第450話 ついに!?

ぱたぱたぱたぱた

『さーやしゃま~』


あ、あれぇ?

なんか、とってもちっちゃい羽が、かのこちゃんの背中でパタパタしてる?


『うふふ。パタパタは出来るけど、まだ飛ぶのは無理みたいねぇ♪かわいいわぁ♪』

〖ほんとねぇ。小さい頃シアの衣装につけてあげた羽みたいだわ。ああ、シアにもこんな可愛い時があったのに〗

『あらぁ、今かわいい子たちに囲まれてるからいいんじゃなぁい?』

〖それはそうね。サーヤも可愛いし!ああ、すべすべもちもち~♪〗

いつの間にか抱っこがジーニ様に変わって、ほっぺた同士すりすりされてます。でも、それどころじゃありません。だって


『いや、ですから説明を⋯』

そう言うイヒカ様の背中にも


『こりゃまた、立派な翼だな』

『本当にね』

『こんなことあるんだな』

『いやあ、普通ないでしょうよ』

『そういやゲンと凛さんが確信犯とか言ってたよな?』

『言ってたね。どういうことだい?』

どういうこと?おいちゃん、おばあちゃん!

みんなで一斉におばあちゃんたちを見ます!


『あ~それはな?ジーニ様と結葉様が、サーヤが名前をつける前にわざと強調しただろ?』

『ほら、サーヤは単純だから、名前をつける時にきっと想像したと思うのよ?背中に立派な翼の生えた綺麗な白い鹿さんの姿を⋯』


『『『ああ⋯』』』

『『『なるほどね』』』

うんうん⋯


えええ?たしかに想像しちゃったけど!かのこちゃんはしてないよ?それになんでみんなその説明で納得なの?


『多分、それは一緒につけたからじゃないか?』

『そうねぇ、イヒカ様と鹿の子ちゃんは親子だしねぇ』

そ、そんな?


『あ~やっちゃったな。サーヤ⋯』

『まあ、やっちゃったものは仕方ないんじゃない?』

フゥとクゥまでひどい!


『いや、あの、私はどうなるのでしょう?』

放置されてされにオロオロなイヒカ様。ごめんなさい⋯わかりません。


『うふふ。そんな立派な翼が生えたんだからぁ、飛んでみたらどうかしらぁ?』にこにこ

〖そうねぇ、天馬みたいに立派な翼だし?〗にやにや

うぅわ~にこにこなのに悪いお顔だ~


『え、ええ?』

イヒカ様、ごめんね~

『諦めろ⋯行ってこい』

ギン様が肉球でぽふぽふ

『ギン様⋯』

あ~イヒカ様が泣きそうなお顔に~、ごめんね~


『で、では、行ってきます』

『ああ、気をつけてな』

バサバサって、真っ白な大きな翼をはためかせたかと思ったら、一気にブワーッて風が


「ふわぁっ」

『あら~あっという間にあんな高いところまでぇ』

〖良かったわね、サーヤ。サーヤのお空の乗り物が増えたわねぇ〗

「ほえ?」

お空の乗り物?


『そっかぁーそれが狙いだったんだね~』

ぴゅい~『でも、おそらなら』

きゅい~『おとうしゃんいるよ』

ハクがため息ついて、双子はアルコン様がいるとプンプンです。


『あら、アルコンはぁ、おっきくて目立っちゃうじゃなぁい?』

〖大きすぎて小回り効かないしね?〗

結葉様とジーニ様が双子にそう言うと、怒った双子が


ぴゅい~『じゃあサーヤはあたちたちが』

きゅい~『のっけるもん!』

それなら自分たちが乗せると言ってきました!それを見てやっぱりニヤニヤな結葉様とジーニ様が

『あらぁ、モモとスイじゃまだちっちゃいから無理じゃなぁい?』にこにこ

〖そうねぇ、サーヤの方が大きいものね~〗にやにや

あ~なんか、意地悪言ってる~


ぴゅいきゅい『『む~ううう』』

ぴゅい~!『おっきくなるもん!』

きゅい~!『すぐなるもん!』

おお、頼もしいけどすぐは無理じゃないかな?


〖『え~?』〗ニヤニヤ

ぴゅいきゅい!『『なるもん!!』』

あ~これは、ジーニ様たち遊んでるね?ダメだよって言おうとしたその時


『ぢゃめ~!!』ぱたぱたぱた


「ほえ?」

〖『あら?』〗

ぴゅいきゅい『『え?』』


『さーやしゃまは、かにょこがのしぇるのーっ』ぱたぱたぱた


「ほあ?」

〖『まあ!』〗

ぴゅいきゅい『『むうう~』』


なんと、かのこちゃんが自分が乗せるって言ってきました!


