第426話 ぼうや?じゃないよね

ご飯を食べたらまたすぐ寝ちゃった光の精霊さん。


「ね~んねん♪こりょりん♪」

ぽんぽんぽんぽん。寝る子は育つんだって。

〖あ~ん♪かわいい♪〗

ジーニ様、ぽんぽんしてるだけだよ?


『あらあらまあまあ、おむすびころりんが混ざってるわね。サーヤ、ころりよ、ころり。ね?』

そっか~

「ね~んねん♪こりょりよ~♪おこりょりよ~♪ぼーやは⋯?」

あれ~?

『サーヤ、どうしたの?』

「おばあちゃん、ぼーや、ちやう、ね?」

光の精霊さん、女の子だよね?

『あらあらまあまあ?それは、歌詞だから⋯』

「うにゅ~」

じゃあ、女の子はどうするの?

『う~ん?深く考えたことなかったわぁ』

そんな~ぁ


『なぁに~?』

ぴゅいきゅい『『どうしたの?』』

ハクたちが、急に歌うのをやめたサーヤに聞いてきました。


「うにゅ~。ぼーや、ちやうにょ」

『『ぼーや?』』

『『『なにがちがうの~?』』』

「うにゅ~」

ちがうんだよ~


〖凛?サーヤは何が違うって言ってるの?〗

ジーニ様はサーヤじゃ話が進まないと思ったのか、おばあちゃんに聞くと


『う~ん。サーヤが歌ったのは、子守唄なんだけど、歌詞がね『坊やは良い子だ寝んねしな♪』って続くんだけど、『坊や』って男の子のことなのよね』

〖なるほど。それでサーヤは、この子は女の子なのにって、なったわけね?〗

『そうなの。どうしようかしら?』

〖う~ん、歌なんだからそのままでも良さそうだけど〗


「うにゅ~」


〖ものすごく眉間にシワが寄って、唇とんがってるわね?〗

『あらあらまあまあ、あれは相当引っかかってるわねぇ』

〖やっぱり?〗

ジーニ様とおばあちゃんがどうしたものかしら?と考えていると


『そんなのぉ、簡単じゃなぁい?』


「うにゅ?」

簡単?

〖結葉?〗

『どうするのかしら?』

急に現れた結葉様が、簡単だって。どうするのかな?


『お名前をつけてぇ、そこにお名前を入れたらいいんじゃなぁい?』


「ふえ?」

またお名前?

〖あ〗

『あらあらまあまあ』

〖『そうきたのね』〗ふぅ⋯


『だってぇ。私が光ちゃんって呼んだらぁ?はい。ジーニ様』

〖え?光の精霊王のことよね?〗

そうだね~


『じゃあ、晴嵐たちが、光のって呼んだらぁ?はい。凛』

『今、寝てるこの子のことよね』

そっかあ~


『ねぇ?紛らわしいでしょう?だからぁ、サーヤ、この子にお名前付けてぇ♪』

「ふえぇ?」

ま、また?


『あ、あの、サーヤちゃん』

「う?」

光の精霊王様?なんか、もじもじ?


『サーヤちゃんにお名前を頂けると、力が強くなるとお聞きしましたわ』

「ふにゅ」

それは、確かに?


『それに、それに!』

「しょ、しょれに?」

あ、あれ?もじもじ飛んでっちゃった?な、なんかとっても危険な香りが?


『お母様やアイナのこの肌のハリ!ツヤ!さらにさらに!』

な、なんかさらに危険な香りが!?

「お、おばあちゃん、こ、こわこわ」

『あらあらまあまあ。大丈夫よ。サーヤ、察しがつくわあ』

な、何が?


『アイナのこの胸のハリ!』

むぎゅう!

『きゃああああっ!お姉様何をなさるのですか!』


「ほええ?」

『あらあらまあまあ。暴挙にでたわねぇ』

アイナ様を後ろから、お胸むぎゅう!しちゃいました!


『それにこのクビレ!』

がしぃっ

『きゃああああ!おやめくださいませ!』


「ほえええ?」

『あらあらまあまあ。わかるわぁ』

おばあちゃん分かっちゃうの!?


『更に、この引き締まって上を向いたヒップ!』

ぐきゅう!

『きゃああああ!お姉様!いい加減になさってくださいませ!』


「ほええええ?」

今度はお尻を下から持ち上げちゃった!?

『あらあらまあまあ!羨まけしからんわねぇ』

おばあちゃん!?


『ただでさえも今まで末っ子で私たちよりハリがありましたのに!なのになのに、アイナだけではなく、お母様まで!なんですか!このけしからんボディはあああ!』

むぎゅうううう

『あらあら?いやぁん。光ちゃんたらぁ。なんでこっちにくるのぉ?』


「ふえぇえええ?」

今度は結葉様にとりついちゃった!?

