10 呪いの終わり



 部屋に踏み入ってきた化け物。


 少年と飼い犬のゴンタは、化け物にあらがった。


 そして、最後の瞬間、視覚から襲い掛かったゴンタの爪が、ぬいぐるみを完全に破壊した。


 ぬいぐるみが壊れた瞬間。


 その呪いの洋館は崩れ去った。


 そして、後に残ったのは、何もない土地だけ。


 少年は、助言をしてくれた二人の幽霊に別れをつげた。

 

 そしてゴンタと共に無事に家に帰る事ができたのだ。











 その後をつける怨霊の残骸がなければ。












「あんたがいなければこれで終わりね」


 はいずりまわるもの。


 小さな影となった残骸をおさげの少女が踏みつける。


「ふぇぇぇん、やっと終わったよ」


 泣きべそをかいている少女は、怨霊の行く手をはばむ。


 怨霊の残骸がなければ、少年は家へと帰れる。


 だから、二人は怨霊にとどめをさした。


「こっ、こわかった」

「化け物にたちふさがっておいてよく言うわ」


 二人は今度こそ、この世に別れを告げて帰るべき場所へと戻っていった。


 少年の帰宅をはばむものは、もう何もない。


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怨霊の住む館・フラグメント 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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