第61話 空を覆う正体は

突然、何かに覆われた空

何事かと慌てて空を見上げれば、目を疑う光景が…

その影がぐるりと旋回して目の前に降り立ち、その雄大な姿を示した。


優雅に美しく、大きな翼を広げた

大きな虹色に輝くドラゴンが…


『随分と賑やかだな』

体の鱗が波打つ度に不思議な色に輝く 。波打つ虹のグラデーション。明るい色なはずなのに時折黒く見えたり、次の瞬間には白く見えたりもする。まさにありとあらゆる色の輝きをまとった立派なドラゴンだ。


『主神様からこちらに我が子らと、愛し子様がいるから頼むと言われてきたのだが、どうやらあそこで奇怪な動きをしているのがそうのようだな』


ドラゴンは転げ回るサーヤたちを見つけ愛おしそうに目を和らげる


『この森の主はそなたか?フェンリルよ』

あまりのことに呆然としていたが、ドラゴンの言葉で我に返る。


『は、はい。この森の主でシルバースノーフェンリルのギンと申します』


大きいはずのギンよりも更に大きな体。響く低い声。だが、不思議と恐怖は感じない、包み込むような声だった。


いつの間にか何事かとサーヤとちびっこ同盟たちもこちらに来ていた。


『ふむ。我はエンシェントドラゴン。この鱗の色からレインボードラゴンとも呼ばれている。我が子らが世話になっているそうだな。礼を言う』

そう言ってドラゴンは軽く頭を下げる


『いえ。とんでもない。我らは何も…』

明らかに自分より強者のドラゴンに頭を下げられギンは焦っている。

主神様、少し珍しいドラゴンと仰ってましたよね?少しどころではないではないですか!


〖〖え~?そうかな~?ごめ~ん〗〗


そしてドラゴンは足元に来て見上げていたサーヤたちに気づいた。


『ほう。そなたが愛し子様ですな。そして、そこの双子が我が子らか。我が子らが世話になっております。愛し子様。その子らの父、エンシェントドラゴンです。名は遠い昔呼ばれていたこともありましたが、今では忘れてしまいました。申し訳ない。我が子らも、もう飛べるようになっているとは驚いたぞ。良くしてもらっているようだな。礼を申します愛し子様』


サーヤにドラゴンが挨拶し礼を言うが…


「ふわぁぁぁ ももちょ、すいにょ、おとうしゃま?ほわぁぁぁぁ かっこいい~い 」キラキラキラキラ


モモとスイの父親ということ以外、ドラゴンの話がキラキラおめめ状態のサーヤにどれだけ伝わっているかは、分からない…


更にキラキラした目で見上げるサーヤ。

「ふぁあああ ももちょ すいにょ おとうしゃま!きりぇ~ きらきら~ おっき~ しゅご~い!!」

と、言いながらどんどん見上げる幼児。しかし体よりもまだまだ頭の重い幼児体型、見上げ続ければ、当然…


「ほえ?」

ぐら~あ


『わーっ!』

『キャー!』

『サーヤ!!』

〖ええ!?〗パチンっ

ゴン!!!となる寸前、背中と頭の下にちびっ子同盟が滑り込み、更には魔神ジーニが寸前で魔法で受け止めた。


『『『は~あぁぁぁぁぁ』』』

〖ま、間に合ったわね〗

一気に脱力する保護者たち…


そして、びっくりして目をまん丸にしていたサーヤだが、

「ふわぁぁぁ ふわふわ~」

どうやら魔法でふわふわ浮いているのが楽しいらしい


『『サーヤ…』』

フゥとクゥがため息をつきながら助け起こす。そして

『みんなもありがとう』

『大丈夫か?』

『大丈夫~』

ぴゅいきゅい『『へいき~』』

『『なんともないよ~』』

『『『いたくない~』』』

ちびっ子同盟を助け起こすのも忘れない。ぽんぽんと汚れを叩き落としながらクゥとフゥが

『でも、フルーたちはサーヤより小さいんだから』

『潰れなくてよかったわね』

と、言うと

『『たしかに~』』

『『『そうだったね~』』』

今、気づいたちびっこ同盟…


『ジーニ様すみません』

『ありがとうございました』

〖いいのよ~気にしないで〗

何しろ潰れないでよかった


『ははは 。すまなかった。この姿は幼子には大きすぎたようだな…ふむ。ではこれではどうだ?』


そういうと光に包まれたドラゴン。光が収まって現れたのは…

水色の髪にピンクのメッシュが一筋入った、細マッチョなイケメンだった。ただ、普通と違うのは頭から立派な二本が角、背中からドラゴンの翼が!

