第324話 ちょっきんちょっきんちょっきんにゃ~♪


「しゃきーんっ!」

はさみ準備オッケー!めーめーさんたちを助けるぞ!


『いやいや』

『届かないでしょ』

白黒コンビが鋭いツッコミ。

『いやいや』

『誰もが気づく』

⋯そんなことないもん。


『はいはい。ほらぁ、クゥ!ぼーっとしてないでサーヤを抱っこしてぇ』

結葉様がクゥに言います。


『は、はい。で、でも大丈夫なのかな?』

戸惑いながらも結葉様に従うクゥ。

『ほらぁ、フゥもサーヤを支えてぇ』

『は、はい!う~ん大丈夫かしら?』

フゥもクゥも失礼ですね!大丈夫ですよぉ!しゃきーん!


『め~?危ない危ない!』

『めめっ!?ぷるぷるしてるよな?』

めーめーさんたちも、大丈夫ですよ?これは武者震いですよ?

気合いじゅうぶんですよ?

かちゃかちゃかちゃかちゃ


『めーめーさん。大丈夫よぉ。ほらぁ、切る部分は私が持つから♪』

ほら!結葉様も大丈夫だって!


『めめっ?かえって怖い!?』

『めー!せめて!せめて先に違うとこで練習を!』


ええ~?練習?

『なんかぁ、私、今さりげなく貶されたようなぁ?』

ん?そうだったかな?


『そ、そうだよ!サーヤ!練習!練習しよう!』

『そ、そうね!めーめーさんだっていきなり目元は怖いかもよ?ほら、背中あたりで一度、ね?』


フゥとクゥがめーめーさんと同じこと言います。

でも、そっかあ~たしかに、怖いかな?


「わかっちゃ~」

『そうね~じゃあ、背中で試しましょうかぁ?』

「あ~い」

練習大事!


『『よ、よかった⋯』』

『めー。フゥ、クゥありがとう』

『めー。助かったよ』

『『いえいえ』』

なんですか?大丈夫だよ?しゃきーん!


『はい。じゃあ、このあたり切ってみましょうかぁ』

「あ~い」

結葉様が切る部分を伸ばしてくれます。

『肌を傷つけないようにね』

『結葉様の両手で持ってくれてるからな。手と手の間を切るんだぞ』

分かってますよ~?フゥもクゥも心配症ですね。ぷるぷるぷる。あっ武者震いが⋯


『ゆっくり、ゆっくりでいいからな?』

『あせらないでね?ね?』

分かってるってば~


『めー。神さま仏さま⋯』ぶつぶつ

『めー。がんばれ、お前』

めーめーさんたちも心配し過ぎだよ~。ぷんだ。いくよ~


『いっちゃいましょ~♪』

結葉様が楽しそうですね。では、


「えいっ」ちょっきん!


『『ひいっ』』

『『めめめめっ』』

フゥとクゥ、ひいってなんですか?めーめーさんたちも~


『すごいわ~。切れたわよぉ』

結葉様が切り取った部分を見せてくれます。

「やっちゃ~あ♪」

だから大丈夫って言ったでしょ?


『『へっ?』』

『め~。よかったよぉ。あんたぁ』

『め~!お前~!』

おおげさですよ?ぷんだ。


『でも、やっぱり少しずつしか切れないわねぇ。体全体はむりねぇ』

『そうですね。目と、せいぜい口周り?』

『そうですよね。ご飯が食べられればね』

『めー。そうね』

『めー。それじゃ、たのむよ。な?みんな』

『めー。覚悟は決めたわ』

『めー。ああ。一思いにやってくれい』

だから、大丈夫だってば!

「ぶー」


『じゃあ、サーヤ。この辺りからいきましょうかぁ。はい♪』

「ちょっきん♪」

『はい♪』

「ちょっきん♪」

結葉様との共同作業⋯

『おれたちだって』

『支えてるわよ』

結葉様と、クゥとフゥと共同作業で、どんどん切っていきます。

『はい♪』

「ちょっきん♪」

ちょっきんちょっきん♪ちょっきんな~♪


そんなこんなで、


『おお。一匹目』

『成功めでたい』

『良かったわね~』

『頑張ったわね~』

『偉かったわね~』

精霊さんたちありがとう。頑張りました。ふい~


『やったね~サーヤ~』

ぴゅいきゅい『『すごいすごい!』』

『くりくりおめめが』

『見えるようになったね!』

『でも~』

『そこだけぱっつん~』

『なんかおもしろい~』


それはしかたないの~


みゃ~『あとで、おやかたがなんとかしてくれるにゃ~』


そうだよね~


きゅるる~ん『『『むすびはさま~』』』

きゅるる~ん『『『『それみせて~』』』』


『これねぇ?はい。どうぞぉ』


きゅるる~ん『『『『『『『わ~い!』』』』』』』


ちびっこ同盟は喜んでくれてるよ?子グモさん達は切り取ったもふもふに興味津々みたいだけど。


『め~。世界が広くなった気がするめ~』


『良かったわぁ。この調子なら何とかなりそうねぇ』

「あい」

良かった~


『め~。はやく他のみんなもお願いめ~』


『了解よぉ。さあ、じゃあ、サーヤ。どんどんやりましょうかぁ』

「あ~い」

まだまだめーめーさん待ってます!

