第443話 ぽぽちゃんたちと

怒涛の朝、もう少しでイモムシから脱しようとしていたリノ様。

『うふふ♡あと少しですわ』


そこへ、すんでのところで到着したサーヤたち一行。

「ぽぽちゃ~んっ」

『あ~!』

ぴゅいきゅい『『あぶないよ!』』


何も気づいてないぽぽちゃんたちの危機に、

『ギン様見つけられただかな?』

『『どうしただかな~』』


『うふふふ』


絹さんがリノ様に糸を伸ばし簀巻きに。

きゅるる『させない!』しゅぴっ

『きゃあ?』

『『『な、なんなんだな!?』』』


リノ様はイモムシからミノムシになり、外の木に吊るされました。


『ムームー(あと少しでしたのはに~)』

振りほどこうとして暴れるリノ様。あ~あ、ミノムシがそんなことしたら⋯

『ムームーム~(目が回りますわ~)』ぐるぐるぐるぐる~。

ほらぁ、やっぱり~

『ムームームーム~(助けてくださいませ~)』

無理~。反省してください。


きゅるる『ふぅ~。危なかった』

額の汗を拭う仕草をしながら絹さんがいい仕事した~って感じです。

きゅるるん『『『さすがお母さん』』』

きゅるるん『『『『かっこいい~』』』』

みんなで拍手~パチパチパチってしようと思ったんだけど~


「うに~できにゃい」

サーヤもなぜかぐるぐる巻きです。ぴくりとも動けません。


『み、みんなどうしたんだな?』

『なんでリノ様ぐるぐる巻きでぶらぶらなんだな?』

『サーヤちゃんもぐるぐるなんだな?』

「うにゅ~?」

突然の乱入、リノ様捕物劇におめめ開いて呆然とするぽぽちゃん兄弟。と、今更ながら、なんで自分がぐるぐる巻きなのか分からないサーヤ⋯


きゅるる『ぽぽ、つくし、なずな、おはよう』

「おあよう~」

『『『『『おはよ~』』』』』

みんなでぽぽちゃんたちに、おはようのご挨拶です。

『『『おはようございますなんだな』』』ぺこり

ぽぽちゃんたちも、訳分からないまんまご挨拶してくれます。

今日も安定のもふもふだね。じゅるり。


『サーヤとリノ様おそろいになっちゃったね~』

「う?」

おそろい?リノ様と?ハクってばそんなことないでしょ?

ぴゅいきゅい『『ほんとだ~』』

『でも、サーヤはお顔出てるけど』

『リノ様はお顔もぐるぐるだね』

きゅるる『大丈夫。息はできる⋯はず』

みんなまで?おそろい?リノ様と?ちらりとリノ様を見ると


『ムームー(助けてくださいませ~)』ぐるぐるぐるぐる~


「うにゅ~ぅ」

なんかいや~

『あっサーヤのおかおが』

『ぶぶーっなおかおに』

『なってるー』

妖精トリオがお顔の前で飛びながら、ほっぺた膨らませて、お口とがらせて、サーヤのお顔のまねっこ~っ。ぶーってしてます。

「ぶー」

サーヤそんなお顔してないもん。

『ん~してると思うよ~。ね?お父さん』

『ふふっ。絹、そろそろサーヤは出してやってもいいのではないか?』

ハクひどい~。ギン様?それは違うとも言ってないよね?

きゅるる『そうだった。つい。ふふ。でもこれはこれで繭みたいで可愛い』

「ふえ?」

高い高いするみたいにして可愛い言われちゃったけど、動けないからほどいて?

きゅるる『仕方ない』

ぱらり

「ふい~」

良かった。自由~を勝ち取りました!