『うふふふふ。分かる、分かるわぁ。ずるいわよねぇ?』

しゅんっ

「ふああっ?」

おばあちゃん消えちゃった?


〖きゃああああ!凛!私は関係ないじゃない!〗

『ずるいわずるいわずるいわぁ』

ぽふぽふぽふぽふっ

「ふああっ!おばあちゃんっ」

またジーニ様のお胸にぃ!


『⋯何この大惨事』

「あわわ、だいちゃんっ」

だいちゃんがそばに来てぼそっと言います。


『うっうっうっ、人前でなんてことを⋯もうお嫁に行けないですわぁ』うっうっ

あ、アイナ様、大丈夫?


『ご主人っしっかりするにゃ!そもそもご主人にお嫁に行く予定は無いにゃ!』

『うわぁぁぁん』

アイナ様、地面にべちょってして、うわあんってしてます。可愛そうです。ニャーニャにゃんがなんかサクッとトドメさしたような?



『はいはい。全く、こんな可愛い坊やたちの目の前で何してるのかしらね?』

『ほんとよね?もう少し考えてくれないとね?』

『あら、かわいい坊やたちじゃなくたって困るわよね?』

『『『うふふ』』』

らんちゃん、なるちゃん、ひょうかちゃん?


『『そ、そうですね』』

フゥと山桜桃ちゃんのお顔が真っ赤です。


クゥと春陽くんは

『ランとナルだって人のこと言えない』

『目を隠すだけでいいなら、そんなくっつかなくても』

『『二人がかわいそう』』


『ええ?』

『あら?』

『『いやん。ごめんなさい♪』』

クゥと春陽くんは、らんちゃんと、なるちゃんに後ろから張り付かれて目を手でふさがれて、カチコチに固まってます。

白黒コンビに注意されてるけど、あれはわざとだよね?楽しそうだよ。

そういえば、ハクたちは?


『ね~何が起きてるの~?』

ぴゅいきゅい『『みえな~い』』

『『聞こえないよ~』』

『『『みんないる~?』』』

みゃあ『なにがおこってるにゃ?』

『動けないのだ~』

きゅるるん『『『『『『『おかあさ~ん』』』』』』』


きゅるる『医神様、さすが』

〖子供たちに見せていいものでは無いですからね。一時的に耳を塞いで目隠しをしたまでですよ。絹こそ、中々の仕事ですよ〗

きゅるる〖暴れてぶつかったら大変〗

どうやら、簀巻きにされた上に目も耳も塞がってるみたいです。


『⋯何この状況』

『これは、はやく名前をつけてもらうしかないですね』

『ガハハ!頑張れ!サーヤ!』

バシバシっ

「うぎゅう~」

はーちゃん、背中痛いよ⋯


こんな感じでみんながギャーギャーしてると、

『なんじゃこりゃ?』


「う?」

おいちゃんの声?


『さあ?』

『なんだか懐かしい顔もいるけどねぇ』

あっ親方夫婦もいる~


『それがなんで』

『結葉様を襲ってるんだい?』

『凛さんはまたジーニ様に引っ付いてるしな?』

『なんでアイナ様は地面で泣いてんだい?』

みんなもいる~


「おいちゃ~ん!」

『⋯ドワーフたちも来たね』

『ようこそ。いいところへいらっしゃいました』

『ガハハ!おう!何とかしてくれ!』

だいちゃん、みーちゃん、はーちゃん?丸投げ?


「おいちゃん!」

来てくれて良かったよぉ


『おう!ただいま。しかし、なんの騒ぎだ?ん?こっちはなんだ?』

おいちゃん、めっちゃ眉間しわしわです。

それでも、テーブルの上のカゴベッドに気づいたみたいで、みんなが覗きこみます


『す~す~』


『ん?なんだ?また新顔だな?』

『妖精かい?』

『いや、小せぇが、この気は精霊じゃないか?』

『精霊?』

『なんで寝てんだ?』

『可愛いねぇ』

精霊さん可愛いよね!


『んで、この惨状はなんなんだ?』

おいちゃんが、変な顔で聞いてきます。また面倒事か?って思ってるのかな?当たりです。


「うにゅ~」

だいちゃん、説明お願い。

『⋯ええ~話すの面倒。みー、よろしく』

『水影ですよ。面倒臭いからって名まで縮めないで下さい。私にピッタリな美しい名前で気に入っているのですから』

『⋯え~。サーヤだってぇ』

「う?」

ちぢめちゃだめ?

