尾までが光り輝いているようです』うっとり



『うえ~アイツ、よくあんな自分を褒められるなあ』

〖同感だ⋯うおっ!見ろよ、俺の腕!〗

『おやおや、鳥肌だな、それは』ほほぉ~

『おや、鍛治神、鳥とお揃いですね。ふふ』

〖ちっとも嬉しかねぇぞ。ああっ寒っ〗さすさすさすっ

ヴァル様と牙王様、ドン引き!ヴァル様に至っては高速で腕をさすってます。赤くなっちゃうよ?


〖う~ん、天ちゃんはやっぱり天ちゃんってことだね~〗

〖そうですね、お父様。でも、やはり若返ってもいるようですね〗

〖そうね。力も強くなってるみたいだしね。それより⋯ねぇ、結葉?〗


『何かしらぁ?ジーニ様?うふふ』

〖何かしら?って、分かってるんでしょ?サーヤたちのあれは何?〗

『うふふ。あれをしてるとねぇ?眩しさを抑えられるんですってぇ』くすくす


〖あ~だからサーヤがゴロゴロしてないんだね。なんか残念だな~〗

〖お父様、サーヤも好きで毎回転がってるのではないのですよ。気持ちは分かりますが〗

〖でしょ?〗くすくす


〖まああれも面白い姿だけど、かわいいサーヤたちのお顔が見えないから、早く外してあげて〗

『はいはぁい。仕方ないわねぇ~』す~


『ほらほらぁみんな~?そろそろソレ外しましょうねぇ~』

「う?あい」

そうでした~

『大活躍だったね~』

ぴゅいきゅい『『フゥとクゥのおかげ~♪』』

『それは良かったな』

『今回は余裕があったものね』

『『『『『うん!』』』』』


前回の牙王様の時に活躍し損ねた、仮面がようやく活躍したのでした。



『ああ、美しい⋯』うっとり


『医神様、そろそろお止めになっては?』

〖無理でしょう〗

『⋯そのようですね』

バートさんにもエル様にも止められないようです。



☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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