『それでなんでサーヤちゃん簀巻きだったんだな?』

『リノ様もなんでぐるぐるなんだな?』

『ほどいてあげないだか? 』

ぽぽちゃんたちが不思議そうにしてます。


『リノ様がなんでぐるぐるだったかは分からないけど~』

ぴゅい~『いまは~ぽぽちゃんたち』

きゅい~『おそおうとちたからだよね~?』

『その通りだな。ちなみに最初の簀巻きはサーヤに夜這いをしかけたからだな。結葉様がリノ様を簀巻きにして、サーヤを助けたのだ』

ギン様が説明すると


『ムームー(添い寝しようとしただけですわ~)』


みんなで、じとー

『それでな?』


『ムームー(無視しないで下さいませ~)』

知りませ~ん。


『それでな?サーヤがぐるぐるなのは』

きゅるる『そのあと結葉様が、サーヤたちの部屋に山盛り妖精たちと乗り込んで寝てた。それで皆に怒られてる』

『そこからなら分かる~。それでもサーヤ起きなくてね~』

みゃあ『まきこまれそうになったんだけどにゃ』

『絹さんがぐるぐる巻にしてサーヤを助け出したのだ~』

みんなが説明してくれたけど、サーヤは知りません。


『そうだっただか。朝から大変だったんだな』

『『すごいだぁ』』

ぽぽちゃんたち、呆れてます。無理もありません。サーヤも呆れちゃいます。


きゅるる『だからリノ様は、危険だからあのままで。サーヤはパジャマ着替える』

ありゃ?そうでした。まだパジャマでした。

「あい。おきがえ」

サーヤのお着替えはここにももちろんあります。お泊まりし放題です!でも、みんながね


『サーヤだしな。何があるか分からないからな』

『あらあらまあまあ。そうねぇ。畑で埋まったり、田んぼに落ちたりしてもおかしくないしねぇ』

『サーヤ専用クローゼットなら俺らがいくらでも作るぞ』

『私らのとこにも用意しとこうね。服ならいくらでも作るしね。ね?絹さん』

きゅるる『もちろん。下着も大事。全身ずぶ濡れだってありうる』

『『『『『たしかに』』』』』


おいちゃんも、おばあちゃんもドワーフさん達もひどいです。絹さんまで⋯ しくしく。

そんなわけで、サーヤのお着替えはそこら中でし放題です。あくまでお泊まり用です!


