第339話 実験は成功したけど⋯

実験は成功したけど、それは良かったんだけど、だけど、ジーニ様たちが周りをずら~って囲んでます。

こわこわこわこわ⋯


『サ、サーヤちゃん』

「ゆすらちゃん」

ギューッと抱き合ってがたぶる⋯違った、ガクブルです。


〖サーヤ、山桜桃、それは何?〗


ジーニ様、怖いです。笑顔なのに笑ってないですっ


「じ、じっけん、ちたにょ」

こくこくこくこく。

山桜桃ちゃんがサーヤの言葉にこくこくしてます。


〖実験?色んな形にすること?〗


ぶんぶん。首を横に振って答えます。

「いりょんにゃ、かたちできりゅ、ちってた。えちょか、じちょか」

『へ~絵とか字も出来るのねぇ?面白いわねぇ。あとでやってみようかしらぁ』

結葉様が楽しそうに言ってます。色々やってみてね。


『じゃあ、実験は果物かい』

『あれは色々出来そうだね』

『初めに生地に何か混ぜ込んでも良さそうだね』

さすがドワーフのおかみさんたちです。鋭い!


「しょれも、ありゅ。まっちゃ、ふりゅーちゅ、よーぐりゅちょ、ちょこ」

指を折りながら思いついたのを言っていくと


『サーヤ、ちょこ、とは何かの?』

『フルーツと、ヨーグルトは分かるのぉ。抹茶も緑茶で作るとゲンが言っておったしのぉ。じゃが』

『『ちょこ、は初耳だの(ぉ)』』


そ、そうでした。まだなかった~!

「かかお、っちぇ、おまめかりゃ、ちゅくりゅ、あみゃ~い、おかち」

でも、作り方知らない~


『おかし?』

『絶対、美味しいやつ』

揚羽ちゃん牡丹ちゃんまで!


『でもぉ、ゲンがいないと作れないってことねぇ?』

「あい」

結葉様、その通りです。


〖それでは、ちょこ、は今は保留で大丈夫ですね。では、実験は果物を乗せて焼くことですね?〗


エル様まで?でも、その通りなので、こくこくしておきます。

「ひっくりかえしぇりゅかにゃ?の、じっけん」

美味しいのは分かってたから~。あ、でも、なんのフルーツが美味しいかは、また、じっけん~♪


〖なるほど。結果は成功だったわけですね〗

「あい」

大成功だよ。シア様もやってみてね♪


『でも、サーヤちゃんでしたら、魔法でも出来たのではないでしょうか?』

『そうにゃね~。風か空の魔法で出来そうにゃね~』


「ほえ?」

『あっ?』

アイナ様とニャーニャにゃんの爆弾発言に、山桜桃ちゃんと思わず見つめあっちゃいました。


「しょ、しょんにゃ、うらわじゃが」

『お、思いつきもしませんでした』

お料理は、ちゃんとお手手でっとしか思ってませんでした。


「おばあちゃん、おいちくなぁりぇ、げんきなぁりぇ、あいじょうこめちぇ、ちゅくりゅかりゃ、おいち、いっちぇちゃ」

丁寧に感謝しながら作るんだよ。


『まあ!そうですわね。その通りですわ。素敵なおばあちゃんですわね。美味しくなぁれ、元気になぁれですか。私もやってみますわ!』

『そうにゃね。ニャーニャも感謝しながら丁寧にやってみるにゃ!』

「あい!」

やってみて!おいしくなるよ!


〖そうね。私も愛情込めて作ろうかしら〗

〖お父様にですか?〗くすっ

〖ち、違うわよ!何言ってるのよ!?サーヤによっ〗

〖はいはい。そうですね〗くすくす

え~?そこはイル様にあげようよ~。泣いちゃうよ~?


『いいおばあちゃんだねぇ。サーヤちゃんがちっこいのに、よくお手伝いしてたのも頷けるね』

『サーヤちゃんのことを思いながら、愛情込めて作ってたのが分かるね』

『ほんとだね。サーヤちゃん、おばあちゃんと一緒にお料理楽しかったんだね?』

「あい!たにょちい!」にぱあっ

おかみさんたち、すごいね!よくわかったね!

あれ?ジーニ様たちなんか泣いてる?気のせいかな?


『まあ、料理は慣れだしね』

『手に伝わる感触みたいのもあるしね』

『それに、適した魔法をみんなが使えるわけじゃないしね』

ドワーフのおかみさんたちが、

『思いつかなくても仕方ないさね~』

と、言ってくれます。そうだよね?そうだよね?


『ん~そうだよな?魔法を使わないでも簡単にひっくり返したり、色んな形が出来たらいいよな?』

ドワーフのおっちゃんが考え込むように言ってます。

でも、そういうのあったね!