そこからはお目目に気をつけて


「ちょっきんちょっきんちょっきんにゃ~♪」

がんばってちょっきんするよ!


『あれは歌?』

『呪文?』

なんですか?白黒コンビ。ちゃんと歌ですよ?

『可愛いからいいじゃない』

『そうそう。歌いながらの方がスピードも上がるみたいよ?』

『サーヤ、その調子よ』

ありがとう。らんちゃんたち。

とりあえず、お目目見えるようにして、終わった子からご飯食べてもらってます。


『め~。ありがとう』

「どいたちまちて~」にこにこ

『はい。次ねぇ』

「あ~い」にこにこ

『サーヤ、頑張れ』

『もう一息よ』

「あい!」

フゥとクゥもやっと大丈夫だと思ってくれたみたいです。


そして、どんどん切っていると⋯


『え?どういうことですの?』

『き、切れてるにゃ?』

呆然とするアイナ様とニャーニャにゃん。それに


『サーヤ、それ、お道具箱のハサミか?しかも、普通の?』

おいちゃんもびっくりしてます。


「あい。きんきゅーじたい。だかりゃ、さーや、かんがえちゃ」

だめだった?しゅん⋯


『あのねぇ。めーめーさんたち、お腹すいてたんだけどぉ、目が見えなくて上手にご飯食べられなかったのよぉ。お水も同じでねぇ』

ちょっと落ち込んだサーヤの頭をなでなでしながら結葉様が説明してくれます。


『あっご飯。たしかにこれじゃ食べられませんわね』

『しまったにゃ』

『そうか、悪かったな。サーヤ、よく気づいたな。ありがとな』

アイナ様たちも気づいたみたいです。おいちゃんもありがとうって!ダメじゃなかったみたいです。

「あい!」


『それでね~?初めは子グモさんたちの提案で、紐で結んでみたんだけどぉ』

きゅるる~ん『『『だめだったの』』』

きゅるる~ん『『『『バサッと、しゅるんっだったの』』』』

そうなんだよね~


『それでね、やっぱり切るしかないわね~って話したらぁ、サーヤがお道具箱のハサミを思い出してくれてねぇ』

『サーヤが持ってるハサミを見せてくれたんです』

『そこのお道具箱⋯あっ!』

あっ?クゥが急に叫んだので、みんなでお道具箱の方を見ると


「ふあっ!」

『あらぁ!大変~』

『おい!分解するな!』

『『わ~っ』』

ぴゅいきゅい『『だめ~』』

『『待って~』』

『『『それサーヤの~』』』

みゃ『まつにゃ~』

きゅるる~ん『『『『『『『わ~!おかあさ~ん』』』』』』』

ドワーフさんたちが~!!


『まあ!親方!』

『触っちゃダメにゃ~!』

皆で慌てて駆け寄ります!


『なんだこりゃ?』

『凄いね。こんなの初めて見たよ』

『どうなってんだこりゃ?』

『この刃!業もんだね』

『見ろよ、これ』

『すごいね。手に吸い付くようだよ』

まさに分解しそうな勢いです。その横で


『あのあの!ダメです!』

『サーヤちゃんの宝物なんです!』

山桜桃ちゃんと春陽くんが一生懸命言うけど聞いてくれません。


『この箱なんだい?』

『これも綺麗だな』

「ふあーっ?」

お道具箱~!一応、ハサミだけ使うかもしれないから即席テーブルに並べて、

『あとは大事な宝物なんだからなくさないようにしまって、蓋しておきましょうねぇ』

って、結葉様が閉めてくれてたのに、開けようとしてます!わ~!!

その時、シュンッ


〖何をしているのかしら?〗

〖ダメですよ。それはサーヤの宝物です〗

〖サーヤの許可なく触ることは許しませんよ〗

神様三人がシュンッと現れて

ドスの効いた声でドワーフさんたちを威圧してます。


『お、おう。すまん』

『あまりに凄いものだったんで』

『『『『申し訳ありませんでした』』』』

すごいです。ドワーフさんたちいっせいに土下座です。この世界にも土下座ってあるんだね~。なんにしても、


「よかっちゃ。ぶじだっちゃ~」

ほ~っ


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m

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