きゅるる『ぽぽたちとおそろい、白いTシャツにオーバーオール、色は⋯』

絹さんが楽しそうにクローゼットを漁ってます。サーヤはね

「たんぽぽいりょ~」

がいいな♪

きゅるる『分かった。ぽぽ色』

うへへ~おそろい♪絹さんがしゅぱぱっと着替えさせてくれます。早業です。

きゅるる『うん。完成。可愛い』

「えへ~♪あいがちょ。ぽぽちゃ~ん」

ぽぽちゃんたちのところにタタタって走ります。

きゅるる『ぽてぽて。おしりも可愛い』

絹さん、タタタだよ?ぶー。

きゅるる『違う。ぽてぽて』

ぶー。



「ぽぽちゃ~ん」むぎゅう~

『うわぁ?また?』

今日もぽぽちゃんはもふもふのぬくぬくです。すんすん。いい匂いもします。ふへへ~

『また兄ちゃんがサーヤちゃんに抱きつかれてるんだな』

『しかたないだよ。サーヤちゃんは、にいちゃんだいすきなんだな』

ん?つくしちゃんとなずなちゃんも大好きだよ。

「つくしちゃん、なずなちゃんも、むぎゅう~」

『『うわぁ~こっちきただ~』』

むふ~。もふもふもふもふ~♪つくしちゃんとなずなちゃんもふかふかもふもふ~♪

『ふぅ。助かったなんだな』

『『兄ちゃん助けてなんだな~』』

むふふ~。食べたりしないよ~?安心して?ぽぽちゃんのとこはあとで戻るからね?もふもふ~♪


『サーヤが襲ってるね~』

ぴゅいきゅい『『おそってるね~』』

『お顔が大変~』

『崩れてるね~』

『『『でろでろ~?』』』

みゃあ『なんでお口も光ってるにゃ?』

『お腹減ってるかもなのだ?』

ちびっ子たちが引いてます。


『そういえば、慌ててこちらに来たから皆に何も伝えずに来てしまったな』

きゅるる『そういえば、そうだった。それに朝ごはん』

きゅるるん『『『そういえば』』』

きゅるるん『『『『まだだった~』』』』

きゅるるん『『『『『『『おなかへった~』』』』』』』

子グモちゃんたちがお腹へったとお腹をペしペししてます。


『そうだな。みんなも心配してるかもしれないからな。そろそろ戻ろう』

きゅるる『分かった。ぽぽたちも行く』

『え?オイラたちはあとで』

『畑にまだ母ちゃんたちいるだよ』

『そうなんだな』

きゅるる『大丈夫。みんなも呼ぶ。ぽぽたちはサーヤ達と一緒行く。じゃないと』ちら


「ぽぽちゃんちゃち、いかにゃいにょ?」うりゅりゅ~


『『わぁ?サーヤちゃんっ』』

『え?えっとなんだな?だ、だから、あとで』

「いかにゃいにょ?」うりゅりゅ~


きゅるる『ね?こうなる』

『わ、分かっただ。行くだよ。だから』あせあせ

『『泣かないでなんだな~』』あせあせ

「あい」にぱーっ

やったあ♪ぽぽちゃんたちと、ご・は・ん♪

『『『ふぅ~なんだな』』』


『くくっ。悪いな。ぽぽ、つくし、なずな。それじゃあ、行くか』

「あ~い」

『『『はいなんだな』』』

はやく行こう行こう!


『ぽぽちゃんのお父さんたち~』

ぴゅいきゅい『『ごはんだよ~』』

『『すぐ来てね~』』

ハクたちがぽぽちゃんのお父さんたちに声をかけると、ぴょこぴょこっと畑から頭が出て、みんな手を振ってくれました。なんか、もぐらさんを叩くゲームみたいです。可愛い~


きゅるる『じゃあ、行こう』

行こう行こう♪

「ごはん♪ごはん♪ぽぽちゃんちゃちと♪ご・は・ん♪」

『『『えええ?』』』

「う?」

なあに?ぽぽちゃんたち?


『サーヤってば、嬉しくてお歌にしちゃったんだね~。ごはん♪』

ぴゅいきゅい『『ごはん♪ごはん♪』』

『『ぽぽちゃんたちと

♪』』

『『『ご・は・ん♪』』』

みゃあ『ごはん♪ごはん♪』

『み~んなで♪ごはん♪なのだ~♪』

みんなも歌い出しちゃいました。


『『『えええ~?』』』

ぽぽちゃんたちがまたびっくりしてます。


『ふふ。人気者だな。ぽぽたち』

きゅるる『人気者は辛い?とか、凛さんが言ってた』

きゅるるん~『『『ごはん♪』』』

きゅるるん~『『『『ごはん♪』』』』

ん?なんか忘れてるような?

『サーヤ?どうかした~?』

「うにゅ?だいじぶ!」

まあ、いっか~♪


サーヤたちがもうすぐお家に着く頃、

『ムームームーム~(私を忘れてますわ~)』ぐるぐるぐるぐる~


庭の木を取り囲んで見上げる、もぐらさん達とトレちゃん、ゴラちゃん達。

『あんた、なんだべ?これ』

『なんだべな?声がしてるだな』

わさわさわさわさ

『おじちゃん、トレちゃんとゴラちゃんが、これはリノ様だって言ってるだよ』

『ほんとだか?んだども、なんでこんただことに?』

『わかんないだ。でもどうするだか?』

『このままにするだか?』


『ムームームーム~(お願いですわ!助けてくださいませ~)』


『何言ってるかわかんないだども』

『仕方ないから下ろして引きずってくだか?』

『あっ!ゲンさんと親方たちが作ってくれた大八車があるだよ』

『仕方ないべな。野菜しか乗せたくないども、(曲がりなりにも?)精霊王様を引きずる訳にもいかないだべな~』

『んだな。仕方ねぇだな』


『ムームームーム~(ありがとうございますですわ~。でも、曲がりなりにもとはなんですの~!?)』


『『『『『はぁ~』』』』』


嫌々ながら木からリノ様を下ろして連れていくもぐらさん達でした。


ガラガラガラガラ⋯ガタッ

『ムームームームー(痛っ衝撃が痛いですわ)』


リノ様、自業自得です。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m

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