もちろんこれにも……


「ふぉぉぉぉ!へんしーん!!しゅごいしゅごい!おとうしゃま、しゅご~い!!」

今度はぐるぐるドラゴンの周りを走り出した!と、くれば今度は、


ツンっ!

「ふお?」

『『あっ!』』

と、フゥとクゥが叫んだ瞬間、サーヤはドラゴンに洋服の首のところを掴まれてぷらんぷらんしていた。

『愛し子様は随分と元気がいいのですな』

と、抱き上げてくれるドラゴン。

「えへへへへ あいがちょ」

と笑うサーヤに一同


〖 『『『『はあー』』』』 〗

もはや、お決まりのパターンである。



『さて、改めて、初めまして。愛し子様。我の子らと仲良くしていただき、ありがとうございます。そちらの精霊たちにも大分世話になっているようだ。礼を言う。そして、魔神様、お久しぶりですな。子らが世話になっております』

改めてサーヤを抱っこしたまま挨拶してくれるドラゴン。そこへ


〖久しぶりね。元気にしてるようで何より。相変わらず最古のドラゴンのくせになんでそんなに若いのかしら?こ~んな可愛い子たちまで作っちゃって!〗

ジーニ様が怒ってるような、からかってるような感じで挨拶してきた。


『はは、面目ない』

ドラゴンも照れくさそうに答えている。

どうやら二人は昔からのお知り合い?

そんなやり取りをしている二人を見ているちびっこ同盟にフゥとクゥが一緒に挨拶するように促す。


『あの、初めまして。私は空の精霊のクゥと申します』

『私は風の精霊のフゥと申します』

『さっそくサーヤを助けていただいてありがとうございます』

緊張しながらまずはクゥとフゥがご挨拶。さすがみんなのお兄ちゃんお姉ちゃん。


『ふふっ気にするな。こちらこそ世話になっているのだから』

ん~モモとスイのおとうしゃまはかっこいいですね。


『ありがとうございます』

『ほら、サーヤもお礼と自己紹介しないとね』

そうだね!がんばるよ!


「あい!ももちょ、すいにょ、おとうしゃま!たしゅけてくりぇて助けてくれてあいがちょうごじゃいましゅありがとうございます!さーにゃ……や!でしゅ。よろちくおにぇがいちましゅよろしくお願いします!」

ご挨拶大事!


『こちらこそ。これからどうぞよろしくお願いいたします。愛し子様』


さーにゃサーヤいとしごちやう愛し子違う。さーにゃ」

サーヤって呼んで!


『え~と?』

ぶーっとほっぺたを膨らますサーヤに困惑するドラゴン。そこへ


『サーヤはね~仲のいい人にはサーヤって呼んで欲しいんだよ~。初めまして。ぼくはギンお父さんの息子のハクです。サーヤのおかげてホワイトホーリーフェンリルになったんだぁ』

ハクがサーヤの言葉を補うように登場!偉いぞハク!


『そうか。ではサーヤと呼ばせてもらってよろしいかな?』

「あい!はなちかたも ふちゅうぢぇ!」

『分かった。では、普通に話させてもらおう』

「あい!」

ドラゴンはサーヤの顔を見ながら話し、次はちゃんとハクの顔を見て


『ハクくんもありがとう』

『うん!ぼくもハクでいいよ~』

『わかった。ハク、よろしく』

『うん!よろしく~』

ニコニコのハクのおかげで場が和んだところで、ちびっこ同盟も続いて


『フライングスクアラルのフライです』

『フォレストサーチモンキーのフルーです』


『はなのようせい、フィオ』

『みどりのようせい、ヴェル』

『きのようせい、アーブ』

『『『ようせいトリオです!』』』


『『『『『よろしくお願いします』』』』』

ちびっこ同盟元気にご挨拶です!


『ああ。こちらこそよろしく』

ドラゴンも微笑みながらご挨拶。


そして、双子はというと……


隠れてました。(見えてるけどね)

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