第446話 探してみよう!がさがさがさ

みんなで色んなところをガサガサガサ。もちろん大人が一緒だよ。


『みんな、手を動かしながらでいいからね、よぉく聞いて覚えとくんだよ。いいかい?今は大人たちもいて、ましてここは聖域だからね。危ない魔物は出てこないけど、普通はそうじゃないからね』

がさがさしながらも、ドワーフさん達がありがたいお話をしてくれます。みんな真剣に聞きます。あとでメモしなくっちゃ!


『そうだぞ。普通はな、自分で警戒するだけじゃなく、できれば何人かで行動して役割を決めた方がいいんだ。見張り役がいれば、それだけ安心して採取出来るだろ?でもな、絶対は無いんだ。だから、常に警戒は怠っちゃならねぇ。分かるな?』

こくこく。みんなで頷きます。


そうだね。がさがさしてると虫さんだってピョンッて出てくるもんね。

ピョンッ!ピタッて、ほら、サーヤのお鼻に

「ふお~。ばったしゃん。こんちゃ」

寄り目でこんにちは。でも

「おいちゃん、とっちぇ」

むずむずします。

『バッタ⋯器用だな、サーヤ。なかなかキレイについてるぞ』そっ

「ふえっくしっ⋯ふにゅ~」

おいちゃん、そっと取ってくれたけど、やっぱりむずむずは止まりませんでした。


サーヤにバッタが止まっても、ドワーフさんたちのありがたいお話は続きます。


『今は安全な場所だけどね、これから先、聖域の外に出ることもあるかもしれないだろ?』

そうだね。いつかお外行くかもしれないよね。


『外は間違いなく危険だぞ。魔物に出くわして戦いになるかもしれねぇ。人の可能性もあるな。そこでもし誰か仲間が怪我したら?一人はぐれちまうかもしれねぇよな?魔力も体力も使い切っちまうかもしれねぇ。そうならない為にも警戒は怠っちゃならねぇ』

お、お外は危険がいっぱいなんだね。気をつけるよ。ぶるぶる


『まあ、今すぐ外に行くことはないだろうからね。何事も練習だよ。今は失敗を怖がらないでなんでもやってみるこった。失敗しないと学べないこともあるんだからね。何事も経験だよ!』

そっかあ~。失敗したらそれも覚えるから、無駄にはならないね!


『おう!どんどん間違えろ!子供の内は特にな!子供の特権ってやつだ!それが絶対役に立つ時がある!失敗を知らずに、完璧だけを求めるのはそれこそ間違いだ!間違えたら俺らがバシバシ教えてやるからな!間違えることを怖がるなよ!』

子供の特権!!いい響き!


「あ~い!」

『は~い』

ぴゅいきゅい『『あい!』』

『『分かったよ!』』

みんなでお返事です!

『『『がんばってまちがえるよ!』』』

みゃあ?『それはにゃんかちがうかにゃ?』

『ちがうのだ』

たしかにちがうかな~?


『あらあらまあまあ。サーヤの目がキラキラしちゃったわね。子供の特権に反応しちゃったのね』

だって、かっこいい響き!


『サーヤ、だからって間違え続けたらダメだからな?』

「う?」

でも、おいちゃん。ドワーフさんたちは間違ってもいいって言ったよ?


『あのな?俺は間違え方もあると思うんだよ』

間違え方?


『そう。次こそはさっきより上手に出来るようにしよう!っていう前向きな間違え方。間違ってもいいなら何度間違っても構わないと同じことを繰り返す間違え方。いちばん悪いのは、間違えるのを恐れて、間違えることすらしないこと。とかな?』


そっかあ。たしかに~。おばあちゃんに折り紙とか、お裁縫習った時も

『最初から上手にできる子なんかいないんだから、ゆっくり丁寧に出来ることからね。それで間違えたら上手にできるまで何度だって挑戦すればいいのよ。分からないことは聞いたり、時には手伝ってもらったっていいの。だいたい、教わりもしないで一度で出来ちゃったら、先生なんていらなくなっちゃうじゃない?』

って言ってた~。そうだね


「わかっちゃ!まちがえにゃいようになりゅまで、まちがえちぇもがんばりゅにぇ!」

『ぼくも~。だから、分からないことは教えてくれる~?』

ぼくもわたしも!とみんなで大人たちに言うと


『もちろんよぉ♪なんでも聞いてぇ♪』

と、呑気な結葉様の声が⋯


『『『『『⋯⋯』』』』』

おとなたちも、ハクたちも、みんな黙っちゃいました。どうしよう?


