第434話 やっと、光の精霊王様の、番!(1)

つん⋯つん

しーん。

動かない?


つんっつんつんっ

『⋯っ』ぴくっ

びくぅっ!動いた!?

だだだだっ!もふもふっ

しーん⋯

そろ~り⋯ひょこひょこっ

じいーっ


『サーヤ、ハク、みんなも私を盾にするのはやめてくれないか?』

自分のしっぽにしがみついて隠れているサーヤと、一緒になって自分の体に隠れようとしているハクを始めちびっこ同盟に、たまらずギン様が話しかけるが


「しーっ!にゃのっ」

『す、すまん』

ギン様しーっ!今、確かめてるんだから!ぐるぐる

逆に静かにするように言われてしまった。


『サーヤ、自分にギン様のしっぽを巻きつけながら言っても、全く説得力ないぞ』

なんですか?おいちゃん。だってもふもふなんだよ!極上のもふもふなんだよ!

『そうかよ⋯』

もふもふ!もふもふ!ふへへへへ

『サーヤ、その笑い方はやめろ』

ふへへへへ


『お父さん、確認は大事なんでしょ~?』

ぴゅいきゅい『『だいじなんでしょ~?』』

サーヤとおいちゃんの話を他所に、ハクと双子が首をこてんってして聞くと

『うっ、それはまぁ、そうなんだが』

『やっぱり~』

ぴゅいきゅい『『だいじなの!』』


やっぱり大事なんだね!じゃあ、怖いけど頑張って確認しなきゃ!

さっきはぴくってした気がしたけど、気のせいかもしれないもんね!


「みんにゃ!もーいっかい、いくにょ!」

『わかったよ~』

ぴゅいきゅい『『がんばるの!』』

『『みんな静かにだよ!』』

みゃ!『わかったのにゃ!』

『ぬきあし~』

『さしあし~』

『しのびあし~』

『なのだ~』

みんなで忍者さんだよ!


『凛さん、仕込んだな?』

腕組みして、足元にいるおばあちゃんを見るおいちゃん。片っぽの眉毛が上がってます。

『あらあらまあまあ。なんのことかしら?』ぴゅふ~♪

おばあちゃんは、下手っぴな口笛でごまかそうとしてます。

『凛さん⋯』

鳴ってないぞ

『ぷっ。バレバレ』

『⋯』ぴゅひゅ~♪

おいちゃんとおばあちゃんと、みあちゃんがなんか言ってるけど、今は集中集中⋯そろ~り


きゅるるん『『『もくひょうまであとすこしだよ!』』』

きゅるるん『『『『サーヤたいちょう!でばんだよ!』』』』

「あ、あい」

う~がんばるよ!サーヤが隊長さんだからね!どきどき


そろそろ⋯そろそろ⋯

サーヤは精一杯手を伸ばして、持ってきた木の枝で、

つん、つんつんっ

『っ⋯』ぴくっ


っ!!!!


ひそひそ

みんなで円陣組んで作戦会議です。

「ぴくっ。ちた?」

『うん。したかも~?』

ぴゅいきゅい『『もういっかいちてみて?』』

「あ、あい」

作戦はさっきと一緒でした。


つんっ

『⋯』

つんっつんつんっ

『うぅぅっ』

びくぅっ!声出た!?


「みんにゃ!たいひ~!」

『『『『『わーっ』』』』』

逃げろーっ!だだだだだっ!

隠れろーっ!がしいっ!

そろ~り。ひょこひょこっ

じいーっ


『サーヤ、みんなも、俺の足にみんなで隠れても丸見えだと思うぞ?』

「う?」

大丈夫だよ。おいちゃんが守ってくれるでしょ?それに、ギン様にはさっきやめてってお願いされちゃったし~。隠れさせて?

『いや、無理だろ?』

みんな、守ってくれるって!とりあえず、おいちゃんの足にみんなでしがみつきます!

『だから、無理だし、これじゃ動けないだろうがよ⋯』はぁ⋯

大丈夫!おいちゃんだから!



『⋯なにやってんの?あれ』

『どうやら光の精霊王様の生存を確認しているようですよ』

『わはは!面白ぇな!ちびっ子共は!』

だいちゃん、みーちゃん、はーちゃん、確認は大事なんだよ!ちっとも面白くないよ!真剣なんだよ!


『⋯それは、ごめん。⋯ぷっ』

『ふふ。申し訳ありません』

『わはは!わりィわりィ』

ぶー。悪いって思ってないよね?


『う~ん、困りましたですわぁ。お姉様、今起きてしまわれたら大変ですわよね?』はぁ⋯

『やばいにゃ。サーヤちゃんたちのあの行動がやばすぎにゃ!』


倒れた光の精霊王様の傍らで、さっきまで

『可愛いですわ!』

『可愛すぎにゃ!』

と、興奮していたアイナ様とニャーニャにゃん。はたっと我に返り冷静になったので、溜息をつきつつ、チラッと確認すると⋯


今もおいちゃんの足にしがみついて、ぷるぷるしながらみんなでこちらを見ているちびっこ同盟。もう一度つんつんしようとしているのか、サーヤがつんつんと、素振り?をしている。


