第319話 そして、誰も⋯

ちょっと目を離していた隙に、一体何が起こったのでしょうか?


『⋯ニャーニャ、今、何が起こったのでしょうか?』

『にゃ、にゃんだろにゃ?』


お母様から、わんちゃんの籠を渡されて、

『ちょっと見ててね~♪』

と、言われたのでニャーニャと見ていた時でしたわ。

サーヤちゃんの魔力が地の表面をサーっと駆け抜けて行ったと思ったら、ある特定の物だけが、サーっとサーヤちゃんの元へと集まった⋯ような?


『と、とにかく見に行きますわよ』

『はいにゃ』


慌ててニャーニャとサーヤちゃんたちの元へ駆けつけたのですわ。

すると

『『『えええ?』』』

『『『はああ?』』』

と、叫ぶ親方たちドワーフと、

〖〖〖⋯⋯⋯〗〗〗

と、無言で立ち尽くすジーニ様たちの姿が⋯

ただ事では無いことは分かりましたわ。


『な、何があったのでしょうか?』

『さ、さあ?わからにゃいにゃ』


すると、サーヤちゃんが足元にある塊を持ち上げようとして


「うにゅ~ぅ、ふぎゃっ」ぽすんっ


重くて持ち上がらなかったのか、尻もちをついてしまいましたの。


『サーヤちゃん、大丈夫ですか?』

『大丈夫かにゃ?何を持ち上げようとした⋯んにゃあ!?』


ニャーニャと二人、急いでサーヤちゃんの元へ。

私がサーヤちゃんを起こしてお尻についた土を払っていると、サーヤちゃんが持ち上げようとしていた物を確認したニャーニャが、何やら不思議な声を上げましたの。


『ニャーニャ?どうしました⋯かぁ!?』


こ、これは?


私も、そこにあるものが信じられず、思わず固まってしまいましたわ。


『ゲ、ゲンさん?これは⋯?』

『き、聞いて良い奴かにゃ?』

まさか、まさかですわよね?


『あ~。すまん。また、サーヤがやらかしたみたいなんだ』ぐりぐり

「えへ~?」てれてれ


ゲンさんがサーヤちゃんの頭をなんとも言えない顔でぐりぐりして、サーヤちゃんが可愛らしく、

「えへ~?」

と照れたように笑っていますが⋯


『これを『やらかした』の一言で済まそうとするゲンさんもすごいにゃ』

ニャーニャが呆れたように言いましたが、激しく同意ですわ。


『サーヤ、もう一度説明してみろ』

ゲンさんがサーヤちゃんに説明するように促すと


「みしゅりりゅしゃん、じしゃくみちゃいに、くっちゅくかにゃ?おもっちゃりゃ、くっちゅいちゃ!」にぱあっ

サーヤちゃんがにこにこと説明してくれてますが


『はい?』

『んにゃ?』

さっぱり分かりませんわ。すると


『だよなぁ~?聞いただけじゃ分からないよな。論より証拠。サーヤ、さっきより広めに集めてみたらどうだ?』


『え?』

『にゃ?』

え?ちょ、ちょっとお待ちくださいませ⋯


「あ~い!みしゅりりゅしゃん、あちゅまれ~!」


『ええっ?』

『にゃにゃっ?』

ちょちょ、ちょっと待っ⋯!

さ~っと広がるサーヤちゃんの魔力。そして⋯


しゅるしゅるしゅるしゅるしゅるしゅる~っ

かこーんっ!


しーん⋯


「ふぉ~?おっきくなっちゃ~♪」にこにこ


『『⋯⋯っ???』』

え、えええ?たしかに大きくなりましたけど?一体何が!?びっくりしすぎて声も出ませんわ


『そうだな。サーヤくらいの大きさになったな。でも、どうすんだ?これ。運べんのか?』


いえいえいえいえ!?問題はそこですの!?


「うにゅ?おいちゃん、いんべんちょり、ありゅ」

『ああ。そっか。ん?俺はそれで運べるけど、実際使うのは親方たちだろ?俺以外の人でも運べなきゃダメじゃないか?』


いえ、ですから、そういう問題では⋯


「あっ、しょっか~。わけりゅ?えっちょ、きんにょ、ぼう、みちゃい?」


え、えええ?分ける?金の棒?