ぴゅいきゅい『『だめーっ』』

ぴゅい『サーヤをのせるのは』

きゅい『ドラゴンの』

ぴゅいきゅい『『モモとスイ!!』』

双子が応戦しちゃいました!


『かにょこがのしぇるの!』ぱたぱたぱた

あああ、なんか大変なことに~


ぴゅいきゅい『『サーヤといちばんさいしょからいるのはモモとスイなのーっ』』

『しょんにゃの、かんけいないもん!』ぱたぱたぱた

ぴゅいきゅい『『あるもん!』』

『ないもん!』ぱたぱたぱた

あわわわわわわ、どうしよう?


〖あ、あら?この流れは想像してなかったわね。三人とも落ち着いて?〗

『まあ、鹿の子にまで翼が生えるとは思わなかったものねぇ。あら?そう言えば鹿の子、しゃべってるわねぇ?』


はたっとみんなが結葉様の言葉でかのこちゃんを見ます。


「ふあ?」

そう言えば、しゃべってるね?


『しゃっきからしゃべってましゅよ?さーやしゃま』ぱたぱた

「ほえ~」

しゃべってる~


『さーやしゃま、のっけるのはかにょこでしゅ!』ぱたぱたぱた

ぴゅいきゅい『『ちがーう!モモとスイ!』』

『かにょこでしゅ!』ぱたぱたぱた

「あわわわわわわ」

またケンカが~


〖『あらら』〗

ジーニ様、結葉様何とかして~


『ほらほら、三人ともサーヤちゃん困ってるんだな』

『そうなんだな。仲良くするんだな』

『なかよくするんだな』

みんながどうにも出来ずにアワアワ見てたら、ぽぽちゃん兄弟が三人をたしなめ始めました。


ぴゅいきゅい『『ぽぽちゃん!つくしちゃん!なずなちゃん!』』

『モールしゃん?』ぱたぱたぱた


『さんにんなかよくするんだな』

まずは、なずなちゃんがモモをなでなで

『なかよく順番こにサーヤちゃんを乗せてあげればいいんだな』

つくしちゃんがスイをなでなで

『その前に三人仲良く大きくなるのが大事なんだな。それで一緒に頑張ればいいだよ』

最後にぽぽちゃんが鹿の子ちゃんをなでなで


ぴゅいきゅい『『うう⋯』』

なずなちゃんとつくしちゃんになでなでされて、落ち着いたモモとスイが、

ぴゅい~『かのこちゃん』

きゅい~『ごめんね』

ぴゅいきゅい『『なかよくちてくれる?』』

かのこちゃんにゴメンなさいして、仲良しになりにいきました。


『かにょこもごめんなちゃい。なかよくちてくだちゃい』

かのこちゃんもゴメンなさいしてくれました。


ぴゅいきゅい『『うん!よろちくね!』』

『うん!よろちくでしゅ!』ぱたぱたぱた


『『『うんうん。よかっただ』』』

三人でぎゅうってしてます。良かった良かった。ぽぽちゃんたちすごい!ありがとう!


『そう言えば、モモとスイだって生まれたばっかりよね?』

『あっ、そうだよな?生まれたばっかりのモモとスイをお腹に抱えて、サーヤが空から降ってきたんだもんな?』

フゥとクゥが急に思い出したみたいです。


〖うっ。その節は娘シアがご迷惑を⋯〗

ジーニ様がブツブツ言ってます。


『なんかまだそんな日がたってないはずなのに』

『すっごい前の気がするな』

『『なつかしいな(わね)~』』

ほんとだね~。ん?あれぇ?


「もも?すい?」

ぴゅいきゅい『『なあに?』』

「ねぇね、よんじぇ?」

サーヤの方がお姉ちゃんだよね?

ぴゅいきゅい『『ええ?』』

ほら、呼んで?


『そうきたか~』

『『よっぽど、ねぇねって』』

『『『よんでもらいたいんだね~』』』

みゃあ『でもにゃ、さすがににゃ』

『今更無理だと思うのだ~』

ちびっ子同盟もちょっと呆れてます。


「ねぇね、にぇ?」

呼んで?お姉ちゃんですよ~

ぴゅいきゅい『『え~』』

ぴゅい『サーヤは~』

きゅい『サーヤだよ~』

そんなこと言わないで?うりゅりゅ

ぴゅいきゅい『『むり~』』ぶんぶん

呼んで?うりゅりゅ~ゴンっ


「あいちゃっ」

痛い~またおいちゃん?

