ある日の節分日記 前編 番外編

「おいちゃ~ん!おばあちゃ~ん!」

てってってっと、おばあちゃんたちのところに走ります。でも、お隣にいるぽぽちゃんは歩いてます。同じ身長なのに不思議です。


『サーヤちゃん、走ってるつもりだったんだな』

『よたよたしてるかと思っただ』

『よちよちじゃないだか?』

走ってるよ!

『それは悪かっただ』

『『ゴメンなんだな』』

うー。なんですか?そのかわいそう~って目は?


『サーヤどうした?』

『あらあらまあまあ。何持ってるの?』


「えへへ~♪おにしゃん!」

手に持ってたものを頭に二つくっつけます。渦巻きみたいな三角?鬼さんの角みたいです。


『みんなで田んぼの手入れしてたら見つけただよ』

『貝かな?と思うんだな』

『そしたら、サーヤちゃんがいまみたいに』


「おにしゃん!」


『って、やるんだども、なんのことか分からんで、聞きに来たんだな』

『『おに、なんだか?』』

ぽぽちゃんたち、鬼さんがなんだか分からないんだって!鬼さんは鬼さんだよ!


「おには~しょと!ふくは~うち!」


『『『んん~?』』』

ぽぽちゃんたちがますます分からないってお顔してます。


『あ~この世界、鬼いるのか?』

『さあ?どうなのかしら?』


〖いるわよ?角のある種族を総称して鬼族って言うわね〗

〖残念ながら、あまり知能の高くない種族は人間を襲うので、あまりいい印象は持たれていませんわね〗

〖でも、中には知能が高く、力も強く逞しい者たちもいるのですよ〗

どこからか湧いてきた

〖〖〖湧いてなんて〗〗〗

⋯飛び出て?

〖〖〖⋯⋯〗〗〗

きた、神様三人が教えてくれました。


『ふ~ん。こっちの鬼も角があるんだな』

『日本では悪いものを『鬼』に例えて、良いものを『福』と例えてね。一年に一度、節分の日に鬼を払い、内に福を呼び込む為に、豆まきというものをしたり、鬼が家に入らないように鬼が嫌う柊鰯というものを飾ったり、最近では恵方巻きというものを食べたりもするわね』

『豆も歳の数だけ食うよな』

『あらあらまあまあ。歳プラス一個という所もあるらしいわよ。お腹破裂しちゃうわね~』

「さーや、ふたっちゅ」

サーヤは一個足しても三つしか食べられないね?


『それは、我らはいくつ食べれば良いのだ?』

『もはや、自分の正確な歳など分からないですな』

アルコン様とギン様が参加してきました。そうだよね、すっごい長く生きてるんだもんね。

あれ?それじゃジーニ様たちも?


〖サーヤ?女性に歳を聞いたらいけないのよ?うふふ〗

〖そうですね。想像してもだめですね。ふふふ〗

『あらあらまあまあ、サーヤ、教えたでしょう?女はいくつになっても女。永遠にお姉さんなのよ』にこにこ


「あ、あい」がくぶる

そうでした。みんな怖いです。笑ってるのに怖いです。サーヤ覚えたよ。大丈夫だよ。

『な、なんなんだな?怖いんだな?』

『『にいちゃ~ん』』

ぽぽちゃんたちも抱き合って震えてるよ。


『んもう~。いいじゃない。みんな、永遠に若いんだから~。ねえ?サーヤ』

結葉様がふわっとやって来て抱っこしてくれました。


「あ、あい。みんにゃびじんしゃん。ぼんきゅっぼんにょ、うらやまけちからんぼでぃ」

「おんにゃにょ、ちぇき」

『女の敵!!』

「うにゅ?」

しまった⋯おばあちゃん、泣いてる、気が、する⋯


きゅるる『魂の叫び』

あれれ?みんな来ちゃった


『女の敵ーぃっ!』しゅんっ

〖〖きゃあ!?〗〗

あ~おばあちゃんが、ジーニ様とシア様のお胸を、行ったり来たりしてぽふぽふ叩いてます!


『サーヤ、やっちまったな』

「ごめしゃい」

おいちゃんが呆れてます。


『それで?豆をまくのなら出来ると思うが、食うのは腹が裂けそうだからな』

『それは嫌ですね』

アルコン様とギン様がすっごく真面目な顔で言います。

お腹破裂しちゃうのは、サーヤもやだな。


『俺だってゴメンだ。恵方巻きならいけるんじゃないか?』

『あらあらまあまあ。ゲンさん、恵方巻きを甘くみてるわね?恵方巻きは七福神になぞらえて七つの具を入れるのよ。鬼が嫌うマグロとか海のお魚を入れたりね。あとは、エビとか鰻とかも入れるかしら?もっとも最近では何でもありみたいだけどね』

おばあちゃんがお胸に張り付きながら言ってます。

〖〖離れて~〗〗

おばあちゃんがごめんなさい。


『う~ん。じゃあ、チビたちもいるし、煎り豆作って、鬼は葉っぱとかでお面作れば出来るな。恵方巻きの具は』

『我がまた海まで行ってこよう』

『え?いや、でもな?そんな大物は⋯』

〖師匠、大丈夫です。今回は私も行きます。必ずやご希望のモノをお持ち致しましょう〗

『え?いや、でもな?ある物で⋯』

〖それでは、アルコン行きましょうか〗

〖わかった。行こう〗

バサッ

『あっ待っ⋯!』


「ふあ~」

『行っちゃたわね~何度見てもキレイね~』

「えびちゃん、とってきちぇくりぇりゅかにゃ?」

車海老~伊勢海老~おいしい~♪

『なんか、不安しかないんだけどな』

⋯キノセイダヨ


『じゃあ、できることを先に初めてましょうか』

『海苔はあるからな』

『『お手伝いします!』』

「ふおっ?」

山桜桃ちゃんと春陽くんがニョキっ生えました!

