第370話 その内分かるよ⋯

さあ、みんながお手伝いしてくれたので、下ごしらえ完了です!今日はみんなでお外で自分で焼くので、お外に運びます。


『んじゃ、これ運ぶかね』

『そうだね』

『よっこいしょ』


「ふえええ?」

『『ええええ?』』

山桜桃ちゃん達とびっくりです!大っきなスープの入ったお鍋を、おかみさんたちがお外へ運ぼうとしていました。重いのに!!


『ん?なんだい?』

『これも持ってった方が楽だろ?』

『まさか、全員分、器によそって運ぶ気だったのかい?』

今度はおかみさんたちがびっくりです!


『は、はい。いつもそうしてましたので』

『そうするものだと』

どう考えたって、お鍋運ぶの危ないしね~


『いやいや、外まで何往復する気だい』

『器によそったって、こぼれる時はこぼれるしね』

『まあ、今日からはウチらがいるからね。大丈夫』

『みんな、勝手によそりゃいいし』

『今頃、外に鍋用のコンロもできてるはずだよ』

『次からはそっちで初めから作れるよ』

うわあ~いつの間に?すごい~。確かに、初めから、外でやったら、一番安全かも⋯

あれ?ちょっと、危ないセリフひとつなかった?

山桜桃ちゃんと春陽くんも、同じことを思ったらしくて、三人でちょっと見つめあっちゃいました。ひくく。


『みんな勝手に⋯?』

『よそえる⋯?』

「ち、ちにゃみに、きょうにょ、しゅーぷは⋯?」

ドキドキしながら聞くと


『サ、サーヤちゃんに教えてもらった』

『し、新作です。味見させていただきましたが、かなり』

『『美味しかったです』』

「⋯⋯」

『『⋯⋯』』

絶句です。


『な、なんだい?』

『何かまずいのかい?』

『まあ、危ないことはないだろ?』

『『『持ってくよ』』』

おかみさんたち、持ってっちゃいました。


『サーヤ~?おかみさんたち』

ぴゅいきゅい『『もってっちゃったよ?』』


ハッ!

「あっあっ」

『ど、どうしましょう』

『こ、こうなったら、ちびっこ同盟の方々の分は死守しないと⋯!』

『そ、そうね』

『で、でも⋯』

カタカタカタカタカタ

山桜桃ちゃんたち震えてます。


「だ、だいじぶ」

『そうだよ~。むりしないで~』

ぴゅいきゅい『『おかわりは、がまんするよ』』

『『そうだよ!危ないよ!』』

『いのち!』

『だいじ!』

『きにしないで!』

そうだよ!スープはまた食べられるからね!


『み、みなさん』

『ありがとうございます』

うるうるうるうる

ああ、山桜桃ちゃんたち、手を組んで涙流してるよ⋯


『な、なんだか?』

『にいちゃん、何がおこるだ?』

『ごはんたべるんでないだか?』

『わけわかんないのだ~』

ぽぽちゃんたちも、姫ちゃんも、後で分かるよ⋯気をつけてね。


『なんだい?』

『まだ、気にしてるのかい?』

『ほらほら、まだ運ぶものあるだろ?』

戻って来たドワーフさんたちが言います。若干呆れてます。でもね、後で分かるよ⋯


『は、はい』

『すみません!今行きます』

山桜桃ちゃんたちも動き出します。サーヤも⋯ガシッ

「あっ。だりぇか~、おりょちて~」

動けないよ~

『あっ、忘れてたね~』

ぴゅいきゅい『『サーヤ、待ってて』』

『『誰か呼んでくるね!』』

『『『よんでくる~』』』

あっみんな、行っちゃった⋯

いつもより高い椅子に一人ぽつんと、取り残されちゃいました。


「だりぇか~」

さみしいよ~


ぴゅいきゅい『『おとうしゃん!』』

ぴゅい『はやく!』ぐいぐい

きゅい『はやく!』ぐいぐい

『ま、待てっ』

その後、双子に角を引っ張られながら、慌てて迎えに来てくれたアルコン様に救出されました。良かった⋯


さあ、いよいよ、ごはんですよ~。ちょっと、怖いけどぉ


『みなさん、今日は皆さんで焼いていただきます』

『お野菜も食べてくださいね』

山桜桃ちゃんたちが、みんなに説明します。


『お肉は、両面ちゃんと火を通してください』

『ホイル焼きもご用意してあります。まずは、鶏肉と、じゃがいものホイル焼きを皆様にお渡ししてますので、ご自分の前の鉄板にお願いします』

『とうもろこしは、焼けましたら、皮をとっていただき』

『そのままでも、お好みでお醤油や、バターを垂らして焼いても美味しいそうです』

うんうん。今から楽しみです。じゅるり。


『今から、スープをお渡ししますね』

『熱くなってますので、火傷なさらないようにお願いします』

問題のスープ、まずは一杯はキープ!


