第429話 月花ちゃんは?

プリンのために、名前をつけた光の精霊『月花(げっか)』ちゃん。

いつもの、ピカーッを忘れてたサーヤのお顔に何かが四つ、ビタっビタっビタビタって、くっつきました。

「うにゅ~?おみょい?」

お顔が重い~?


『ふ~。あれ?みんなが縮んだ?』

「うに?」

ちぢんだ?


『巨人族の子、人の子になった』

「うにゃ?」

きょじんさん?ひとの子?


『ふむ。愛し子サーヤは、ほんとに人の子だった?でも⋯』

「うにゅ?」

でも?


ぺりっ『あっ』ぺりっ『いっ』ぺりぺりっ『うっ』『えっ』

ぽいっ『『『お~っ?』』』

ぽすぽすぽすっ!

『『『うきゃーっ』』』

『みんなーっ』


「うにゃあ?」

青葉ちゃん?みんな?

慌てる声がしたからおめ目を開けると、


『離して~』ぱたぱたぱたぱた

『『『青葉ーっ』』』

目の前で、青葉ちゃんが、首根っこ摘まれて、パタパタしてました。泉の精霊さん三人はさっきまで光の精霊さんがねんねしてた、かごベットに放り込まれたみたいです。

あれ?じゃあ、光の精霊さん、月花ちゃんは?どこ?


『愛し子、サーヤ。なんで、顔に精霊くっつけてた?』

「う?」

青葉ちゃんの上、声のするほうを見ると、


「ふああ?」

綺麗な金髪に近い黄色い髪の、たれ目がちな、ぽえっとした感じのお姉さんの顔が⋯だれ?


『離して~』ぱたぱたぱたぱた

『サーヤちゃんが』

『まぶしそうだったから』

『守ってあげただけだよ!』

「ふあっ」

なんと!今回おめめを隠してくれたのは、青葉ちゃんと泉の精霊さんたちでした。


「あいがちょ~」

『『『どういたしまして~』』』

でも、四人もくっついてたから重かったんだね。


『離して~』ぱたぱたぱたぱた

「ふおっ」

『『『あっ』』』

そうでした!


「あおばちゃん、ちょーらいっ」

おてて伸ばして、お姉さんに青葉ちゃん返してってお願いすると

『なるほど。そういうこと。はい』

と、言いながら青葉ちゃんを渡してくれました。

「あいがちょ」

『サーヤちゃ~ん』ひしっ

『『『青葉ーっ』』』

「よちよち」

青葉ちゃんがひしって飛びついてきたので、なでなでします。みんなも集まってきました。


『サーヤ。おっきくなった。ぷりん』


おっきくなったぷりん?

「ぷりん、おっきくにゃりゃにゃい」

でも、いつかバケツプリン食べたいなぁ。じゅるり。

『サーヤ、絶対考えてること間違ってるぞ?』

「う?おいちゃん?」

何が?バケツプリン食べたいなぁ。バケツゼリーでもいいな。


『名前、もらった。ぷりん、食べる』


「にゃまえもりゃっちゃぷりん?」

特別なプリン?じゅるり。

『違うだろ⋯』

おいちゃん?なんだか、とっても残念そうだね?


『名前つけたら、ぷりん食べられる。言った』


「おにゃまえ、ぷりん⋯ふぁっ」

ぷりん、おなまえ、と、言うことは

「げっかちゃん!」

おお!


『そう。おっきくなった。だから、ぷりん』

フゥ位の大きさのお姉さんは、さっきまでちっちゃかった、月花ちゃん!

『気づくの遅すぎだろ⋯』

「おちえちぇくりぇにゃいちょ⋯」

分からないでしょ?


『いや、教えないでも分かるだろ?』

『『だよなぁ』』

『分かってないねぇ、あんたら。それが、サーヤちゃんなんだよ』

『『そうそう』』

『『『なるほどな』』』

なんですか?ドワーフさんたち?


『ぷりん。ちょうだい』

「ふお~ぷりん、やっぱち、ちゅよい」

『繰り返すが、ほんとにプリンが何か知らないんだよな?』

そのはずだよ。


『⋯光の』

『違う。月花』

何か言いかけた、だいちゃんに速攻で、月花ちゃんがツッコミを入れました。

『⋯月花、食い意地張りすぎ』

『まあまあ。ずっと眠ってたのだから仕方ありませんよ』

『ガハハ!起きてからプリンしか言ってないんじゃないか?』

『まったく。私たちの涙を返して欲しいわ』

『ほんとよねぇ』

『まあまあ、ひか⋯月花は元からこんな感じだったじゃない』

だいちゃんたち、精霊さんたちも月花ちゃんに話しかけ始めました。氷花ちゃんはどんなときも、抑え役?


