第364話 ちゃぽ〜ん

ちゃぽーん。


「ふいい~」

今、温泉に入ってます。結葉様に抱っこされて浸かってます。頭の後ろがなんだか柔らかいです。ジャストフィットです。気持ちよくて眠くなります。


「ふわぁ~あ」

『うふふ。サーヤ、寝ちゃダメよぉ。これからお夕飯なんだからぁ』

「あ~い。ふい~ぃ」

アルミホイル作りで疲れた体に、お湯が染み渡る~ぶくぶく

『あらあらぁ、サーヤ沈んじゃうわよぉ』くすくす

大丈夫ですよ。なぜなら

『サーヤ、浮いてるのだ』

みゃあ『ほんとにゃ。さーにゃにゃん、ういてるにゃ』

知ってるもん。くすん。


『サーヤちゃん、そのため息の付き方は、なんか、年寄りくさ⋯』

なんですか?

『サーヤちゃんは時々妙に、ババくさ⋯』

なんでしょう?

『サーヤちゃん、おばあちゃんみたいだねぇ』

はっきり言っちゃいましたね⋯


ドワーフのおかみさんたちに言われてしまいました。

いいのです。気持ちいいものは気持ちいいのです。ふい~ぃ。


『くすくす。サーヤは温泉もおばあちゃんもぉ、大好きだからいいのよねぇ』

「あい~。ふい~」

そうです。いいのです。さすが結葉様、よく分かってますね。


〖サーヤ、気持ちよさそうね〗

『実際、気持ちいいですから』

『ジーニ様とフゥさんも、気持ちよさそうです』

〖『もちろん!』〗

『そ、そうですよね』

山桜桃ちゃん、その二人にそれは愚問ってやつですよ。


そう、今、ドワーフのおかみさんたちも一緒に温泉に来ています。

突然始まったアルミホイル作成大会で、お疲れな体をみんなで癒しにきました。


クゥと、春陽くんと、大工のおっちゃんたち男性陣は、ごめんね?

『まあ、仕方ない』

『後で浸からせてもらうさ』

『お気になさらず』

ありがとう。


結葉様に抱っこされて、まったりしてると、ずーっと、うずうずしてたアイナ様がサーヤに手を差し出してきました。


『お母様、そろそろ変わってくださいませ。私もサーヤちゃんを抱っこしたいですわ』

『え~?サーヤのもちもちぷにぷには、気持ちいいのにぃ』

え~?それほどでも~


『だからこそ、変わってくださいませ。お母様ばっかりずるいですわ!独り占めはダメですわ!』

え~サーヤ、のぼせちゃうよ~。まだ平気だけど~。ふい~ぃ。


『も~。仕方ないわねぇ。はい、サーヤ後で戻ってきてねぇ』

さあ?それはどうでしょう?


『うふふ。やっとサーヤちゃんを抱っこ出来ましたわ。は~ああ、気持ちいいですわぁ。本当にもちもちぷにぷにですわぁ。癒されますわぁ』すりすり

「ふにゅ~」

アイナ様も柔らかいですよ。寝ちゃいそうです。ふい~ぃ。


『にゃにゃっ?そんなに気持ちいいのかにゃ?サーヤちゃん、ニャーニャを抱っこしてにゃ』

「あい~いいよ~」

ニャーニャにゃんが、アイナ様のとろける顔を見て気になったみたいです。ニャーニャにゃんは、サーヤ抱っこできないからね。お手々を伸ばして抱っこします。ふい~ぃ。


『ふにゃ~。たしかに、ぷにぷにもちもちにゃ~。極楽度が増したにゃ~』

そうですか?それは良かったです。ふい~。ごくらくごくらく~。


『それにしても、この温泉ってのは気持ちいいねぇ』

『さっき使わせてもらったボディソープに、シャンプー、それからトリートメントだっけ?』

『うんうん。こりゃすごいよね』

おかみさんたちも気に入ったみたいです。


『『『また入りたいねぇ』』』


キラーンっ!おお、今こそ、お願いの、時!

「しょ⋯」

〖そうなのよ!〗ザバーッ

「ふおっ!?」ビクッ

『きゃあっ!?』

『にゃっ!?』

『またぁ?』

ジーニ様!?サーヤのセリフ?


