第62話 双子の自己紹介

『さあ、二人とも』

『ご挨拶しましょう』

さっきからモジモジしてフゥとクゥの足に隠れている双子。

そろ~っと半分顔を出しては、ぴゅって引っ込んで、またそろ~って出てます。

フゥとクゥが頑張れ!と前に押し出します。それでも緊張して固まってる双子の頭をフゥとクゥがぽんぽんってすると…


ぴゅいきゅい?『『お、おとうしゃん?』』

ぴゅぴゅ『モモでしゅ』

きゅきゅ『スイでしゅ』

ぴゅいきゅい『『はじめまちて』』

フゥとクゥを見たりお父さんを見たり、不安そうにしながらごあいさつ出来ました。


『ああ。はじめましてだな。モモとスイ、サーヤに名前をつけてもらったのか?』

お父さんの方も、なんだかカチコチです。


ぴゅいきゅい『『そうだよ』』

双子もなんとか頑張ってお話してます。


『そうか。良い名をつけてもらったな』

少しにっこり笑ってお父さんが言うと、安心したのか、嬉しかったのか、一気に…


きゅぴゅ『『あい!』』

きゅいきゅい『サーヤおなまえ、かんがえてくれたの』

ぴゅいぴゅい『サーヤあったかいの』

きゅいぴゅい!『だいすきなの!』

ぴゅいぴゅい『フゥとクゥも!』

きゅいきゅい『やさしいの!』

ぴゅいぴゅい『サーヤとモモとスイ』

きゅいきゅい『おそらから、いっちょにおちてたの!』

きゅいぴゅい『『たしゅけてくれたの!』』

パーッと、おめめキラキラさせてモモとスイは堰を切ったよう話し出しました。こんなことしてもらったんだよって、サーヤとフゥ、クゥの自慢話が混ざってます。


「さーにゃも、みんにゃだいすち!」

ぴゅいきゅい~『『うん!だいすき!』』

『ふ、二人とも落ち着いて』

『そうだぞ!ゆっくりな』

『サーヤも今はダメよ』

「あい。ごめしゃい」

お顔を真っ赤にしたフゥとクゥが慌てて止めてます。


『ははは、そうかそうか。フゥ、クゥ、子らが危ないところ助けてもらったのだな。ありがとう』

お父さんはお礼を言ってくれます。すごく偉いドラゴンさんにお礼を言われちゃったフゥとクゥはもうワタワタです。それで


『い、いえ 気にしないで下さい』

『そうです。それにおれたちもサーヤに頼まれて助けたんです!』

『だから、お礼ならサーヤに!』

なんて、言うんだよ。


「ふにゅ?どちて?さーにゃ、にゃにもちてにゃい何もしてない。ふぅ、くぅが、たしゅけちゃ助けた

サーヤは何もしてないよ?落ちてただけだよ?


『ふふ …いいや。サーヤも命の恩人だ。ありがとう』

お父さんがサーヤにもありがとうしてくれました。


「うにゅ~?まっいっかぁ」にぱっ

何にもしてないけど~。あっ!そうだ!


「ももちょ、すいにょ、おとうしゃま、じゅっちょいっちょずっと一緒いちぇくりぇりゅいてくれる?」

大事な事聞かなきゃ!


『ああ。ずっと一緒にいる。主神様からも双子を鍛えるように言われているからな』

おお!そうなんだね!やっぱり親子は一緒がいいよ!イル様えらい!


「しょっかぁ。よかっちゃね~もも、すい。いっちょだって!」

これからずっと一緒にいられるよ!


きゅぴゅ『『うん!うれちい!!』』

良かったね!


そうとなったら、てしてし。てしてし。おぉ!お胸も腕もすごい筋肉!!細く見えるのに!


『ん?なにかな?サーヤ』

お胸をてしてしして双子のお父さんにお願いします。


「ももちょ、すいにょおとうしゃま、おろちて?」

気がついたらサーヤはずっと抱っこされっぱなしでした。


『はい、いいですよ』

優しくおろしてくれる双子のお父さん。てててと双子に走りよったサーヤは、今度は双子をお父さんの前に連れてって、


「ももちょ、すいみょ、だっこ!」

にこにこしながら双子とお父さんを見て、今度は双子の番だよ!ってつたえます。サーヤが抱っこしてもらったんだから、スイとモモも抱っこしてもらわなきゃ!そもそも順番逆だよね?モモとスイごめんね。


『え?』

ぴゅいきゅい『『ええ?』』

でも、これには双子もお父さんも固まってしまった。なにせ、親子なのに初対面なのだ。お互いにどうしていいか分からない。


「う?」

だが、そんなことはサーヤには分からない。早い話、おかまいなし!


「だっこ ちにゃいにょ?」うりゅう

なんで『え?』なの?


周りもハラハラである。

そんな中、魔神がひょいっと双子を抱き上げ、有無を言わさず父親の腕に双子を抱かせた!