『『身長、私たちより低い』』

『むぅ』

気づいたら、牡丹ちゃんと揚羽ちゃんが月花ちゃんの両脇に立って頭のてっぺんで手をぴこぴこ。身長を測ってました。月花ちゃんはちょっと不満そうです。


〖そうね。おそらく、眠りにつく前の状態が、月花の一番力が強かった頃だったのじゃないかしら?〗

「うにゅ?」

ジーニ様?


『そうですわね。精霊になりたての頃と聞いておりますもの。この位の大きさでしたのでしょうね』

「ふにゅ?」

光の精霊王様?気づいたら、あっちで騒いでたジーニ様たちも集まってました。


『そりゃあ、あんな眩しい光が出たら気づくにゃよ』

「しょう?」

ニャーニャにゃんがいつの間にかサーヤのそばにいました。

『そうにゃよ』

そっかあ。


『あなたが私たちを助けてくれた光の精霊さんねぇ』

結葉様が月花ちゃんの手を両手でそっと握りました。


『私が助けた?』

首を傾げる月花ちゃん。覚えてないのかなぁ?


『そうよぉ。あなたが光を送り続けてくれたおかげで助かったのよぉ。私は精霊樹の精、結葉よぉ。ありがとう。それから、ごめんなさいねぇ。気づいてあげられなくてぇ』

『私からも礼を。そなたのお陰だ。こうして今、光の下に出ることが出来た。ありがとう。感謝する』さわさわ

精霊樹さんの包み込むような声が聞こえました。


『精霊樹の精様に、精霊樹様?そっか。良かった。助かったの』

眠っちゃう前のこと思い出したのかな?月花ちゃんが少し、ニコッとしました。


『光の精霊さん』

『今は、月花、です』

『そうですわね。月花、綺麗なお名前ですわ。改めまして、私は地の精霊王、アイナと申しますわ。お母様と精霊樹を助けてくださってありがとうございますですわ。お体はもう大丈夫ですの?』


『地の精霊王様?体は大丈夫』

月花ちゃん、ちょっとびっくり?おめめがおっきくなったよ?


『そうですか。でも、もうこんな無茶はなさらないでくださいませね。どんなに美しき行いだったとしても、お友達も悲しみますわ』

『え、えっと、はい』

アイナ様が月花ちゃんの頭をなでなでしてます。


『そうですわね。自分のことも大切になさって。私の子が、私の母を救ってくださったこと、誇りに思いますわ』


『え?わたくしの子?』

ありゃりゃ?月花ちゃん、さらにおめめ、まんまる?


『私は光の精霊王ですわ。月花。お母様と精霊樹を助けてくださって、ありがとうございますですわ』

『ひ、光の精霊王様?ええ?』

光の精霊王様もアイナ様とは反対側から月花ちゃんの頭をなでなでしてます。

月花ちゃん、なんか呆然としてます。そっか、とつぜん美人さんに囲まれたらそうなるよね~?しかも、ボン・キュッ・ボンの女の敵だもんね。


『サーヤ、絶対トンチンカンなこと考えてるな?』

「う?」

おいちゃんだって、違うの?

『そ、そんなことはだなっ』

なんで焦ってるの?

『あらあらまあまあ。ゲンさんたら。おほほほ』

『え?だから違っ』

おばあちゃん?なんか、怖い?


『サーヤ、精霊たちの頂点の結葉様に、精霊王様二人に、急に囲まれてるのよ?』

「あい」

フゥ?山桜桃ちゃんたち手伝ってたんじゃないの?

『まして、自分の属性の精霊王様だぞ?』

「あい」

クゥ?逃げてたんじゃないの?

『『本来なら、ありえないから』』

「しょにゃにょ?」

『『そう!』』

そっかあ。すごいことなんだね~?どこにでもいるわけじゃないんだね~?

『そこら中になんか』

『いてたまるか!』

「うにゅっ」

フゥとクゥに怒られちゃいました。だって~


『あらあらまあまあ。でも、これだけ神だなんだと揃ってたらそうなるわよねぇ』

そうだよね?

あれ?そういえば、おばあちゃん、ジーニ様のお胸から離れたんだね。良かった良かった。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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