第20話 クソジジイにざまあ

「では、蒼真さん、よろしいですか?」


「はい。

 お願いします。」


「あのクソジジイが消滅したら、そのまま地球に戻れるようにしておきます。

 蒼真さん…、本当に気をつけてくださいね。」

 

「わかりました。

 女神様、ありがとうございました。」


「でもその前に…、お願いがあるんですけど…。」


「なんでしょう?」


「その中指を見てから…、もう我慢ができないんです…。

 最後に…抱いてください!!」


ファーストキス以来の女神エテラナとのキス。


そして蒼真の手によって芸術のように美しいエテラナの裸体が露わになっていった。


蒼真の中指が触れるたびに、触れられた場所全てが性感帯のようになって、激しい快感を覚えた。


何度も絶頂を迎えたエテラナ。


異世界でたくさんの女性を抱いた蒼真にとってもエテラナの肉体は別次元の快感であった。



「いつまでもここにいて欲しいけど…、時間が来ちゃった……。

 これ以上はここに引き止められない…。

 蒼真くん、すっごく気持ちよかった…。

 …ありがとう…。」


「…僕の方こそ…。

 また…会えますか…?」


「…わかんない…。

 また…会えたら…いいな。」


「会えるのを…楽しみにしてます。」


「うん…。

 あ、もう時間だ…。

 蒼真くん、絶対に死なないでね…!」


「はい…。

 ありがとう…ござい…まし……」



蒼真が光に包まれて消えていった…次の瞬間、蒼真の目の前にはあのじいさんが立っていた。



「うわ。

 あの女神様の後に、このジジイは辛い…。」


「な、なんじゃお主は!?

 どうやってここに!?」


「うっせえよ。

 よくも俺のことを殺してくれたな。

 しかも、異世界に送り込んでもう一度殺そうとしやがって…。」


「お主!

 あの小便小僧か!!

 生きておったのか!?」


「だから小便したのは俺じゃねえって!

 お前のせいで俺の人生と、あの世界の人たちの平和はメチャクチャになったんだ!

 その責任を取らせてやるよ!」


「は?

 人間ごときが何を言うとるんじゃ?」


「もう俺は無力な人間じゃねえ。

 自分のやったことを後悔して死にやがれ。」


「ワシは神じゃぞ?

 わかっておるのか?

 この不届き者が!」


じいさんが蒼真に向けて手をかざす。


手のひらから放たれた光が蒼真を襲う。



「ぐっ!?」


蒼真の中指が裂け、血が滴る。


「や、やばい…。」


「な!?

 お主なぜ生きとる!?」


(もう1発食らったら…耐えられない…。)


じいさんがもう一度攻撃のモーションに入る。


しかし、この空間はただただ真っ白で何もない。


中指で弾く小石など落ちているわけがなかった。



「くっ!」


蒼真はおもむろに中指を立て、魔力を込めた。



『the finger』だ。



最初のモンスターを絶命させた蒼真の魔法。



「な、なに…!?」



それでも、じいさんの命を奪うことはできなかった。


しかし、身動きができないようだ。



「好き勝手やった報いだ。

 くたばれ!」


蒼真はじいさんに近づくと、中指の爪側を親指に押し付けた。


力を込めると、中指から血が勢いよく吹き出てくる。


蒼真は痛みを堪え、溜めた力を解放した。



「『中指ミョルニル』!!」



「や…やめ……」



神様であるじいさんは跡形もなく消え去った。



そして、蒼真も光とともに消えた。

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