『金の棒?ああ、金の延棒か?』

「しょう、しょれ」

『そうだな。でもよ?そんなこと出来るのか?』

「うにゅ?たびゅん?」


はい?ちょ、ちょっと待ってくださいませ。これ以上何か?


『じゃあ、取り敢えず、半分にしてみたらどうだ?』

「しょだね~」


いえいえいえいえいえいえ!ちょちょちょ、ほんとに待ってくださいませ⋯っ!


「みしゅりりゅしゃん、はんびゅんこ、できりゅ~?おにぇがい♪」

ぷるぷるっ、みよ~おおおんっ、ぷりっ


⋯はい?い、今?


「ふぉ~!できちゃ!」

『お~。できたな。なんか、アウルとアルがちびスラ産んだ時みたいだな?』

「たちかに~」


⋯⋯え?


ついに思考まで固まってしまったアイナ様。


『⋯あ~。ちょっと、気の毒。僕もだけど』

『大地、あなた今の出来ますか?』

『⋯水影、分かってて聞くなんて性格悪いよ。出来てたら、落ち込まないでしょ。思いつきもしなかったよ、あんなの』

『だよなぁ。流石の俺様も同情するぜ』

『⋯うるさいよ。華火のくせに』

『なんだとお!?』

『まあまあ、華火抑えてください』


つんつん

『固まってる』

つんつん

『こっちも』


アイナ様と、ニャーニャを突っつく牡丹と揚羽。ニャーニャもアイナ様より一足先に固まってたようだ。


『こっちも見事に固まってるわよ』

『気の毒に⋯』

晴嵐と鳴雷は動かないドワーフさんたちを見てため息をついている。


『あ、あの、神様方?ジーニ様?シア様?エルンスト様?大丈夫ですか?』

氷花がビクビクしながら神様たちに声をかけるが、やっぱり返事はない⋯


『なあ、サーヤ。これはミスリルってやつだけだよな?』

「うにゅ?あい」

『まだ小石、残ってるよな?』

「しょだね~」


『⋯え?ちょっと?』

『まさか?』

『ワハハ!⋯まさか、だよな?』

また何かしようとしているゲンとサーヤに気づいた精霊たち。


『ただの小石や土だけじゃなさそうだよな~』

「かんてい?しちぇみりゅ?」

『おっ!そうだよな!便利だよなぁ。これ!えっと、【鑑定】』

「おいちゃん、あっちゃ?」

『おお!あるある。んっと、これがオルハリコン?こっちがヒヒイロカネ?』


『『は?』』

『『『え?』』』

こちらも焦り始める精霊女性陣


『おお!どっちも武器向きなのか。特にこっち、ヒヒイロカネ?日本刀とかに向いてるみたいだな。これで包丁打ったら料理のレベル上がりそうだよな。畑仕事の鎌と鍬とかやっぱり道具は大事だよな』

「おお!みしちぇ~」

『おう!これだぞ』

「ん~おぼえちゃ~」


『⋯え?』

『覚えた?ですか?』

『おいおい?何をだ?』

嫌な汗が流れ出す精霊男性陣。


『よっしゃ!頼むぞ!サーヤ!』

「あ~い!おいちいごはんにょ、ちゃめ!おりはるこんしゃんは、こっち!ひひいろかねしゃんは、こっち!あちゅまれ~」


しゅるしゅるしゅる~


『『は?』』

『『『ええええ!?』』』

『⋯ちょっと』

『『これはさすがに』』


『『『待って待って待って~っ』』』

慌てる精霊陣。固まったままのその他の方たち。


さーっ。しゅるしゅるしゅるしゅるしゅるしゅる~っ

かしーんっ!がしーんっ!


「うにゅ~しゅくにゃい」

『そうだな~。希少ってなってるから少ないのかもなぁ』

そう言って集まったのは、それでも、サーヤの頭くらいの大きさの石が二つ。


『⋯あ~』

『やっちゃいましたね』

『マジかぁ』


『『ありゃ~』』

『『『うそぉ~』』』

精霊さんたち、今見た事が信じられません。


『まあ、もっとあるだろ!俺が畑を耕した時に見つけた石がインベントリにたくさん入ってるからな!畑に石はダメだからな!』

「しょっか~♪」

楽しそうなサーヤとおいちゃんを残し


『『『⋯⋯』』』

『『⋯⋯』』

『『『⋯⋯』』』


そして、だれも喋らなくなった⋯


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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