『では、サーヤちゃん』

『お願いします』

「あい。いちゃだきましゅ!」


『『『『『いただきま~す!』』』』』


みんなでいただきますして、ごはんですよ。


お野菜を鉄板に並べて~、りんごに付けておいたお肉は、塩コショウしてあるので、そのまま焼きます。お醤油が未だにしょっつるなのが残念です。後でお醤油とかレモン汁とか、お好みで!あっ、玉ねぎで、つけた方は大人の方に行っちゃったよ。

そこら中で、ジュージューっていい音がします。いい匂いも!焼けるの待つ間に、枝豆~ぽぽっ!美味しい~!安定の美味しさです!


問題の新作スープです!

『サーヤ~この赤いのなあに~?』

ハクがスープの中を指さして聞いてきます。

「とまちょ!」

ぴゅいきゅい『『とまと~?』』

『さっき、生のトマト食べたけど』

『ちょっと、苦手~』

あ~トマトは、好き嫌い分かれるよね。


『皆さん、トマトは生の時より、火を通した方が食べやすいようですよ』

「玉ねぎも、甘くなってますし、とうもろこしと、溶き卵も入ってますので、酸味…酸っぱいのもあまり気にならないかと」

山桜桃ちゃんと春陽くんが説明してくれます。そう、今日はトマトと玉ねぎ、卵のスープです!トウモロコシもほぐして入れてもらいました!ちゃんとしたミネストローネは、今度おいちゃんに作ってもらおう!


『そうなの~?』

ぴゅいきゅい『『たべてみる~』』

『『がんばってみる~』』

『『『せーのっ』』』

ぱくっ!!


どうかな~?

『あっ、おいしい~』

ぴゅいきゅい『『ほんとだ~』』

『すっぱくない!』

『ザラザラもない!』

フライとフルーはトマトのザラザラした食感もダメだったんだね。


『『『まろやか~』』』

妖精トリオも大丈夫みたいです。

『おいしいんだな!』

『みんな、なんで嫌がってたのかな』

『おいちいよね~?』

『おいしいのだ~』

ぽぽちゃんと姫ちゃんは初めから抵抗なかったみたいです。


「おいちいね~」

今度、葛が出来たら、とろみつけてもいいかも~


『姫はおかわりしたいのだ~』

お、おかわり?

「しょ、しょれは⋯」

向こうでさっきから、


〖ちょっと医神!割り込まないでちょうだい!〗

〖何を言います。魔神こそ何杯目ですか。これは私のです〗

『野菜などバカにしてたが、美味いな』

『アルコン、お玉を離しなさいよぉ。ずるいわよぉ』

いつもの方々がいつもの様に⋯


『サーヤちゃんたちが震えてたわけが』

『分かったね』

『これは無理だわ』

『もう少し考えないとなぁ』

ドワーフさんたちも分かったでしょ?


『姫ちゃん、ごめんなさい』

『今度また作りますね』

『そうだよ~』

ぴゅいきゅい『『ほかもおいしいよ』』

『そうだよね』

『スープでおなかいっぱいにしたら』

『『『もったいないよ~』』』

みんな、悟りを開いてますね。さすがです。


『そ、そうなんだな。あれは』ぷるぷる

『あぶないだ~』ぷるぷる

『おっかねぇだ~』ぷるぷる

ぽぽちゃんたちも学んだみたいだね。


『わ、わかったのだ。こわいのだ』ぶるぶる

姫ちゃんも納得です。


きゅるる『ゲンが言ってた。触らぬ』

きゅるるん『『『なんとかに』』』

きゅるるん『『『『たたりなし~』』』』

『何とかのところはですわね』

『決して口にしてはいけないにゃ』

みゃ『わかったにゃ』


あれ?みんないつの間に?アイナ様まで?


きゅるるん『子供たちのためには安全を期さないと』

『ココロもニャーニャも小さいですから、安全対策ですわ』


そっかあ~

『皆さん、お野菜焼けましたよ』

『お肉もそろそろですね』

山桜桃ちゃんたちも悟りを開いてます。


「あ~い」

ご飯は安全に美味しく。これ、大事。


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