〖私はサーヤに教わって初めて温泉!お風呂!スキンケアの重要性を知ったわ!〗

ジーニ様?そんな握りこぶし作って力説しなくても!?


『お、おお?』

『な、なんだいなんだい?』

『ジ、ジーニ様?落ち着いて!見えてる!見えてるよ!』

ドワーフさんたちも慌ててジーニ様を落ち着かせようとしています。


『いいえ!落ち着いてる場合ではないのです!』ザバーッ

こっちも!?


『きゃーっフゥさん!落ち着いて!見えちゃいますから!』

隣にいた山桜桃ちゃんが腰にしがみついてフゥを沈めてます。ごめんね、山桜桃ちゃん、フゥがご迷惑をお掛けして⋯


〖サーヤに出会って、私の肌は若返ったわ!でも、温泉がひとつしかないのは大問題よ!もっと自由に!もっと頻繁に入れる環境が必要なのよ!〗

ジ、ジーニ様?


『そうです!毎回時間を気にして入るのではなく、もっとゆっくり入りたいのです!』

フ、フゥ?言葉遣いまで変だよ?


『そ、そうなのかい?』

『まあ、たしかに、毎回ここまで来るのも大変だよね』

『温泉が気持ちいいのも、分かるしね』

おかみさんたちが流されだした?


〖そうでしょう!?そうよね?だからね!家にもこんなお風呂が欲しいのよ!〗

『そうです!出来れば男女別々に!』

〖『出来れば温泉で!』〗

お、おおう。すごい迫力です。


『そ、そうだね。家にあれば湯冷めもしないしね』

『たしかに、家にあったら便利だよね』

『天気にも左右されないしね。そ、それで?』

おかみさんたち、いつもの勢いが出せないほど、ジーニ様とフゥに押されてます!


〖作ってちょうだい!〗

『そうです!作って下さい!』

おおう?主語がないよ?


『な、何を?』

『どこに』

『作るんだい?』

今までの流れで予想はしてるけど、一応、確認するおかみさんたち。ジリジリと温泉の縁に追いやられてます。

サーヤもお家にお風呂は欲しいけど、おかみさんたちが可哀想に見えてきました。あわわわわ。


〖もちろん、家の中にお風呂よ!温泉よ!〗

『その通りです!』

あああ、おかみさんたち、もうあとがない!


『わ、分かったよ。ただ』

『私たちゃ、さすがに建物は』

『う、うちのやつに言ってくれるかい?』

そりゃそうですね。


〖『ちっ』〗

ほえ?ちっ?


『あ、あの』

『ちゃんと口添えはするからさ。ね?』

『も、もちろんだよ!』

おかみさんたち、ついに抱き合って震えてます。


〖そう。よろしくね?約束よ〗にぃっこり。

『約束ですよ』にぃっこり。


『『『あ、ああ』』』こくこくこく

あ~あ。おかみさんたち、かわいそう⋯


ぺちぺち、ぺちぺちっ

ん?またおでこが?

『サ、サーヤ、あれはなんなのだ?病気なのだ?』

「ふあっ」

ひ、姫ちゃん!なんてことを!

みゃ?『びょうきにゃ?』

こ、ココロまで?

「あわわ」

『しぃっ!ですわ!』

『そうにゃ!しぃっ!にゃ』

こくこくこくこく

『そうよぉ、あれはもう名物なのよぉ。おぼえましょうねぇ』

結葉様まで!?なんてことを

「あわわわわ」

『そうなのだ?』

みゃ!『おぼえたにゃ!』

なんか違う気がするよ~?


『サーヤ~。いいんだよ~』

ぴゅいきゅい『『かかわっちゃ』』

『『負け~』』

『かれいに』

『スルー~』

『すべし~』

み、みんな?どこでそんなことを?

きゅるる~ん『『『おいちゃんが』』』

きゅるる~ん『『『『おしえてくれた~』』』』

い、いつの間に?

きゅるるん『正しいわね』

ぷるん『正論』

ぷゆんぷゆん『『『⋯⋯』』』こくこく

『はい』

絹さんに、アウルとちびすらちゃんたちに、山桜桃ちゃんまで?

みんな悟り開いてる⋯


〖『うふふふふ』〗


『『『ひいっ』』』がくがくぶるぶる


おかみさんたち、温泉の中なのに震えてるよ。逃げて~


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます(*^^*)

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