『そうですわよね?可愛いもの大好きなお姉様ですもの。サーヤちゃんたちのあの姿をご覧になったら』

『今度こそ出血多量で天に召されちゃうかもなのにゃ』

『それは、ダメですわよね』

『だめにゃね。死因、サーヤちゃんたちの可愛いつんつん攻撃により、鼻血で出血多量萌死。にゃんて』

『洒落になりませんわね。真実味がありすぎますわ』

『そうにゃよね~』

『『はあ~ぁ』』

大きなため息をついてガックリ⋯


ぷるん『光の精霊王様への認識がすごい』

ぷるるん『酷いの間違い』

ぷるん『確かに。でも今はそれより』

ぷるるん『これ、どかして欲しい』

ぷるるるん『『邪魔』』

エンシェントスライムご夫婦。久々の登場だというのに、未だ光の精霊王様の下敷きのまま。それもこれも

ぷるるるん『『結葉様のせい』』

じとーっと結葉様を見ると、


『あらぁ、ひどぉい。私は別に何もしてないじゃないのぉ』

などと、すっとぼけてくる


ぷるるるん『『どの口が言うか』』イラッ


ぷるっ『『『『『⋯っ』』』』』

アルとアウルがイラッ!としたのが伝わったのか、仕事の為あちこちに散らばっていたチビすらちゃんたちが、どこからともなく集まり始めた。そして、結葉様に⋯


ぴょんっぴょんぴょんっ

『あらぁ?いやぁん。チビすらちゃん達どうしたのぉ』


わらわらわらわら。ぴょんぴょんぴょんぴょん。ぽふんぽふんっ!

結葉様に次々に張り付いたりアタックしたり、さすがの結葉様も数の攻撃にたじたじです。


『いやぁん』


ぷるるるん『『ふっ』』

ぷるん『よくやった子供たち』

ぷるるん『さすがわが子ら』

チビすらちゃんたちの勝利!


『ともかく、お姉様を起こさないといけませんわね』

『そうにゃね。このままじゃ名付けも中途半端にゃしね』

『そうですわよね。どうしたら起きてくれますかしら。サーヤちゃんたちがまたつんつんしに来る前に起こしませんと、また』

『そうにゃよね。赤い噴水はもうダメなのにゃ』

『その通りですわ。とにかく、起こしましょう』

『そうにゃね。起きるにゃ!光の精霊王様!』ぺしぺし

『お姉様!起きてくださいませ!』ゆさゆさ


『う~ん』

ニャーニャにゃんが光の精霊王様のお顔を肉球でぺしぺし。アイナ様が光の精霊王様の体をゆさゆさしても起きてくれません。


『お姉様!起きてくださいまし!』ゆっさゆっさ

『起きるにゃー!』ぺしぺしぺしぺしっ

『うううっ』

アイナ様、それ、首しまってない?ニャーニャにゃんも、それ、高速往復ビンタ?


ぷるん『激しい』

ぷるるん『逆効果では?』

ゆさゆさぺしぺし、振動は光の精霊王様の下敷きになっているスライムさん達にも当然伝わる。


そんな様子に気づいたのは


『あわわっアイナ様っ!光の精霊王様の顔色悪くなってる気がするだよ?』

『ニャーニャ様も、なんか光の精霊王様のお顔がおっきくなってないだか?』

『ふくらんでるだよ?』

激しくなっていくアイナ様たちに、優しいぽぽちゃん兄弟が慌てて止めに入ると


『あ、あら?嫌ですわ?気のせいですわ。おほほほ』ぽわっ

『にゃはは。見間違いにゃ』なでなで

『ううう~』

白々しく笑いながらこっそり癒しの魔法をかけるアイナ様と、撫でて誤魔化すニャーニャにゃん。

『お姉様、はやく起きてくださいませ?(ふぅ。起きる前に治せて良かったですわ)』ぽわん

『はやく起きてにゃ~(証拠隠滅にゃ)』さすさす


『よ、良かっただ?』

『あれ?元に戻ってるだか』

『きのせいだっただか?』

首を傾げるぽぽちゃん兄弟。


『なんのことですの?おほほほ(ぽぽちゃんたちが素直でよかったですわ)』

『そうにゃ。気のせいにゃよ(いい子すぎてちょっと良心が痛むにゃ)』

笑って誤魔化すアイナ様たちと

『『『そうだか?わかっただ』』』

素直に頷くぽぽちゃんたち。アイナ様たちはしばらく胸がチクチクしてたみたいです。


〖仕方ないわね~。私たちに任せなさい。ねぇ?フゥ〗

『はい。光の精霊王様は同じ匂いがします』

〖『うふふふふ』〗


急に任せて!と、名乗りを上げたのは

『ジーニ様にフゥさん。何か良い案が?』

『同じ匂いって何にゃ?』

首を傾げるアイナ様たち。


〖『うふふふふ』〗


でもスライムさんたちは不気味な笑の二人の様子で

ぷるん『分かったかも』

ぷるるん『同じく』

何かに気づいたようです。


『私もわかったかもぉ。だから、ねぇ?チビすらちゃん達に離れるように言ってぇ?』

結葉様、そんな言い方したら


ぷるるるん『『まだだめ』』

ぷるん『反省が』

ぷるるん『足りない』

『ええ~そんなぁ』

ぷるるるん『『フンッ』』


やっぱりお許しは出ないようです。



✩.*˚ ✩.*˚ ✩.*˚

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m

なんか、予想外に長くなったので、分けました。

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