〖まったくいい歳して何を子供相手に緊張してるの。ほら!ちゃんと抱きしめてあげなさい〗

さすがジーニ様!


最初は豆鉄砲くらったような顔をしていた父親も、ぎこちなく笑いながら双子を抱き直した。


『子らよ……』

「ももちょ、すいにゃにょ!」


あまりに硬い言い方にサーヤが突っ込んだ!


『そうであったな、モモ、スイ』


苦笑いしながら言い直した双子のお父さんに、サーヤは短い腕を組んで、うんうん。と頷き

『組めてないよな?』

『組めてないわね』

〖かわいいからいいのよ~♪〗

その様子にフゥとクゥが突っ込めば

ジーニ様も突っ込む。


『今まですまなかった。まさか神界で保護されていたとは…これからは私もここにいる。一緒にやっていこう。よろしくな』


双子が父親とサーヤを交互に見る。サーヤはにこにこ、父親は困ったように笑っている。


ぴゅ『おとうしゃん』

きゅ『いっしょ?』

『ああ。そうだ』


さっきも一緒って言ってたよ!


ぴゅいきゅい『『おとうしゃん、ちゅよい?』』

『ん?まあ、ドラゴンの中では強い方か?』

お父さんが軽くそう言うと


〖何言ってんのよ…ドラゴンどころか地上最強でしょうに〗

呆れたように魔神が言い返した。


ぴゅきゅ『『え?』』

『いやいや』

双子はジーニ様の言葉に驚いて、お父さんの方は、なんだか気まずそうにいやいや、って言ってます。なんか、変?


つんつん。

〖なあに?サーヤ〗

下からつんつんされているのに気づいたジーニ様。サーヤを抱き上げながら聞いてくれます。


「じーにしゃま、すいちょ、ももにょおとうしゃまちゅよい?」

最強って言ったよね?


〖強いわよ~。何せ主神が作り出した最初の神獣、エンシェントドラゴンだもの〗

「しんじゅう?ぎんしゃまちょ、いっちょ?」

〖そうね。でも、ギンのずっとずっと先輩ね〗

「しょっか~」

すごいんだね~


〖何百年前だったかしら?どっかのバカがあいつを怒らせてね?地上には抑えられる奴がいなくて、私たち神が数人がかりで抑えたのよ~懐かしいわ~。ねぇ?〗

心無しか魔神の笑顔が怖い。


『ハハハ 若気の至りですよ。あの時は申し訳なかった』

困ったように笑うお父さんだけど


〖ホントよまったく。あんたのおかげで山脈がいくつ無くなったと思ってるのよ。後始末大変だったんだからね 〗

ジーニ様のボヤキは止まらない。


『いや、まことに申し訳ない』

魔神はぷんぷん、父親は苦笑い。軽い感じで話しているとんでもない内容に周りは口を開けてポカーンとしている。


「しゃんみゃく?にゃに?」

〖たっくさんのお山がある所よ〗

サーヤが周りを見る。

そういえば空の上から見たときもあんまり山はなかったような?きょろきょろしながら

「おやま、ないにょ?」

〖そうよぉ。この辺りの山、み~んなこいつが壊しちゃったのよ!まったく!〗

ジーニ様、更にぷんぷん!


『『…………』』

爆弾発言である。みんな呆然とする中、逆に目を輝かせる一団が……


「しゅご~い!」

『スイたちのお父さんつよいんだね~』

『『すご~い』』

『『『どうやったの~?』』』


最後、なんだか聞いてはいけない質問が…


『ん?ドラゴンブレスでな?こう、ぐわっと』


『『『みせて~』』』

いやいや!やめてくれ!妖精トリオ!!


ぴゅ『おとうしゃん』てしてし

きゅ『おとうしゃん』ぱしぱし

話を聞いていたモモとスイは、でお父さんを呼ぶと


『ん?なんだ?』


ぴゅぴゅ『わたちたちもできる?』

きゅきゅ『ちゅよくなる?』

キラキラおめめで聞く


『強くなりたいか?』


きゅ『なりたい!』

ぴゅ『なるの!』

きゅぴゅ『『サーヤまもるの!!』』

双子は力強く答える


『そうか』

我が子らの言葉に笑顔が広がる


きゅ『おしえてなの!』

ぴゅ『つよくしてなの!』

双子が真剣なおめ目でお願いすると


『もちろんだ。一緒に頑張ろう』

お父さんは今日一番の笑顔で応える


きゅい『ほんと?』

ぴゅい『おしえてくれる?』


『ああ』

とってもいい笑顔です。


きゅぴゅー!『『やった~!!』』


どうやら親子上手くやれそうである。ただし、


〖また、この辺り無くならないといいわね〗

ふぅ。とため息をつく魔神。


この森の主、ギン様は切に願った。

やめてくれ…

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