『サーヤはいいのですよ。サーヤが呼んでくれるのは可愛いですからね。どんどん呼んでくださいね』にっこり

「あい!」

良かった~


『どうでもいいけどよ、説明してやれよ』バンッ

はーちゃんがみーちゃんの肩を叩いてはやくって。でも、それ

『痛いですよ。馬鹿力なんですからやめてください。華火』

だよね?サーヤもまだ背中痛いよ。

『気にすんな!それより、ほれ!』

え~気にするよ~


『はぁ⋯分かりましたよ。全く、すぐ面倒事を押し付けるんですから。実は⋯』

やっと、みーちゃんが話し出しました。


一通り、話を聞き終わると

『そんなことがあったのか。じゃあ、この光の精霊は、本来なら大地たちと変わらない姿のはずなんだな?』

話を聞き終わって、おいちゃんが聞きます。


『⋯そうだよ。まったく』

『光のは普段のんびりなんですけど』

『昔から、自分の身を顧みず、無茶をすることがあってな』

『⋯でも、一言くらい』

『そうですね。相談してくれていたら』

『言うな!光ののこういう時の決断力の速さは昔からだ!』

『⋯そうだね。知ってたはずなのに』

『誰一人、光のを探さなかった』

『そうだな。でも、今はそんなこと言っても始まんねぇよ』

そっかあ、だいちゃんたち、みんな後悔してるんだね。あと、ちょっと寂しかったのかな?


『そうだな。これからの事を考えた方がいいな』バンバンバンっ

おいちゃんが、三人の肩を、元気だせってバシバシします。

『⋯痛いなぁ。もう』

『痛いです。でも、そうですね』

『イテテ、おう!そうだよな』

三人とも少し、ほっとしたようなお顔になったね。


『そうか。そんなことになってたんだな』ずずっ

『こんな小さくなるまで頑張ってたなんてねぇ』ぐすっ

『泣かせるぜ』ずびっ

『ほんとだねぇ』ううっ

ドワーフさんたち、お鼻、ズーズーしながらお話してます。感激やさんです。


『こうなりゃサーヤ、いい名前つけてやらねぇとな』

『そうだよ。私たちみたいに変化するかもしれないよねぇ?』

「ほえ?」

変化?


『あっ!そうだよ!俺も若返ったんだ。ありえるよな?』ぽんっ!

おっちゃんが、お手手をぽんって鳴らして反応しました。


『⋯そうだよね?』

『そうですよ。少なくとも、光のがいなくなる前は、今のクゥたちくらいでしたから』

『もしかしたら、俺らほどとはいかねぇけど、クゥたちくらいにはなるかもしれねぇよな?』

『⋯うん』

『少なくとも、この寝たり起きたりの状態は脱するかも知れません』

『そうだよな?体の大きさがもし戻らなくても、大きな進歩だよな?』

おいちゃんたちの話から盛り上がってきたのか、だいちゃんたち三人が、くるっと!


「うにゅっ?」

な、なにかな?

いっせいにサーヤに寄ってきました!


『⋯お願い。サーヤ』

『光のに早く名前をつけてあげてください』

『いい名前頼むぜ!』

そ、そうだよね。おっきしてくれるかもしれないもんね!


「あ、あい!がんばりゅ!」

異世界辞書と

「おいちゃん!」

出番だよ!


『そうだよな。もれなく巻き込まれるよな?』

もちろんだよ!ふんす!


『威張るなよ⋯じゃあ、大地達みたいに漢字で行くか?偶然だけどみんな漢字二文字なんだよな』

「あい!」

いいの探すからね!待っててね!光の精霊さん!


『⋯あっ、光の精霊王様を忘れてた』

「『あっ』」


『そういえば、そうでしたね』

『いいんじゃね?あれじゃあよ』

ちろり



『ずるいですわ!ずるいですわ!』

むぎゅうううう

『いやぁん。光ちゃんたらしつこい~』


『ずるいずるいずるいずるい』

ぽふぽふぽふぽふ

〖凛もしつこいわよ!〗


『うううぅ』

『ご主人!泣き止むにゃ!お嫁に行く可能性はほぼないにゃ!大丈夫にゃ!』

『うわぁぁぁぁぁん』



『⋯うん。僕は何も見なかった』

『わたしもです。サーヤ、お願いしますね』

『おう!そうだな!頼むぜ!ガハハハ』

三人は見なかったことにしたようです。

「あ、あい」

『分かったよ』



『なんだかなぁ』

『まともな奴、いねぇのか?』

『上位の精霊様ほど、普通じゃねぇよな?』

『あんたら、そんな身も蓋もない』

『そうだよ。アイナ様はまだまとも(な方)だよ』

『大丈夫!青葉ちゃんって希望の星がいるよ!』


何だかんだ、みんな言いたい放題だよね。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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