『だから、無理強いするんじゃない』

『あらあらまあまあ、さすがに無理でしょう。サーヤったら。モモ、スイ、ごめんなさいね』

ぴゅいきゅい『『だいじょうぶ』』

ぴゅい『でもやっぱり』

きゅい『サーヤはサーヤだよね』

ぴゅいきゅい『『ごめんね?』』

「うにゅ~う、あぃ」

ねぇね⋯しくしく


『サーヤ、まだ望みはあるわよぉ』

〖そうねぇ〗

「う?ふあっ!」

そうでした!まだかのこちゃんがいました!


「かのこちゃん、ねぇね、よんじぇ?」

『さーやしゃま?』

「しゃま、ちやうにょ。ねぇね、ねぇね」

呼んでみて?

『ねぇね、しゃま?』

頭こてんっしてもダメです。

「しゃま、にゃいにゃい。ねぇね」

『さーやねぇねしゃま』

「うにゅ~」

しゃま、いらないんだよ。その時、サーッて影がさして


バサバサっ

『鹿の子がどうかしましたか?サーヤ様⋯サーヤ』

お空からイヒカ様が戻ってきました。サーヤと鹿の子ちゃんが妙な空気を出してるのに気づいたイヒカ様。どうなってるか聞いて来たけど、また様付けるから、じとって見たら、様をとってくれました。かのこちゃんもとってくれていいのに~


『ととしゃま、さーやしゃまが、ねぇねしゃま、よんでって』

『んん?』

イヒカ様が訳分からないってお顔してます。

『ととしゃま、どうちましょ?』

『いや、話が理解できないのだが⋯ん?鹿の子が喋ってる!?』

『はい。ととしゃま。さっきからしゃべってましゅよ』

『ととしゃま⋯なんと素晴らしい響きなのだ』じーん

『ととしゃま、ないてましゅか?ととしゃま?』

あ~イヒカ様、感動しすぎて自分の世界に入っちゃった。


『も~ととしゃま、さーやしゃまを、なんておよびちたらいいでしゅか?』

『あ、そうだったな。どういうことなのだ?』

あ、イヒカ様戻ってきた。


『あ~悪いな、イヒカ様。サーヤがな、どうしても自分を「ねぇね」っ呼ばせたいらしくてごねてるんだよ』

『ココロが他の子達を「ねぇね」って呼ぶのがうらやましいらしくてね?ずっと自分より小さい子を狙ってたみたいなのよ』

見かねたおいちゃんとおばあちゃんが説明してくれたんだけど、お顔が仕方ない子ねぇって言ってます。だってぇ


『そういうことでしたか。鹿の子、「ねぇね」とは姉上のことだ。鹿の子はサーヤより年下だから、「ねぇね」と呼んであげても良いのではないか?』

イヒカ様、いい人⋯いい鹿さんです!ねぇね呼んでくれるように説明してくれてます!


『あ~サーヤのおめめ、きらきらしてきたよ~』

ぴゅいきゅい『『たんじゅん~』』

なんですか?ハクに、モモとスイ。大事なときですよ!


『しょっか~。ととしゃま、わかりまちた。ねぇねしゃま、よびましゅ』

『そうか。いい子だ』

イヒカ様が鹿の子ちゃんのお顔をすりってします。でも

「しゃま、いりゃにゃいよ?」

ねぇねだけでいいんだよ?


『サーヤ、それくらいは許してあげたらぁ?ほら、お父さんのことも『父(とと)様』って呼んでるみたいだしぃ』

〖そうね、きっと鹿の子はおかあさんのことも〗


『かかしゃま!』

ジーニ様が鹿の子ちゃんを見ると元気に答えました。


〖ね?シアが私のこと〖お母様〗って呼ぶのと同じよ〗

結葉様とジーニ様がそういうものなのよって言います。お父さんとお母さんも『しゃま』なら仕方ないか~


「わかっちゃ~。かのこちゃん、よりょちくにぇ」

『あい!ねぇねしゃま!かにょこ、ととしゃまにとびかたおしょわるかりゃね!おっきくなったら、かにょこにのってくだしゃいね!』

「あい!やくしょく!」

ぴゅいきゅい『『あ~モモとスイもだよ!』』

「あい!みんにゃ、やくしょく!」

わ~い!仲良し増えて、妹もゲットだよ!


『はぁ、まったくようやく「ねぇね」問題は解決か?』

『あらあらまあまあ、あの変な頑固さというか、こだわり強さは誰に似たのかしらねぇ』

『そりゃあ⋯』


あんただよ!と、みんなの心の声が一致しました。


『ぷぷっ似た者婆(ばば)子⋯』

『ミア?今、ばばぁって言ったかしら?』

『言ってない』ぷいっ


ミアちゃん、怖いもの知らず⋯


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m 鹿の子ちゃんとイヒカ様、よろしくお願いします。

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