『『サーヤちゃん、生えてないです』』

はい。すみません。


『じゃあ、俺は豆を炒るか?』

『それは、他の子に頼んでお面を作った方がいいんじゃないかしら?』

きゅるる『手伝う』

『うおっ?』

『あらあらまあまあ』

絹さんまで!

『『『俺達もいるぞ』』』

『『『ドワーフを忘れてもらっちゃ困るな』』』

きゅるる『さあ行こう』

『『『がははは』』』

『『『行こうかね』』』

『お、おい?待っ⋯』ずるずるずる


「おいちゃ~んっ」

引きずられてっちゃった~

『あらあらまあまあ』

な、なんかとんでもないことになりそうな?


『山桜桃ちゃんたち、一緒に頑張りましょうね』

『『は、はい』』

おいちゃんがまた誘拐されちゃったから、ご飯作るメンバーが激減⋯

『わたしたちも手伝います』

『ぼくも手伝います』

『オイラたちも手伝うんだな』

『『手伝うだ~』』

『ほくたちもいるよ~』

ハクたちもみ~んな手伝ってくれるって!


「がんばりょ~」

『『『『『おー!』』』』』


そんなこんなで、出来上がりました。具材たち!

『薄焼き卵、難しかったです』

『大丈夫よ。上手に出来てるわ、山桜桃ちゃん』

『きゅうりは私とサーヤが切ったもんねぇ』

「あい!」

サーヤがヘタを落として真ん中切って、あとは棒みたいに結葉様が切ってくれました。みんながビクビクしながら、最初サーヤたちを見てたんだよ~


『ほうれん草茹でたよ~』

ぴゅいきゅい『『しぼった~』』

ハクは魔法で器用にほうれん草をお鍋に入れて、熱に強いドラゴンのモモとスイがお水にサッとして絞ったんだよ。


『『しいたけもとってきたよ』』

『『『こげないようにみてた~』』』

『そうね。ありがとう』

フライたちも大活躍です!


『レタスもつんできただよ』

『洗ってちぎって』

『もりつけただよ』

『人参はフゥ姉ちゃんに渡しただよ』

ぽぽちゃんたちもです。

『頑張りました⋯』

フゥは千切りでお疲れです。


『『豆も終わりました』』

お豆係の春陽くんとクゥもお疲れ様です。

『みんな、ありがとう。ん~お肉も焼いたし、あとは⋯』


『戻ったぞ』

〖ただ今戻りました〗

外から声がしたから見に行くと


『あらあらまあまあ~』

「ふあ~ああああ」

ぴゅいきゅい『おとうしゃ~ん』

『すご~い』

「おばあちゃん、こりぇ?」

『イワシね~泳いでるわね~サーディンラン?』


エル様は両手に車海老と伊勢海老と、あれはウニ?の入った網を持ってます。

でも、頭の上には?

海が四角く切り取られて、大きなお魚が小さいイワシさんを追いかけてます。


『きれいだね~お魚さんがお空でお絵描きしてるみたいだね~』

ぴゅいきゅい『『はやいね~』』

『『すごい~』』

『『『きらきら~』』』

たしかに~

「きりゃきりゃ~」

『あらあらまあまあ~これは、想像の斜め上ってやつね~』


シャッシャッ


「ふお~」

イワシさんたち、逃げてる~


『言っておくが、我は止めたのだぞ』

ぴゅいきゅい『『おとうしゃん、えら~い』』

『ほ、本当か?』

ぴゅいきゅい『『うん!こんかいはダメダメじゃない~』』

『そ、そうか』

がんばれ、アルコン様⋯


そういうアルコン様は大っきなマグロを五匹ぶら下げてました。それと

『凛。これか?サザエというのは』

貝がいっぱい入った網をくれました。

『まあまあ~ありがとう。美味しいのよこれ~。マグロも立派ね~♪』

『そうか。良かった』

その時


『なんじゃこりゃ~!!』

おいちゃんの声が響き渡りました。目線にはシャッシャッとつぎつぎと形を変えるイワシさんたち。


〖ああ、師匠、イワシとはこれですよね?〗

『あ、ああ、でもな?』わなわな


エル様、まちがいじゃない。まちがいじゃないけど~

『これをどうしたらいいってんだーっ!』

だよねぇ?しばらくこのまま?

「いち、にー、さ⋯」

『あらあらまあまあ、サーヤ、数えられるわけないからやめなさい』

「あい」

そうだね~


『さあ、せっかくだから早く捌きましょ』

『『はい!!』』

山桜桃ちゃんと春陽くんが大活躍!

おいちゃん、はやくこっち手伝って!


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m

すみません、続きます。

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