第357話 ドワーフさんたちが見たいものとは?

ドワーフのおっちゃんとジーニ様が声を揃えて、『服』だと言い切った。


『なるほど!確かに必ず身につけるね』

『いくらでもやりようがあるね!』

『でもさ、そうすると服を着ないギン様たちはどうするよ?』

『それこそ目立つ奴と、毛に隠れるような奴を作ればいいんじゃないか?』

ドワーフさんたちが盛り上がりだしました。


『ねぇえ?でも、どうやって石を服にバレないように付けるのぉ?』

結葉様が聞きます。ドワーフさんたち以外は思い浮かばないみたいです。


『色々あるよ。簡単なとこだとボタンにしちまうとか、飾り刺繍に使ったり』

『ベルトとかにも装飾に使えるね』

『隠すことにこだわるならポケットの内側とか、折り返しの内側とかね』

『それによ。ゲンとサーヤが面白いもん持ってたんだよ』ニヤリ

ドワーフのおっちゃんが悪いお顔です。それを見ておかみさんたちも思い出しみたいです。

『ああ、あれだね?』ニヤリ

『あれは見事だったね』ニヤリ

『是非取り入れたいね』ニヤリ



ぞくうっ「ぴゃっ?」

ぞくぞくうっ『うおっ?』


『どうしたの~?サーヤ』

「う、うにゅ?わかりゃないけど、ぞくうっちぇ?」

ぴゅいきゅい『『だいじょうぶ~?』』

「あ、あい?」



『どうしたよ?ゲン』

『わ、分からんが悪寒が』

『風邪か?』

『違うような?』

『じゃあ、誰か噂してんだな。ワハハ』


違う場所にいるにも関わらず、同じようなやり取りが⋯



〖サーヤが持ってたの?〗

〖ということは、ゲンが持って来てくれた物の中にあったのですね?〗

〖ふむ。では、今一度見せてもらいましょうか〗

神様たちが話し合います。


『『『ほんとかい?』』』

『ゆっくり見てえな。ありゃ、すげぇよな』

ドワーフさんたちがまた大興奮です。


〖ですが、いいですね?あれらの品は全てサーヤの大事な宝物。もし、汚したり、まして壊すようなことがあれば⋯〗ひゅお~おぉぉ


『わ、分かってるよ』

『『『うんうん』』』

一斉に借りてきた猫よろしく、大人しくなるドワーフさんたち。さすがエル様。


〖そ、それじゃ、サーヤを呼びましょうか〗

〖そ、そうですね。お母様〗

『わ、私が呼んでまいります。ジーニ様、シア様』

〖〖よ、よろしくね。ギン〗〗

エル様の冷気に当てられ、とばっちりを受ける前に動き出す面々⋯

〖何か?〗

〖〖い、いいえ?〗〗

触らぬエル様に、なんとかは無し⋯


『サーヤ』

『あ~お父さん。どうしたの~?』

ハクがギン様にてってっと近づきます。

『サーヤを神様方がお呼びなんだ。みんなも来なさい』

『ジーニ様たちが~?』

『ああ。ドワーフたちがサーヤと、おばあさんの裁縫道具をもう一度見⋯』

きゅるる『さあ、早く行こう』サッ!

「うにゅ?」

シャカシャカシャカシャカ

「ほえ~?」

きゅるる~ん『『『『『『『いそごう~!!』』』』』』』

しゃかしゃかしゃかしゃかっ


『あ、あら?サーヤが攫われたわ』

白雪びっくり。ギン様の言葉が終わらない内にサーヤが攫われました。


『わ~絹さん速い~!』

ぴゅいきゅい『『おいかけなきゃ~』』

『『わ~』』

『『『いそげ~』』』

みゃみゃ?『なんにゃなんにゃ?』

『わ~子グモちゃんたちも速いのだ』


『全く、落ち着きがないな』ふぅ

そう言いながら、前をゆくちびっこ達を追いかけるギン様。

ただし、


ひょいっぱくっぽいっ

『わ~?もふもふなのだ!』

ひょいっぱくっぽいっ

みゃ?『にゃ?もふもふにゃ~』


遅れているちびっ子を次々に自分の背中に乗せながら走っていくギン様。しまいには背中はもふもふを堪能するちびっこだらけになっていた。

『もふもふなのだ~♪』

みゃ~『しあわせにゃ~♪』

『『『もふもふもふもふ~♪』』』

『『さすがギン様~♪』』

ぴゅいきゅい『『きもち~♪』』

『あ~みんなずるい~。僕のお父さんなのに~』

ハク以外は。


『ハクは足が速くなったな』

『そうね。ハクは速くなったわね』

『ほんと~?ならいっか~♪』

ギン様と白雪に褒められて嬉しいハクでした。


「ほえ~?」

そして、一人なんだか訳が分からないサーヤ。

きゅるる『さあ。サーヤ、お願い』

きゅるるん『『『おねがい♪』』』

きゅるるん『『『『みせて~♪』』』』

「ほえ?」何を?