「ん、んちょ?よりょちく?」

ん~?なんかでもね?

『ね~?おいちゃん。なんか~結葉様に言われると~』

ぴゅいきゅい『『なんかね?ちがうきが?』』

『『するよね?』』

『『『やっぱり~?』』』

みゃあ『よかったにゃ。ココロだけじゃなかったにゃ』

『みんな思ってると思うのだ』

やっぱりみんな思ってた?


『あ~なんだ、その、な?親方』

『あ?俺に振るんじゃねえよ。な?ジーニ様』

〖え?まあ、結葉だけは言っちゃいけない気はするわね〗

大人たちも困ってます。


『えぇ~みんなしてひどぉい』


〖『『『『ひどくないわ!』』』』〗


うん。ひどくないと思う~。


『んもう!いいわよぉ~。それより、みんな何か面白いものあったかしら?』

結葉様、思いっきり話しそらしたよね?


『『『はーい!はい!はい!』』』

ん?でも、さっそく妖精トリオが三人で手を挙げてます!


『あらぁ、さすがねぇ。見せてぇ?どんなのを見つけたのかしらぁ?』

結葉様がさっそく妖精トリオのところに、もちろんサーヤたちもだよ!


『みてみて~これはうすピンクのはっぱで、ようみゃくがあかいの!』

『これはね、はっぱはオレンジ。でもね、ようみゃくはあかいんだよ』

『これはね、はっぱもようみゃくもあかいの!でもね~これみんな』

『『『おんなじはっぱなんだよ~!』』』

エッヘン!って胸はってみんなに見せてます。


『『『『『「えええ~!」』』』』』

ちびっ子はみんなでびっくり!あっでもたしかに同じ形だ!


「おてて、ぱーにちたみちゃい?」

じゃんけんのパー?


『ちがうよ~これはね』

『たきびでぱちぱち』

『ひのかたちなんだよ~』

ひ?あっ!火!たき火の形だ!


『これはね、ちょっとあったかいの』

フィオがピンクの葉っぱをふりふり。

『これはなね、さわると、ちょっとあついの。やきいもくらい?』

ヴェルはオレンジの葉っぱをちょんちょん。

『これはね、さわるとすっごくあついときあるから、さわっちゃだめ!』

アーブが赤いのを指さして教えてくれます。アーブは手袋して、ドワーフさんたちが作ってくれたハサミとピンセットで採ったんだって。

『『『これみんな、おくすりにしたりするんだよ~』』』

エッヘン!また胸を張って教えてくれます。


『よく出来ましたぁ。ちなみにどんなお薬にするのか分かるかしらぁ?』

ぱちぱちぱちって、おてて叩きながら結葉様が妖精トリオに聞くと


『えっと、さむさむ、なおすね』

『おなか、いたたた、なおすね』

『でも、きをつけないと、ボーンっ!て』

『『『ばくはつするね』』』

ボーンって両手両足を一生懸命開いて表現してます。でも、爆発?ちびっ子みんなで慌ててキャーって大人の後ろに隠れます。


『なぜみんな私の後ろに?』

「う?」

正確にはギン様の後ろ⋯

「え、えへ~?おっきいかりゃ?」

『えへ?お父さん、水と氷の魔法使えるし~?』

『それならハクも使えるだろう』

『あれ~?そうだったね~』

みんなでえへへ~で、誤魔化します。


『まったく』ふぅ⋯

そう言いながら、ふさふさのしっぽでファサって撫でてくれるギン様は、やっぱり優しいみんなのパパです。

ぼふんっ!

「ふへへ~もふもふ~」

すりすりもふもふ。きもちい~♪

『サーヤ⋯』

なんですか?

『いつかお父さんのしっぽ、サーヤの形になりそうだね~』

『やめてくれ⋯』

ふへへ~もふもふ~ん♪


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m

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