「しょういうにょ、あっちゃ」


『え?どういうやつだ?』


ん~?と思い出してみるけどぉ、ぷにぷにシリコンはここには無いから~?その前は


「ぎんいりょちょか、くりょい、きんじょくで~、いろんにゃかちゃち」

でも、あれは何か塗ってあったのかな~?


『金属?加工しやすくて、料理に使うなら伝導率が良い奴だよな?』

おっちゃんがぶつぶつ言ってます。

『サーヤが集めてくれた素材の中だと、鉄鉱石、魔鉱石、伝導率上げたいなら銅を混ぜるとかな』

そう言いながらポケットから出した石を並べていくおっちゃん。


「どう?」

銅なら確か、おばあちゃんが言ってた

「こーきゅーひん♪」


『え?銅が高級?ミスリルとかを高級ってぇなら分かるが⋯』


「う?」

違うよ。素材じゃないよ?


「しょくにんしゃんにょ、ぎじゅちゅ、でんちょう、こころいき。が、こーきゅーひんを、こーきゅーひんたりゃしめりゅにょよ!って、おばあちゃんが」

叫んでたよ?拳握って。


『職人の技術、伝統、心粋が、高級品を高級品たらしめる』

ドワーフさん達がサーヤの言葉を何故か繰り返してますが、続きがあるんですよ。


「てちゅ、どう、あるみ、しゅ⋯すてんれす、ほーろー、おなべ、いりょいりょ。ほかにみょ、もっこうちょか、いりょいりょ。しょくにんしゃん、とんてんかんてん、がんばっちゃ。できあがっちゃ、しゅべてにょ、しゃくひんは、なんであっちぇも、ちちょ、なみだちょ、あせにょ、けっしょう!だいじ、ちゅかわにゃいちょ、ばち、あちゃりゅのよ~!って、おばあちゃんが」

叫んでたよ?拳突き上げて。


『鉄、銅、アルミ?ステンレス?ホーロー?知らない名前があるな。鍋だけでもそんなに可能性があるのか⋯でも、それより』

『ああ。そうさね。鉄工、木工に関わらず』

『出来上がった全ての作品は』

『職人の血と汗と涙の結晶』

『大事に使わないとバチが当たる。ってかい⋯』

なんか、すごくしみじみと、噛み締めてる?すると、突然


くうぅ⋯っ!

『泣けてくるぜぇ』


「ほえ?」

泣けてくる?え?本当に泣いてる?


『『『サーヤちゃん!』』』

「あ、あい!?」

なんですか!?おかみさんたち?す、すごい勢いです!


『サーヤちゃんのおばあちゃん、最高だよ!』

『ああ!本当だよ!』

『職人の心粋の何たるかを分かってくれるなんて!』

『『『素晴らしいよ~』』』

おいおいおいおい~


え~?みんな、泣いちゃった!?

どどど、どうしよう!?

「ゆすらちゃん、どうちよう!?」

山桜桃ちゃんを見ると、

「ふええ!?」

顔をそらして泣いてる?なんで!?

「ふああ?」

み、みんな、どうしよう?ジーニ様達に目を向けると、

「ふみゃあ!?」

みんなまで!?


〖ううっ、さ、サーヤが今までで一番長くおしゃべりしたわ〗

『ほんとねぇ。がんばったわぁ』

ううっ


「ほ、ほえ?」

そっち?


〖この場にいられて良かったです〗

〖お父様が悔しがるでしょうね〗

ううっ


「ふええ?」

えええ?そんな?


おいおいおいおいっ

みんなが泣いてるよ!?


「どうちたら?」

おろおろおろおろ



ところで、サーヤがオロオロしているそばでは⋯

『おいしいね~』はぐはぐ

ぴゅいきゅい『『どんどんやこ~♪』』

『『フルーツの新しい発見!』』

『おやさいも』

『おいしいよ~』

『じっけん~』

みゃ~『あま~くておいしいにゃ~』

『やっぱりサーヤのそばで正解ね』

『外せないな』

夢中で焼いては食べ続ける、ちびっこたちとフゥたち


『あ、あの、皆さん?サーヤちゃんを助けなくても?あのっ』

ひとりワタワタする春陽ちゃんに

『春陽兄ちゃん、無理だと思うんだな』

『待つしかないと思うんだな』

『そうなんだな』

『『『かわいそうなんだどもなぁ』』』

冷静なぽぽちゃん兄弟

『そ、そんな⋯』

でも、たしかにどうしようもない⋯。心の中で、サーヤちゃんすみませんすみませんっと謝る春陽くん



「しょ、しょんな⋯」

それを見て春陽くんと同じつぶやきをしてしまうサーヤでした。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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