話についていけません。


〖ごめんね、サーヤ。サーヤとおばあちゃんのお裁縫箱の中にね、これからに役立ちそうな物があったのを、ドワーフさんたちが思い出したらしいの〗

「う?」

お裁縫箱に?ジーニ様のお顔がごめんね言ってます。


〖決して汚したり壊したりしないと約束していただきましたから、見せていただけますか?〗

エル様の言葉に、ドワーフさんたちが首を縦にぶんぶんです。首、取れちゃうよ?


「わかっちゃ~」

みんなが何かすごいきらきらおめ目で見てる気が?ポシェットを、「よいちょ」と、テーブルにおいてお裁縫箱を出します。

「よいちょよいちょ」

サーヤのと、おばあちゃんのを並べます。


『はぁ~やっぱり何度見ても感動だねぇ』

『すごいね。これぞ職人技だよねぇ』

『是非ともチャレンジしないとねぇ』

『それもだけどよ、あれだろアレ』

『『『そうだったね』』』

ドワーフさんたちの興奮がすごいですね~。ついでに絹さん親子もキラキラです。


「どりぇ~?」

何が見たいのかな?


『まずは瓶に入った小さい石みたいのあったろ?あれとな』

『布でくるんだようなボタンもあったよね』

『それと糸とハギレを見せて欲しいんだよ。お願いできるかい?』

『特に糸を頼むよ』


ふむふむ?

「わかっちゃ~。えっちょ、びーじゅ?」

たぶんビーズかな?と思っていくつか出します。


〖これは何?こんなに小さいのに、穴が空いてるのね?〗

ジーニ様がすごい不思議そうなお顔で見てます。


「あい。がりゃしゅ、いち、き、ちょか、いりょんにゃの、ありゅ。んちょ、こんなかんじなりゅ」

おばあちゃんと一緒に作ったビーズのブレスレットや、お花のモチーフ、刺繍などを見せます。


『へぇ~すごいわねぇ。ガラスに、石に、木?石なんてピカピカよぉ』

『天然石のようですわね。ほんと触り心地も気持ちいいですわ。それに、この形』

『色んなことできるにゃね~』

アイナ様が手に取っているのは、ビーズをテグスで花の形に編んだブレスレット。


「あい。いりょんにゃの、ちゅくれりゅ」

そう言いながら、色んな金座や、丸カンの入った瓶も出す。


『これの形しだいで色んなことができるんだね?』

瓶をかざしてしげしげと見つめるおかみさん。


「あい。しょだよ」

パーツは沢山種類あるよ。イヤリングとか、かんざしとかも出来ます。


〖この透明な糸?こっちは鉄の糸?こんなことが?〗

ジーニ様が見てるのは


「てぐしゅ、はりがにぇ」

〖テグスに針金っていうの?〗

「あい。いりょんにゃ、ふとしゃ、ありゅ」

使い方で変えるんだよ。


『そう。まずはこれだよ。これなら小さい石を集められる。それにこの瓶に入ってるパーツや針金。これも素材を変えれば』

〖なるほど、ミスリルなどにですね?〗

『そうだ』

うんと、頷くおっちゃんたち。


「あちょ、こりぇ?ぼちゃん」

たぶん、なかでも

「くりゅみぼちゃん。へあごむちょかも、できりゅ」

たぶん、これだと思うんだ~


『そうそう!これだよ!これなら布で中の素材を隠せちまう!』

『なんでもありだよね?』

『ヘアゴムってなんだい?』


「んちょ、こりぇー。かみにょけ、むしゅんだりしゅる」

それを見せると


きゅるる『そのゴムもすごいのよね!』

きゅるるん『『『のびのび~』』』

きゅるるん『『『『すご~い!』』』』

絹さんたちも食いついた!


『へえ、絹さん似た感じの作れないのかい?』

きゅるる『研究中』


絹さん研究してたんだ。あれ?でも、たしか⋯

「ごむは、ごむにょき?」

なんか樹液?


『ええ?サーヤ、これも植物からできるのぉ?』

流石の結葉様もびっくりみたいだけど、

「たちか、しょうだった」

と、思う?

『うふふ。サーヤ、作りましょう?大丈夫。手伝うわぁ』にっこり

「あ、あい」

結葉様がやる気だ!え、えっと、あとは


「はぎりぇちょ、いちょ」

おばあちゃんのお裁縫箱。糸の中からドワーフさんたちが⋯


『これだよ。これ』ニヤリ

『『『これだね』』』ニヤリ

悪いお顔再びです。恐る恐る指さす先を見ると


あっ、それかぁ~。なるほど~。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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